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ふるさと納税2026年10月に制度改正―何が変わる?「節約ECサイト」化に国がブレーキ

間瀬 明子 間瀬 明子 更新日:
2026年10月の制度改正で影響を受けるのは、家電・輸入加工品・ロゴ入り日用品。地元産の米・精肉・果物・魚介は基準の対象外で、そのまま残ります。国がブレーキをかけているのは、還元率とポイントで得を最大化する「節約ECサイト」としての使い方のほうです。

2025年10月にポータルサイトのポイント付与が全面禁止され、2026年10月には返礼品と経費のルールがさらに厳しくなります。「お得だから使う」という動機に、国が意図的にブレーキをかけているのが今の局面です。

この記事の数値と要件は、総務省が公表している一次資料(告示改正の説明資料、運用のQ&A、2026年3月24日付の制度説明資料)に基づいています。出典は記事末にまとめました。ポイント付与の禁止だけは2024年6月の別の告示改正によるものです。

数年ぶりにふるさと納税をやる人にも、毎年欠かさずやっている人にも必要な情報が違うので、章を分けています。

最後に、改正前の今のうちにお得に済ませるための実務的なコツを7つ載せています。期限は2026年9月30日です。

この記事でわかること
  • 変わるのは返礼品の審査自治体に残るお金の2つ
  • 3割ルールと自己負担2,000円は変わらない
  • 影響を受けやすいのは家電・輸入加工品・ロゴ入り日用品
  • 経費率による値上げが本格化するのは2027年10月から
  • ポイント還元は復活しない(クレカの通常ポイントは付く)
  • 旧ルールで寄付できるのは2026年9月30日まで

制度の基本や申し込みの流れから確認したい方は、先に【実演】ふるさと納税のやり方を初心者向けにわかりやすく解説!仕組みや注意点もをご覧ください。

まず結論:2026年10月に何がどう変わるのか(早見表)

2026年10月の改正は、正確には「2026年10月から始まる指定対象期間に係る指定」から適用されます。自治体は毎年10月から翌年9月までを1つの期間として総務大臣の指定を受けており、その次の期間から新しい基準になるということです。

寄付する側から見た変化を1枚にまとめると、次のようになります。

2026年10月改正の早見表

項目 2026年9月まで 2026年10月以降 寄付する人への影響
地場産品の判定 付加価値の計算方法が自治体ごとにバラバラ 価格に基づく算出を原則化。製造者が「価値の過半が区域内で生じた」ことを証明し、自治体が証明事項を一覧で公表 基準を満たせない返礼品は掲載終了。中身の根拠は見えるようになる
仕入れ値のチェック 一般の小売価格より相当高く仕入れているケースが確認されていた 証明書に一般販売価格も記載して公表。合理的な理由なく一般販売価格より高額で調達しないよう通知 水増しで成り立っていた返礼品は消える
ロゴ入りの区域外製品 ロゴを付けただけの品は以前から対象外。ただし判定の運用に幅があった 「自治体が自ら調達し、配布または販売を行った実績があるもの」という要件が告示に明記される 実績のないロゴ入り日用品・雑貨は対象外に
自治体が使えるお金 募集費用が寄付額の5割以下(=自治体に残るのは5割以上) 「寄附金活用可能額」を6割以上に。2026年10月は52.5%からの段階適用 短期的な影響は小さい。効いてくるのは2027年10月以降
返礼割合 寄付額の3割以下(地方税法) 変更なし 「3割ルールが厳しくなる」わけではない
ポイント還元 2025年9月末で終了済み 禁止のまま 復活はしない。クレカの通常ポイントは対象外で残る
ここを誤解しやすい

ネット上では「2026年10月から経費が47.5%に下がるので寄付額が一斉に値上げされる」という説明をよく見かけますが、これは順番が逆です。全国平均の募集費用は2024年度実績で46.4%なので、52.5%(=募集費用47.5%)という第1段階は平均値をまだ超えていません。2026年10月に返礼品が減ったり寄付額が上がったりする主な理由は、経費率ではなく返礼品の地場産品チェックが厳しくなることです。

