いま、物価はどれくらい上がっているのか
総務省統計局が2026年8月21日に公表した2026年7月分の消費者物価指数によると、総合指数は前年同月比1.9%の上昇、生鮮食品を除く総合は1.8%の上昇でした。この回から、指数の基準が2020年から2025年に切り替わっています。
10の費目のなかで上がり方が大きいのは食料です。食料は前年同月比3.5%の上昇で、6月の3.2%から上昇幅が広がりました。うち生鮮食品は7.0%の上昇です。
| 品目 | 前年同月比 |
|---|---|
| 緑茶 | 29.2% |
| まぐろ | 20.4% |
| トマト | 13.5% |
| ポテトチップス | 13.3% |
| ハンバーガー(外食) | 13.2% |
| 牛肉(輸入品) | 11.0% |
| からあげ | 8.3% |
出典:総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年7月分」(2026年8月21日公表)
一方で、下がっている費目もあります。電気代は1.7%の下落、都市ガス代は3.2%の下落、ガソリンは0.8%の下落でした。エネルギー関係は、政府の措置やガソリンの暫定税率廃止の影響もあって、食料とは逆の動きをしています。
保険料も物価の一部です。同じ統計では、自動車保険料(任意)が前年同月比5.9%の上昇で、総合指数を0.11ポイント押し上げる品目として名前が挙がっています。
その月の値段を、1年前の同じ月と比べたものです。上昇率が小さくなっても、値段そのものが下がったわけではありません。上昇率が0%になって初めて「1年前と同じ値段」、マイナスになって初めて「1年前より安い」という意味になります。
「暮らし向きにゆとりがなくなってきた」は55.0%
物価の数字と、暮らしの実感は別のものです。日本銀行が全国の満20歳以上を対象に実施している「生活意識に関するアンケート調査」の第106回(2026年5月7日〜6月9日調査、有効回答2,031人)では、次の結果が公表されています。
| 設問 | 回答 |
|---|---|
| 1年前と比べた現在の物価「かなり上がった」 | 68.5% |
| 同「少し上がった」 | 26.8% |
| 現在の暮らし向き「ゆとりがなくなってきた」 | 55.0% |
| 1年後の暮らし向き「悪くなる」 | 49.9% |
出典:日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」(第106回)
物価が上がったと感じている人は、「かなり」と「少し」を合わせて95.3%です。そして半数を超える人が、暮らし向きのゆとりが減ったと答えています。
実質賃金は7か月連続プラス。それでも家計が苦しいのはなぜか
ここで、見出しの印象と実態がずれやすい数字が出てきます。厚生労働省が2026年9月8日に公表した毎月勤労統計調査の2026年7月分速報によると、実質賃金は前年同月比2.4%の増加でした。現金給与総額は436,401円で、前年同月比4.7%の増加です。物価の伸びを賃金の伸びが上回っている状態です。
受け取った給与の額(名目賃金)から、物価の上がり方を差し引いたものです。給与が4.7%増えても物価が2.2%上がっていれば、実際に買える量の増え方は2.4%分にとどまります。額面ではなく、購買力で見た賃金です。
ただ、この数字は「増えた・減った」という1年間の変化を示すもので、水準そのものを示すものではありません。同じ統計の年ごとの推移を並べると、事情が見えてきます。
| 年 | 実質賃金の前年比 |
|---|---|
| 2022年 | −1.0% |
| 2023年 | −2.5% |
| 2024年 | −0.3% |
| 2025年 | −1.3% |
| 2026年7月(速報) | +2.4% |
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年7月分結果速報」(2026年9月8日公表)
実質賃金は2022年から2025年まで4年連続でマイナスでした。プラスに転じたのは2026年1月で、7月分まで7か月続いています。
つまり、いま起きているのは「4年間かけて減った購買力が、2026年に入ってようやく増え始めた」という状態です。プラスに転じたことと、減った分が戻ったことは別の話です。日本銀行の調査で半数以上が「ゆとりがなくなってきた」と答えているのは、この差に理由の一つがあります。
もう一つ、実質賃金は全国の平均値だという点もあります。平均が上がっていても、自分の給与がその通りに動いているとは限りません。
生命保険をやめる理由の1位は「インフレ」ではない
家計が苦しくなったとき、見直しの対象になりやすいのが毎月の固定費です。生命保険はその代表格といえます。
生命保険文化センターが2025年1月に発行した2024(令和6)年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、2021年からの3年間に民間の生命保険を解約・失効した世帯の割合は10.0%(前回調査10.3%)でした。世帯主の年齢別では、30〜34歳と35〜39歳がいずれも14.2%で最も高くなっています。
その理由は、複数回答で次のように公表されています。
| 解約・失効の理由 | 2024年度調査 | 前回(2021年度) |
|---|---|---|
