- 2026年3月末に、健全性の指標が新基準(ESR)に変わり、目安は200%以上から100%以上になりました
- 2026年10月2日時点で新基準を公表しているのは21社です。未公表の11社も、10月中に公表する予定です
- ESRは高ければ高いほどよい指標ではありません。順位は目安として見てください
新基準と旧基準の数値は比較できません。計算方法そのものが違うためです。本記事では2つのランキングを別々の表に分け、表をまたいだ比較はしていません。
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2026年3月、ソルベンシー・マージン比率の基準が変わった
ソルベンシー・マージン比率は、生命保険会社の健全性を示す行政監督上の指標です。簡単にいうと、大災害や株価の急落など想定を超える事態が起きても、保険金を支払えるだけの備えがあるかを表します。
この指標の計算方法が、2026年3月末(2025年度末)から経済価値ベースの新基準(ESR)に切り替わりました。
旧基準と新基準の比較
| 旧基準(2024年度末まで) | 新基準(2025年度末から) | |
|---|---|---|
| 名称 | ソルベンシー・マージン比率(SMR) | 経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR) |
| 健全性の目安 | 200%以上 | 100%以上 |
| 数値の水準 | 1,000%前後の会社も多い | 200%前後の会社が多い |
法令上の名称は「ソルベンシー・マージン比率」のまま変わっていません。各社の資料でも見出しはそのままなので、数値を見るときは基準日もあわせて確認します。
新基準(ESR)の計算式
ESR = リスクに備える資本 ÷ 想定されるリスク × 100
リスクと同じだけの資本があれば100%です。数値が大きいほど、リスクへの備えに余裕があることを示します。
※資料では、分子の「リスクに備える資本」を適格資本、分母の「想定されるリスク」を所要資本と呼びます。新基準では、資産と負債をすべて現在の時価で評価し直して計算します。
なぜ目安が200%から100%になったのか
結論からいうと、計算式の分母が変わったためです。基準が甘くなったわけではありません。
会社の健全性が同じでも、新基準では数値が大きく下がります。金融庁の調査(2025年3月末)では、生命保険会社の平均は旧基準873%、新基準215%でした。
ソルベンシー・マージン比率ランキング|新基準(ESR)公表済み21社
2026年10月2日時点で、新基準の数値を公表している21社です。規制ESR(法令で決められた方法で計算した数値)を掲載しています。
※数値の単純比較には注意が必要です。順位は目安としてご覧ください。
新基準を公表済みの21社一覧
新基準(ESR)を公表済みの生命保険会社21社(2026年10月2日時点)
| 順位 | 会社名 | ESR | 出典 |
|---|---|---|---|
| 1 | ライフネット生命 | 333.7% | 2026年度第1四半期報告 |
| 2 | はなさく生命 | 294.0% | はなさくレポート2026 |
| 3 | 大樹生命 | 292.9% | 大樹生命の現状2026 |
| 4 | メディケア生命 | 274.9% | メディケア生命の現状2026 |
| 5 | オリックス生命 | 257% | オリックス生命の現状2026 |
| 6 | 朝日生命 | 242.2% | 朝日生命の現状(統合報告書)2026 会社情報・資料編 |
| 7 | アフラック | 230.0% | コーポレートデータ |
| 8 | 大同生命 | 229.2% | 大同生命の現状2026 |
| 9 | 明治安田生命 | 224.0% | 明治安田の現況2026【別冊】業績に関する諸資料 |
| 10 | 富国生命(速報値) | 210% | 2025年度決算のお知らせ |
| 11 | 住友生命 | 208.5% | 2025年度末ソルベンシー・マージン比率(確報値)の開示 |
| 12 | 日本生命 | 204.9% | 統合報告書2026【資料編】 |
| 13 | なないろ生命 | 204.6% | ディスクロージャー2026 資料編 |
| 14 | アクサ生命 | 202.8% | アクサ生命 2026 Annual Report |