まず気になるところ:どの返礼品が影響を受けるのか

結論から言うと、影響を受けるのは「区域外で作られたものを地場産品として出していた返礼品」だけです。地元で育てた・採れたものは、今回厳しくなった基準の対象外です。

そのまま残る
  • 地元産の
  • 地元で育てた精肉
  • 地元で採れた果物・野菜
  • 地元で獲れた魚介
影響を受けやすい
  • 家電・パソコン
  • 輸入原料の加工肉・海産物
  • 輸入酒類・詰め合わせセット
  • ロゴ入りの日用品・衣類

どの返礼品が実際に消えるかは自治体と事業者の対応次第なので、確定情報はまだありません。ただ、基準の中身から「証明が難しいカテゴリ」は絞れます。

影響を受けやすいカテゴリと、その理由(想定)

カテゴリ 想定される影響 理由
家電・パソコン 掲載終了/寄付額の引き上げ 海外生産や区域外OEMが多く、価格ベースで証明しにくい
加工肉・海産物 掲載停止/内容量の見直し 輸入原料が多く、切る・味付けだけでは付加価値と認められない
輸入酒類・セット品 ラインナップ縮小 保管・熟成の価格妥当性と、セットの付加価値証明が厳しくなる
ロゴ入り日用品・衣類 掲載終了 自治体自身の配布・販売実績がないものは対象外になる
地元産の米・果物・精肉 影響は小さい見込み 原材料から工程まで区域内で完結しており、証明が難しくない

地元産が影響を受けないのは、基準の号が違うから

地場産品の基準は告示第5条で号ごとに分かれています。今回厳しくなったのは第3号=「区域内で製造・加工した品」に付加価値の証明を求める号です。

地元で採れた・育てたものは第1号(区域内において生産されたものであること)で認められているので、第3号の証明や公表の対象になりません。定番の食品返礼品が2026年10月に一斉に消えるわけではない、ということです。

弊社が全国3,000名に行った調査でも、繰り返し選ばれていたのは魚介・肉・米の3カテゴリでした。そして繰り返し選ぶ理由の1位は「品質・味への満足」です。

ふるさと納税の返礼品を繰り返し選ぶ理由ランキング
同一自治体・返礼品を繰り返し選んだ370名の回答。1位は「品質・味への満足」(調査の詳細

この満足の源泉は今回の改正で失われません。むしろ製造・加工地と一般販売価格が公表されるようになるので、本当にその土地のものかを寄付する側が確認できるようになります。品質で選ぶ人には、条件が良くなる方向です。

ただし食品でも「よそから仕入れただけ」は認められない

「食品なら安全」とは言い切れません。指定制度が始まった2019年6月以降、地場産品基準の違反で指定を取り消された自治体は2件あり、対象はどちらも一次産品でした。

地場産品基準の違反で指定取消となった事例

自治体 対象となった返礼品 取消施行
高知県奈半利町 うなぎ蒲焼き等 2020年7月23日
長野県須坂市 シャインマスカット 2025年6月17日

出典:総務省「ふるさと納税について(指定基準に係る告示改正)」令和8年3月24日、11ページ「過去の指定取消し事例」。なお奈半利町は2022年10月1日に指定に復帰しています。

基準が見ているのは品目の種類ではなく、その土地で価値が生まれているかです。総務省はQ&Aで、認められない具体例を挙げています。

総務省が「認められない」としている例(食品)
  • 区域外から調達したブロック肉を、区域内で単に切断・パック詰めしただけの精肉
  • 区域内での工程が、枝肉の切断だけである精肉
  • 輸入した海外産の牛肉を、区域内で熟成させたもの
  • 県外で収穫した玄米を、区域内で精白したもの
  • 区域外で生産されたビールに、その自治体オリジナルのシールを貼ったもの
  • 区域内の事業者がパッケージしている、区域外で生産されたフルーツ

裏を返せば、その土地で育てた・採れたことが起点で、区域内の工程が切断やパック詰め、ラベル貼りだけでは足りません。食肉については、原材料の家畜が「生産」された区域は飼養が行われた区域を指すとされ、と畜場や家畜市場があるだけの自治体は該当しません。