| 他の生命保険に切り替えたので | 31.8% | 34.6% |
| 掛金を支払う余裕がなくなったから | 24.8% | 23.0% |
| 義理で入ったものなので | 12.0% | 11.9% |
| 掛金が更新により高くなってしまったから | 9.8% | 12.8% |
| まとまったお金が必要となって | 9.8% | 9.9% |
| 高額な保障が必要なくなったから | 7.5% | 8.0% |
| 他に有利な貯蓄手段があったので | 6.8% | 1.7% |
| 生命保険はインフレに対応できないと考えて | 1.0% | 0.7% |
出典:生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」(2025年1月発行)。かんぽ生命を除く。主な項目を抜粋。
注目したいのは、「生命保険はインフレに対応できないと考えて」を挙げた世帯は1.0%にとどまることです。物価が上がると、契約したときに決めた保険金の額で買えるものは少なくなります。理屈としてはインフレは保険の価値に関わる話ですが、それを解約の理由として意識している人は多くありません。
そのかわり、家計側の事情を挙げた回答が並びます。「掛金を支払う余裕がなくなったから」24.8%と「掛金が更新により高くなってしまったから」9.8%です。インフレは、理由の名前としてではなく、支払い能力の問題として表れています。
前回調査から増えたのは2項目で、「他に有利な貯蓄手段があったので」が5.1ポイント、「掛金を支払う余裕がなくなったから」が1.8ポイントの増加でした。
解約は、契約者が自分の意思で契約をやめることです。失効は、保険料の払い込みが一定期間なかったために契約の効力がなくなることをいいます。生命保険文化センターの調査では、この2つをまとめて「解約・失効」として集計しており、払済保険・延長定期保険・転換制度の利用は含めていません。
この全国調査が対象にしているのは2021年から2024年にかけての解約・失効です。では、物価の上昇が続いた2026年のいまは、どうなのでしょうか。
この1年以内に解約した30人に、きっかけと使い道を聞いた
スマートマネーライフ編集部は2026年9月、この1年以内に生命保険を解約した方に、解約を考え始めたきっかけと、解約後のお金の使い道の2点を、自由回答で聞きました。集まった回答を分類したものが次の表です。
解約を考え始めたきっかけ
| きっかけ | 件数(30件中) |
|---|---|
| 家計や保険料の負担(物価高騰・収入減・更新による値上がりを含む) | 11件 |
| 保険の見直し、より条件のよい商品への切り替え | 10件 |
| 引っ越し・出産・転職・退職・病気などの出来事 | 6件 |
| 保険会社や担当者への不安 | 2件 |
| 記載なし | 1件 |
最も多かったのは家計や保険料の負担で、30件中11件でした。そのうち物価高騰にはっきり触れていたのは2件です。
物価高騰で生活費の工面が大変になり
生活費に回す
収入減、物価高騰 1年前くらい
生活費
物価という言葉を使っていなくても、支払いの重さを挙げた回答は続きます。
更新で保険料が高くなった
生活費に混ざった
「生活費に混ざった」という表現は、このテーマの実態をよく表しています。解約して受け取ったお金が、行き先を決められないまま日々の支出に吸収されていく、ということです。
解約したお金の使い道
| 使い道 | 件数(複数回答を含む) |
|---|---|
| 他の生命保険に乗り換えた | 11件 |
| 生活費にあてた | 10件 |
| 投資信託や個人向け国債に回した | 9件 |
| 貯蓄として残した | 4件 |
| その他(健康の維持など) | 1件 |
※出典:この1年以内に生命保険を解約した方に実施したアンケート(2026年9月・ミルトーク、有効回答34件のうち30件を分類)。1人で複数の使い道を挙げた回答は重複して数えています。自己申告による小標本のため、傾向・実体験の声として紹介しています。コメントの文言は原文のまま、質問ごとに分けて掲載しています。
全国調査で1位だった「他の生命保険に切り替えた」が、この30件でも最多でした。生活費にあてた10件と合わせると、解約したお金の行き先は「乗り換え」「生活費」「投資・貯蓄」の3方向に分かれています。
行き先を決めて解約した回答も複数ありました。
今年春、家計を見直した際に保障が重複していると気づき、保険料が負担に感じて解約を検討。比較した結果、夏に解約しました。
解約返戻金は生活防衛資金として普通預金に残し、毎月浮いた保険料の一部は新NISAの積立に回しています。保障は必要最低限の他社商品に乗り換えました。
家計を見直した際に、保険料が負担に感じるようになったことがきっかけです。半年ほど前から解約を考え始めました。
解約後は保険料として払っていた分を貯金に回し、生活費や将来のための資金として残しています。
同じ「保険料が負担」というきっかけでも、保障を残したうえで契約を組み替えた回答と、受け取ったお金が生活費に吸収された回答とに分かれました。解約という行動そのものより、そのあとの行き先を決めているかどうかで結果が変わります。
解約を決める前に確認しておきたい3つのこと
1. 健康状態が変わると、同じ保険には入り直せないことがある