| 15 | プルデンシャル生命 | 190.8% | プルデンシャル生命の現状2026(ソルベンシー・マージン比率に関する追補資料) |
| 16 | FWD生命 | 190.5% | FWD生命 2026(ディスクロージャー誌) |
| 17 | 太陽生命 | 184.3% | 2026太陽生命の現状(経営諸指標) |
| 18 | ジブラルタ生命 | 183.7% | 2025年度におけるソルベンシー・マージン比率について |
| 19 | かんぽ生命 | 179.8% | 統合報告書2026 |
| 20 | チューリッヒ生命 | 177.3% | Annual Report 2026 |
| 21 | ソニー生命 | 174.9% | ソルベンシー・マージン比率 |
- 基準日はいずれも2025年度末(2026年3月31日)です
- 会社によって単体・連結・グループの公表単位が異なります。単体の値を優先し、なければ連結、それもなければグループの値を1社1つだけ採用しました。住友生命は単体208.5%で、連結では202.7%です
- 日本生命・住友生命・朝日生命は、決算発表時の速報値・暫定値ではなく、その後に公表された確定値です
- 富国生命の210%は監査前の速報値です。確定値は2026年10月末までに開示される予定です
- ESRは金利など経済環境の影響で変動します。順位の上下が、そのまま健全性の優劣を示すわけではありません
「規制ESR」と「内部管理ESR」は別の数値
ESRには2種類あります。規制ESRは、法令で決められた方法で計算する数値で、ソルベンシー・マージン比率にあたります。内部管理ESRは、各社が自社の前提で計算する社内管理用の数値です。
同じ会社でも、2つの数値は一致しません。
- ソニー生命:規制ESR 174.9%、内部管理のESR 162%(いずれも2026年3月末)
- 明治安田生命:規制ESR 単体224.0%・連結213.4%、内部モデルを使ったグループESR 208.7%(いずれも2025年度末)
ライフネット生命・朝日生命・富国生命なども両方の数値を公表しています。種別を揃えずに並べても比較にならないため、ランキングには規制ESRだけを載せています。
ソルベンシー・マージン比率ランキング|旧基準11社(新基準は未公表)
2026年10月2日時点で、新基準の数値をまだ公表していない11社です。旧基準による過去の数値を参考値として掲載します。
※新基準のランキングとは比較できません。
新基準が未公表の11社一覧(旧基準の参考値)
新基準が未公表の生命保険会社11社|旧基準の参考値(2026年10月2日時点)
| 順位 | 会社名 | 比率(旧基準) | 基準日 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 明治安田トラスト生命 | 4,635.8% | 2025年12月末 | 2025年度第3四半期業績のお知らせ |
| 2 | 第一ネオ生命 | 1,646.8% | 2025年12月末 | 健全性 |
| 3 | SOMPOひまわり生命 | 995.1% | 2025年12月末 | 2025年度第3四半期業績のお知らせ |
| 4 | 東京海上日動あんしん生命 | 937.2% | 2025年12月末 | 2025年度決算のお知らせ |
| 5 | SBI生命 | 849.5% | 2025年3月末 | ANNUAL REPORT 2026 |
| 6 | 第一生命 | 831.8% | 2025年12月末 | 健全性 |
| 7 | メットライフ生命 | 775.8% | 2025年12月末 | 健全性の指標 |
| 8 | 三井住友海上プライマリー生命 | 661.6% | 2025年3月末 | 決算ハイライト |
| 9 | 三井住友海上あいおい生命 | 654.0% | 2025年3月末 | ディスクロージャー2026(会社データ) |
| 10 | 楽天生命 | 534.7% | 2025年3月末 | 楽天生命の現状2026 |
| 11 | 第一フロンティア生命 | 420.2% | 2025年3月末 | アニュアルレポート2026 |
未公表は健全性の低さを意味しません
未公表の11社が、公表済みの21社より健全性が低いわけではありません。新基準の報告期限が2026年10月末まで猶予されており、公表時期が違うだけです。
11社とも、決算資料やディスクロージャー誌などで2026年10月中の公表を予定しています。新基準の数値で比べたい場合は、10月末以降に各社の公表資料をご確認ください。