加工度が上がるほど注意

◎ ほぼ問題ない:地元で育てた精肉、地元で獲れた生の魚介、地元産の米・果物
△ 原材料の産地次第:味付け肉、ハンバーグ、練り物
× 最も厳しく見られる:輸入原料の加工品、ウナギのように稚魚・養殖地・加工地が分かれやすい品目

なお熟成肉と精米は、原材料が同一都道府県内産であることが求められています。今回の改正で新設されたものではなく、すでに適用済みのルールです。

固定費そのものを下げたい場合は、返礼品より確実な手が別にあります。固定費の見直しもあわせて検討してください。

なぜ「節約ECサイト」と呼ばれるようになったのか

法律用語ではありません。それでもメディアも専門家も、そして国の議論も、ふるさと納税を事実上「節約目的のネット通販」として扱ってきました。理由は3つです。

  1. 返礼品が「ごほうび」から「食費の置き換え」へ
    弊社3,000名調査でも、リピーターが選ぶのは魚介・肉・米に集中
  2. ポータルの操作感が完全にECサイトだった
    カート、レビュー、セール、ポイント倍率まで、普段のネット通販とまったく同じ
  3. 国自身が「公金がECモールに流れている」と問題視した
    2025年12月の税制改正大綱に明記されている

3つ目は推測ではありません。令和8年度税制改正大綱(2025年12月19日)はこう書いています。

税制上の控除を利用して集められたふるさと納税の寄附は、まさに公金であり、地方公共団体において、住民サービスの充実や地域振興のために活用されるべきことは言うまでもない。このため、地方公共団体の区域外に流出するポータルサイト事業者など外部の事業者に支払う手数料等については、できる限り縮減していく必要がある。

出典:令和8年度税制改正大綱(自由民主党・日本維新の会)

「まさに公金」。運営する側はふるさと納税を買い物ではなく税の配分と見ています。一方で利用者は買い物として使ってきた。この認識のズレを埋めにいくのが、2025年から2029年まで続く一連の規制強化です。

寄付1兆2,728億円はどこへ消えているのか

国が動いた理由は、金額の内訳を見るとはっきりします。総務省の資料によれば、2024年度(令和6年度)のふるさと納税の受入実績は1兆2,728億円で、その使われ方は次のとおりです。

令和6年度の寄付金1兆2,728億円の内訳

区分 金額 割合
地方団体の財源として残った分 6,826億円 53.6%
返礼品の調達 3,208億円 25.2%
送付・広報・決済 1,017億円 8.0%
事務費等(ポータルサイト手数料を含む) 1,676億円 13.2%
うちポータルサイト運営事業者への支払い 1,656億円 約13%
寄付1万円の行き先(令和6年度の実績から試算)
  • 自治体に残る … 5,360円
  • 返礼品 … 2,520円
  • 送料・広報・決済 … 800円
  • 事務費など(うちポータルサイトに約1,300円)… 1,320円

大綱が「区域外に流出する手数料等」と書いているのはこの1,656億円のことで、寄付総額の13%にも達していると明記されています。ここを削って自治体に残るお金を増やす、というのが今回の経費ルール改正の狙いです。

つまり2026年からの改正は、寄付する人から何かを取り上げるための改正ではなく、寄付する人と自治体の間に立っている事業者の取り分を削るための改正です。ただし結果として、返礼品のラインナップや寄付額には影響が出ます。次の2章でその中身を見ていきます。

改正の柱①:返礼品の「地場産品」チェックが厳しくなる

返礼品は「その自治体の区域内で生産されたもの」でなければなりません。区域内で製造・加工したものについては、価値の過半(半分超)がその区域内の工程で生じていることが条件です。ここまでは以前からのルールですが、2026年10月からは判定の方法が大きく変わります。

価格ベースで計算し、証明書を公表する

今回厳格化されたのは、地場産品基準(平成31年総務省告示第179号第5条)のうち第3号にあたる「付加価値基準」です。区域内で製造・加工した品について、価値の過半が区域内で生じていることを求める号がこれに該当します。

これまで付加価値の算出方法は自治体ごとにバラバラでした。総務省はその結果として「同じ製品について複数の自治体が自分の地場産品だと主張できてしまう」「本当に区域内で過半の付加価値が生じているのか疑わしい事例がある」という2つの課題を挙げています。