公表時期が会社によって違う理由
新基準は2026年3月末から適用されています。ただし、2025年度末の数値を公表する期限は、経過措置により2026年10月末まで延ばされています。
そのため、各社は数値を出すタイミングと資料を選べます。
- 決算発表で公表:日本生命・住友生命などは、5〜6月の決算発表時に速報値を出しました
- 決算後に別の資料で公表:ジブラルタ生命とプルデンシャル生命は、決算資料では「後日開示」とし、2026年8月27日に新基準の数値を公表しました
- ディスクロージャー誌に掲載:FWD生命は「FWD生命 2026」に新基準の数値を載せています
- 10月の追補版で公表予定:第一生命・第一ネオ生命・第一フロンティア生命は、アニュアルレポート2026に載せず、10月の追補版で示す予定です
なお、第一ライフグループは2026年8月31日に、グループの規制ESRを198%(速報値)と発表しました。これは海外子会社を含むグループ全体の数値で、第一生命単体の数値ではありません。
比率だけで保険会社を選べない3つの理由
健全性の数値は判断材料のひとつですが、これだけで保険会社は決められません。理由は3つあります。
- 比率が高くても破綻した例がある
過去には、比率が200%を上回っていた状態で破綻した保険会社があります。この指標は、将来の支払いを保証するものではありません - 基準日と公表単位が会社ごとに違う
旧基準の参考値は、基準日が2025年3月末から2025年12月末まで分かれています。単体・連結・グループの別も揃っていません - 保障内容や保険料とは別の指標である
健全性が高いことと、自分に合った保障を適正な保険料で得られることは別の問題です
会社ごとの詳細は、ランキング表の会社名から各社の記事をご覧いただけます。
ESRの数値の見方
100%を下回るとどうなるか
ESRが100%を下回ると、早期是正措置の対象になります。金融庁は低下の要因なども踏まえ、必要に応じて業務改善命令などを出します。
本記事で新基準の数値を掲載した21社は、いずれも100%を上回っています。
ESRは高いほどよいわけではありません
各社には目標とする数値の幅(ターゲットレンジ)があり、単純に数値が高ければよいわけではありません。下限を割り込めば資本の積み増しが必要です。一方、上限を大きく超えると、資本を十分に活かせていないと受け止められることがあります。
ESRの水準の目安
※日本生命と朝日生命の目標は、内部管理ESRに対するものです。ランキングに掲載した規制ESRとは別の数値です。
数値は経済環境によって上下します
新基準では、資産と負債を時価で評価します。金利が動くと負債の評価額も変わるため、ESRは経済環境によって上下します。前年より低下しても、それだけで経営の悪化を示すわけではありません。
生命保険会社が破綻したらどうなる?
生命保険会社が破綻しても、契約がその場で消えるわけではありません。国内で営業する生命保険会社はすべて「生命保険契約者保護機構」に加入しており、契約は救済会社などに引き継がれます。
補償されるのは、原則として責任準備金の90%までです。責任準備金は、保険会社が将来の支払いのために積み立てているお金です。払い込んだ保険料の90%ではありません。
また、引き継ぎの際に予定利率が引き下げられるなど、保険金額や年金額が減る場合があります。
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よくある質問
2026年は、新基準と旧基準の2つに分けて見る必要があります。
新基準(ESR)を公表済みの21社では、ライフネット生命(333.7%)、はなさく生命(294.0%)、大樹生命(292.9%)が上位です(2026年10月2日時点)。未公表の11社は旧基準の参考値しかなく、新基準の表とは比較できません。順位は目安としてご覧ください。
数値の低下が、そのまま経営の悪化を意味するわけではありません。
新基準では、旧基準にあった「リスクを2分の1にする」計算がなくなりました。そのため、健全性が同じでも数値は大きく下がります。金融庁の調査でも、生命保険会社の平均は旧基準873%、新基準215%でした(2025年3月末)。
公表の有無と、健全性の高い低いは別の問題です。
新基準の報告期限は2026年10月末まで猶予されています。未公表の11社も、いずれも10月中の公表を予定しています。新基準で比べたい場合は、10月末以降に各社の資料を確認するのが確実です。