2026年10月からは価格に基づく算出を原則とし、製造・加工を行う事業者自身が証明書を出します。総務省が定めた標準的な算出方法は、次のとおりです。

区域内で生じた価値の割合の算式

(A − B)÷ A

A=自治体がその返礼品を調達するのにかかった費用
B=その返礼品の製造・販売等のために区域外で生じた費用

つまり調達費用から区域外で発生した費用を引いた残りが、全体の半分を超えていなければなりません。倉庫で保管しただけ、切って詰めただけでは、この式で過半になりません。

そして自治体は、この証明書をもとに一覧表を作り、寄付の募集を開始する日までに自治体のウェブサイトに掲載しなければなりません。一覧表に載るのは次の6項目です。

  • 返礼品等の名称
  • 区域内において生じた価値の割合
  • その割合の算出方法と算出基礎
  • 製造・加工地(国内なら都道府県名と市区町村名、国外なら国名
  • 自治体における調達費用
  • 一般販売価格

この公表には条件が付いています。会員登録した人だけが見られるページなど、特定の者のみ閲覧可能な形式は認められません。指定対象期間を通じて継続して掲載することも求められています。

寄付する側にとって実務的に大きいのは4番目です。その返礼品がどこで作られたのか、国外ならどの国かまで、自治体のサイトで確認できるようになります。

あわせて証明書には、同じ返礼品を提出先以外の自治体の第3号返礼品として扱わないという同意事項が入ります。1つの製品を複数の自治体が地場産品と名乗る状態への直接の対処です。

一般販売価格より高く仕入れられなくなる

総務省が問題視した実例が資料に載っています。米国産の高級ワインを海外から6万円で輸入し、倉庫で保管するだけで6万円の付加価値がついたことにして、返礼品として12万円で納品する。ところが同じワインは一般客には8万円で売られている、というケースです。

保管という区域内工程で6万円の価値がついたことにすれば、付加価値は過半に見えます。今後は証明書に一般販売価格も併記して公表することになり、あわせて「合理的な理由なく、一般販売価格より高額で調達することがないようにすること」が通知されます。

ロゴを付けただけの区域外製品は認められない

広報目的基準は告示第5条第5号です。ここは誤解されがちなので正確に書きます。一般に流通している物品にロゴをプリントしただけのものは、改正前から基準に該当しないとされていました。総務省のQ&Aにも以前から明記されています。それでも区域外製造品が認められる事例があったのは、判定の運用に幅があったためです。

改正では、第5号ロとして「地方団体が広報の目的で自ら調達し、配布又は販売を行った実績があるもの」という要件が告示に書き込まれます。実際に配ったことのないロゴ入り商品は返礼品にできないということです。観光協会などが配布した場合は、自治体が予算措置で費用を実質的に負担しているかで判断され、実績は実際に配布・販売した数量で測られます。

自治体側のチェックも同時に厳しくなっています

返礼品の確認件数は指定時点で約100万件を超えており、事務が追いつかない状況にありました。今回の改正では、前年に基準不適合がなかった約1,200団体について事前確認を省略して負担を軽くする一方、総務省が一部団体を抽出調査し、基準適合性に疑いのある返礼品の通報窓口を設置します。あわせて指定取消制度も見直され、取消期間は3年以内に、遡って違反を問える期間は最大5年前までに広がります。

改正の柱②:自治体が使えるお金を6割以上に

もう1つの柱がお金の配分です。ここは報じ方が混乱しがちなので、法律上どう書かれているかから確認します。

これまでは「募集費用の合計が寄付額の5割以下であること」という基準でした。改正後はこれが削除され、代わりに寄附金活用可能額(寄付額から募集費用を引いた、自治体が実際に使える財源)が寄付額の6割以上であることが求められます。裏返せば募集費用は4割までということで、言っている内容は同じです。

6割は一度に適用されるのではなく、指定期間ごとに段階的に上がっていきます。

寄附金活用可能額の段階的な引き上げ

指定期間 開始時期 自治体が使える割合 募集費用の上限(裏返し)
令和7年指定 2025年10月〜 50%以上 50%
令和8年指定 2026年10月〜 52.5%以上 47.5%
令和9年指定 2027年10月〜 55%以上 45%
令和10年指定 2028年10月〜 57.5%以上 42.5%
令和11年指定以降 2029年10月〜 60%以上 40%

さらに、活用可能額の使途をウェブサイトで公表することも義務になります。自分の寄付が何に使われたのかを追える形にする、という趣旨です。

2026年10月の第1段階は、実はまだ緩い

「寄付1兆2,728億円はどこへ消えているのか」で見たとおり、2024年度の全国平均の募集費用は46.4%、自治体に残った割合は53.6%でした。つまり全国平均は、2026年10月から求められる52.5%をすでに満たしています。

もちろん平均の話です。募集費用が47.5%から50%の帯にある自治体は、旧ルールでは適法でも2026年10月から不適合になるため、対応が必要になります。

そこに実在感があるのは、2025年に募集費用の割合が59.8%・56.4%・56.1%だったことを理由に指定を取り消された自治体が3件あるからです。これらは旧ルール(5割以下)への違反であって新基準の話ではありませんが、5割近くまで使っている自治体が現実にいることの裏付けにはなります。

それでも「2026年10月に全国一斉で寄付額が上がる」という説明は、46.4%という平均値と整合しません。

効いてくるのは2027年10月以降

平均値にはっきり刺さるのは55%(2027年10月)からで、60%(2029年10月)まで進むと平均から6ポイント以上を削る必要があります。

返礼割合の上限3割は法律で決まっているため、そこを増やすことはできません。実績は25.2%なので理屈上は返礼品側も削れますが、それは寄付額の引き上げや内容量の見直しという形で寄付者に跳ね返ります。自治体が先に削りたいのは送料・決済・事務費、つまりポータルサイトへの手数料です。

ここが効いてくると、ポータルの手数料負担が重い自治体は掲載サイトを絞る、あるいは自前の受付に寄せるといった動きを取る可能性があります。「毎年同じサイトで同じ自治体に寄付する」という習慣は、2027年以降は通用しなくなるかもしれません。

【数年ぶりに使う人へ】押さえるべき違いは3つ

「前にやったのは3年くらい前」という方は、細かい改正の経緯を追う必要はありません。前回との差分だけ押さえれば十分です。

① ポイント還元という選び方はもう存在しない

2025年10月1日から、仲介サイトによる独自ポイントの付与は全面的に禁止されました。楽天ポイントやPayPayポイント、ギフト券といった「寄付額に応じてサイト側が上乗せする還元」はすべて終わっています。復活の予定もありません。

したがって「どのサイトが一番還元率が高いか」を比べる意味はなくなりました。サイトを選ぶ基準は、返礼品の品揃えと使い慣れた決済手段があるかどうかです。

② 同じ返礼品でも寄付額が上がっている

2023年10月に募集費用の5割ルールが厳格化されて以降、同じ返礼品でも寄付額が見直されているケースがあります。3年前の記憶にある「1万円でこれくらい」という感覚を基準にせず、控除上限額の計算と返礼品選びを一度やり直すのが確実です。

控除上限額の計算をやり直し、そのうえで返礼品を選び直すのが正解です。年収別の上限額の目安は、冒頭で紹介した「ふるさと納税のやり方」の記事にまとめています。

③ 選ぶときの基準が「還元率」から「中身の確からしさ」に変わる

2026年10月以降は、付加価値の証明事項と一般販売価格が公表されます。その返礼品が本当にその土地のものなのか、市販価格と比べて妥当なのかを、寄付する側が確認できるようになります。

還元率で選べなくなった代わりに、根拠を見て選べるようになるということです。手続き自体(ワンストップ特例、5自治体まで、自己負担2,000円)は変わっていないので、そこはワンストップ特例申請と全国おすすめ返礼品で確認してください。

【毎年使う人へ】2026年の寄付設計はここが変わる

毎年使っている方にとって、2026年は例年と違う年になります。理由は、同じ1年のなかに旧基準と新基準の両方が存在するからです。

9月と10月で「同じ寄付額でも中身が違う」年になる

控除は1月から12月までの寄付が対象なので、2026年分の寄付は9月までの旧基準と10月からの新基準にまたがります。1年のあいだに商品構成と寄付額が切り替わるということです。