新基準では100%が監督上の基準です。
100%を下回ると早期是正措置の対象になります。ただし、数値は高ければ高いほどよいわけではありません。各社は目標とする幅を定めており、日本生命は200〜270%、朝日生命は220〜260%としています(内部管理ESR)。
公表データから「この会社は避けるべき」と一律に言える基準はありません。
新基準の数値を確認できた21社は、いずれも100%を上回っています。また、仮に破綻しても、原則として責任準備金の90%までは生命保険契約者保護機構が補償します。会社選びでは、保障内容・保険料・支払い時の対応もあわせて比べることが大切です。
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調査概要と出典
- 対象:国内で営業する生命保険会社42社(数値を確認できた32社を掲載)
- 方法:各社の決算資料・ディスクロージャー誌・ニュースリリースと金融庁の資料を確認
- 確認日:2026年9月17日。新基準の公表状況と速報値・暫定値は2026年10月2日に再確認
- 掲載ルール:規制ESRを優先し、単体→連結→グループの順に1社1つの数値を採用
- 金融庁|経済価値ベースのソルベンシー規制の概要(2026年7月)
- 金融庁|経済価値ベースのソルベンシー規制等について
- ライフネット生命保険|2026年度第1四半期報告
- はなさく生命保険|はなさくレポート2026
- 大樹生命保険|大樹生命の現状2026(統合報告書)
- メディケア生命保険|メディケア生命の現状2026
- オリックス生命保険|オリックス生命の現状2026(2025年度決算報告)
- アフラック生命保険|コーポレートデータ(2026年10月2日確認)
- 大同生命保険|大同生命の現状2026
- 富国生命保険|2025年度決算のお知らせ
- 明治安田生命保険|明治安田の現況2026【別冊】業績に関する諸資料/明治安田インフォメーション2026(健全性・収益性)
- なないろ生命保険|ディスクロージャー2026 資料編
- 日本生命保険|統合報告書2026【資料編】/2025年度 業績の概要
- アクサ生命保険|2026 Annual Report
- 住友生命保険|2025年度末ソルベンシー・マージン比率(確報値)の開示(2026年7月31日)
- 太陽生命保険|2026太陽生命の現状(経営諸指標)
- かんぽ生命保険|統合報告書2026「保険金等の支払能力の充実の状況」
- チューリッヒ生命保険|Annual Report 2026
- ソニー生命保険|ソルベンシー・マージン比率/2026年3月末「経済価値資本」とESRの開示
- 朝日生命保険|朝日生命の現状(統合報告書)2026 会社情報・資料編/2025年度決算 説明資料
- 明治安田トラスト生命保険|2025年度第3四半期業績のお知らせ
- 第一ネオ生命保険|健全性
- FWD生命保険|FWD生命 2026(ディスクロージャー誌)
- ジブラルタ生命保険|2025年度におけるソルベンシー・マージン比率について(2026年8月27日)/ジブラルタ生命の現状 2025年度決算
- SOMPOひまわり生命保険|2025年度第3四半期業績のお知らせ/SOMPOひまわり生命の現状 2026
- 東京海上日動あんしん生命保険|2025年度決算のお知らせ
- SBI生命保険|ANNUAL REPORT 2026/2025年度決算
- 第一生命保険|健全性/第一ライフグループ|CFOダイアログ 説明資料(2026年8月31日)
- メットライフ生命保険|健全性の指標/メットライフ生命の現状 2026 データ編
- プルデンシャル生命保険|プルデンシャル生命の現状2026(ソルベンシー・マージン比率に関する追補資料)
- 三井住友海上あいおい生命保険|ディスクロージャー2026(会社データ)
- 楽天生命保険|楽天生命の現状2026
- 第一フロンティア生命保険|アニュアルレポート2026
- 三井住友海上プライマリー生命保険|決算ハイライト
- 日本経済新聞|生命保険会社選び、健全性や信用力を吟味 破綻時の影響も注意(2026年5月22日)
- 日本経済新聞|保険会社の意図は伝わるか 「ESR」に込めるメッセージ(2024年8月3日)
- 生命保険契約者保護機構|生命保険会社の保険契約者保護制度Q&A
※未公表の11社の新基準の数値は、2026年10月中に順次公表される予定です。最新の状況は各社の公式サイトでご確認ください。