つまりいつもの「年末にまとめて寄付」を今年やると、条件の良い時期を丸ごと逃すことになります。今年に限っては、寄付を9月と年末に分けて設計するのが合理的です。

常連の返礼品が消える前提でお気に入りを棚卸しする

毎年同じ自治体・同じ返礼品を選んでいる人ほど、影響を受けたときのダメージが大きくなります。加工品や輸入原材料を使ったものが定番になっている場合は、10月以降に同じものが残っている前提で計画を立てないほうが安全です。

お気に入りリスト、カート、昨年の寄付履歴を開いて、影響を受けやすいカテゴリに当てはまるものを先に洗い出しておきましょう。9月中に確保するか、代替候補を決めておくかの判断が必要です。

2027年寄付分から:高所得者の特例控除に193万円の上限

もう1つ、少し先の話ですが確定している変更があります。令和8年度税制改正で、住民税の特例控除額に定額の上限が設けられました。

これまで特例控除額は所得に応じて上限なく増えていました。改正後は、給与収入1億円相当にあたる193万円が上限になります。適用は令和9年(2027年)の寄付分からです。

収入別の特例控除額の上限(総務省資料)

給与収入 特例控除額(上限) 所得税等も含めた寄附上限額
1,000万円 12万円 18万円
2,000万円 32万円 57万円
5,000万円 93万円 211万円
1億円 193万円(ここが上限) 438万円

表を見てのとおり、給与収入1億円に届かない大多数の人には関係のない改正です。独身または夫婦共働き(給与収入のみ、住宅ローン控除等なし)をモデルにした推計値なので、実際の上限額は家族構成などで変わります。

なお上限を超えて寄付することは可能で、その場合も基本分の控除は適用されます。ただし超えた部分は自己負担になります。

改正前にお得に済ませる7つのティップス(期限:2026年9月30日)

ここまでが制度の話です。最後に、今の条件で寄付を済ませるための実務的なコツをまとめます。旧基準が適用されるのは2026年9月30日までの寄付です。

  1. 控除上限額を先に確定させる
    年収は年末まで確定しませんが、8月時点の見込みで計算し直しておかないと、駆け込みで上限超過が起きます。残業代や賞与の増減、扶養の変化、住宅ローン控除の有無で上限額は動きます
  2. お気に入り・カート・昨年の寄付履歴を棚卸しする
    この3か所を開いて、家電・ロゴ入り日用品・輸入原材料の加工品が入っていないか確認します。該当するものが「今年のうちに確保すべきリスト」になります
  3. 自分の締切は9月30日ではなく9月中旬に置く
    自治体側は新基準対応と在庫調整を控えているため、受付を早めに締める可能性があります。加えて最終日の9月30日はアクセスが集中し、決済エラーや処理の遅延が起きやすい時期です
  4. 影響を受けやすいカテゴリの優先順位を上げる
    地元産の米や果物は改正後も残る可能性が高い一方、証明が難しいカテゴリは今年が最後になり得ます。同じ予算なら、消える可能性が高いほうを先に押さえるのが合理的です
  5. 定期便は受付条件を必ず確認する
    3回・6回といった分割配送は、申し込みが9月でも受け取りが改正後にまたがります。全回分が約束どおり届く扱いになっているか、申込ページの注意書きを読んでおきましょう
  6. 寄付先は5自治体以内に収める
    駆け込みで寄付すると自治体数が増えがちです。6自治体以上になるとワンストップ特例が使えず確定申告が必要になります。返礼品単位ではなく自治体単位で数えるのを忘れないでください
  7. 決済手段だけは最適化できる
    禁止されたのは仲介サイトが上乗せする独自ポイントで、通常の商取引の決済で付くポイントは対象外です。つまりクレジットカードの通常ポイントは今も付きます。還元率の高いカードで決済するのは有効な手です
駆け込みで一番多い失敗

「今年が最後だから」と勢いで寄付して控除上限額を超えると、超えた分は全額自己負担になります。返礼品の価値は寄付額の3割以下なので、上限を超えた寄付は確実に損です。上限額の確認を1番目に置いているのはこのためです。

10月以降も「損」ではありません

返礼割合3割以下、自己負担2,000円、ワンストップ特例といった制度の骨格は変わりません。10月以降も、実質2,000円で寄付額の3割相当の返礼品を受け取れる仕組みそのものは残ります。変わるのは選べる返礼品の顔ぶれと、寄付額の目安です。

よくある質問

いいえ。自己負担2,000円で寄付額の3割相当の返礼品を受け取れる仕組みは変わりません。変わるのは選べる返礼品の顔ぶれと寄付額の目安です。ポイント還元がなくなったことで「寄付額以上に得をする」使い方はできなくなりましたが、控除の仕組み自体は無傷です。

寄付の成立は申し込みと入金の時点なので、通常は申し込んだ時点の条件が適用されます。ただし配送時期や分割配送の扱いは自治体ごとに定められているため、申込ページの注意書きを確認してください。特に定期便は回数分すべてが約束されているかを見ておくのが安全です。

いいえ。返礼品の調達費用が寄付額の3割以下という基準は地方税法で定められており、今回の改正では変更されていません。総務省の資料にも「変更なし」と明記されています。厳しくなるのは、その返礼品が地場産品と言えるかどうかの判定方法と、自治体が使えるお金の割合です。

ありません。2025年10月からの禁止は、寄付に伴って寄付者に金銭その他の経済的利益を提供する事業者を通じた募集を禁じるものです。方向性としては規制強化が続いているため、緩和される見込みは今のところありません。一方でクレジットカードの通常ポイントのように、ふるさと納税以外の取引でも付与されるものは対象外なので引き続き付きます。

時期を一律に言うことはできません。2026年10月は、経費率よりも返礼品の地場産品基準の厳格化が寄付額に影響します。基準を満たすために調達先や工程を変えた返礼品は、寄付額の引き上げや内容量の見直しが起きる可能性があります。経費率の引き締めが平均値に効いてくるのは2027年10月(55%)以降です。

関係ありません。193万円という上限は給与収入1億円相当の水準に設定されたもので、それ以下の収入では従来どおり所得に応じた特例控除額が適用されます。適用開始も2027年(令和9年)の寄付分からです。

まとめ:「還元率」から「確からしさ」へ

2026年10月の改正は、返礼品ルールの部分的な手直しではありません。2025年10月のポイント全面禁止、2026年10月の返礼品基準厳格化と経費率の段階縮小、2027年の高所得者控除の上限設定が、ひとつの流れとしてつながっています。

その流れが向かっている先は明確です。寄付した1万円のうち、ポータルサイトに1,300円が渡っている構造を変え、自治体の手元に6割以上を残す。そして返礼品を、その土地で本当に価値を生んでいるものに絞り込む。国が「まさに公金」と書いたとおりの整理です。

寄付する側から見れば、還元率で選ぶ楽しさは失われます。その代わりに、付加価値の証明と一般販売価格が公表され、寄付金の使途も公表されるようになります。選ぶ基準が「どれだけ得か」から「どれだけ確かか」に移るということです。

そして、この移り方は多くの人の使い方と実はぶつかりません。弊社の3,000名調査で繰り返し選ばれていた魚介・肉・米は、今回厳格化された付加価値基準の対象外にある一次産品で、リピート理由の1位も「品質・味への満足」でした。もともと品質で選んでいた人にとって、失うものはほとんどありません。影響が出るのは、還元率や日用品の調達を目的に使っていた部分です。

そのうえで、旧基準で寄付できる期間は2026年9月30日までです。今年に限っては、9月までに一度寄付を整理し、10月以降のラインナップを見てから年末分を決める。この二段構えが、いちばん無駄が出ない進め方です。

間瀬 明子

間瀬 明子 金融・保険ライター

日本保険仲立人協会の登録を受けた元保険ブローカーで、日商簿記2級保持者。総合商社の保険代理店営業として3年勤務。大型プロジェクトのリスクコンサルティングを請け負い、年間120契約以上の金融・保険商品を提案・仲介してきました。比較が難しい保険商品を様々な角度から分析してわかりやすく解説していきます。株式会社イードが運営するお金の専門メディア『マネー達人』に寄稿もしています。スマ子のアカウントでX運用中。

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