生命保険は、加入するときに健康状態を告知します。解約したあとで同じ保障が必要になっても、そのときの健康状態によっては同じ条件で入り直せません。今回の調査にも、この点に触れた回答がありました。
大病のため解約された。
しばらく健康に過ごさなければ同じような保険には入れないので健康のために使用している。
乗り換えを考えている場合は、新しい契約の成立を確認してから、いまの契約を解約するという順番が基本になります。先に解約すると、告知の結果しだいで保障のない期間が生まれます。
2. 解約のほかに用意されている方法がある
保険料の支払いが重いという理由であれば、契約をやめる以外の選択肢が用意されていることがあります。生命保険文化センターの調査が解約・失効の集計から除外している払済保険・延長定期保険・転換制度は、いずれも契約を残したまま扱いを変える方法です。
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| 払済保険 | 保険料の払い込みをやめ、その時点の解約返戻金をもとに保障額を下げた契約に変更する |
| 延長定期保険 | 保険料の払い込みをやめ、保障額は変えずに保障される期間を短くする |
| 減額 | 保障額を下げて、その分だけ保険料を減らす |
| 特約の見直し | 主契約は残し、いまは必要性が低い特約だけを外す |
取り扱いの有無や条件は商品ごとに異なります。いま契約している保険会社に、自分の契約で何ができるかを確認してください。
3. 解約返戻金がいくら戻るか、払込総額と比べる
貯蓄型の保険では、解約時に解約返戻金を受け取れます。ただし、契約からの経過期間が短いうちは、それまでに払い込んだ保険料の総額を下回ることが多くあります。いくら戻るのかは、解約を決める前に保険会社に確認できます。
生命保険文化センターの調査では、2021年からの3年間に解約・失効した契約の継続期間は平均11年2か月で、前回調査より7か月長くなったと公表されています。
資産防衛の視点|大局を捉えて、淡々と続ける
物価の数字は毎月出ますし、そのたびに家計の話題が入れ替わります。ただ、今回見てきたように、1か月の上昇率だけを見ても家計の実態はつかめませんでした。実質賃金がプラスに転じたことと、4年間で減った購買力が戻ったことは別でしたし、解約の理由として「インフレ」と答える人は1.0%でも、支払い能力の問題としては24.8%に表れていました。一つの数字に反応するのではなく、複数の指標を並べて状況を捉えることが、家計の判断でも同じように大切です。
そして、保険の解約は金額の計算だけで決まる話ではありません。保障をやめるという判断には、健康状態が変われば戻せないという性質があります。毎月の支払いを軽くしたいという目的であれば、目的を満たす方法は解約だけではありません。減額や特約の見直しで足りるのか、契約ごと組み替えたほうがよいのかは、いまの契約内容によって変わります。
解約して手元に戻ったお金についても同じです。今回の調査では、行き先を決めていた回答と、生活費に吸収された回答に分かれました。固定費を下げた効果を残すには、浮いた分の置き場所を先に決めておくことが必要になります。
SNSやメディアには、保険をやめるべきだという話も、続けるべきだという話も流れています。どちらが自分に当てはまるのかは、いまの契約内容と家計の状態によって変わります。判断がつかないときは、保険会社ではない第三者の立場のファイナンシャルプランナーに確認してみるのも一つの方法です。
保険料の負担が重いけれど解約してよいか迷っている方は、マネーキャリアの無料相談を活用してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
保険金や給付金の額は契約したときに決まります。物価が上がると、同じ金額で買えるものは少なくなるため、保障の実質的な価値は目減りします。ただし生命保険文化センターの2024年度調査では、解約・失効の理由として「生命保険はインフレに対応できないと考えて」を挙げた世帯は1.0%にとどまりました。インフレの影響は、解約の理由としてよりも「掛金を支払う余裕がなくなったから」24.8%という支払い能力の形で表れています。
生命保険文化センターの2024(令和6)年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、2021年からの3年間に民間の生命保険を解約・失効した理由は「他の生命保険に切り替えたので」31.8%が最も多く、次いで「掛金を支払う余裕がなくなったから」24.8%、「義理で入ったものなので」12.0%の順でした(複数回答、かんぽ生命を除く)。
契約を残したまま負担を軽くする方法として、払済保険への変更、延長定期保険への変更、保障額の減額、必要性の低い特約を外す見直しなどがあります。取り扱いの有無や条件は商品によって異なるため、契約している保険会社に自分の契約で何ができるかを確認してください。
加入時には健康状態を告知するため、解約後に健康状態が変わっていると、同じ条件で入り直せないことがあります。乗り換えを考えている場合は、新しい契約が成立したことを確認してから、いまの契約を解約する順番が基本です。先に解約すると、保障のない期間が生まれる可能性があります。
総務省統計局の2026年7月分消費者物価指数によると、総合指数は前年同月比1.9%の上昇、生鮮食品を除く総合は1.8%の上昇でした。食料は3.5%の上昇で、うち生鮮食品は7.0%の上昇です。一方で電気代は1.7%、都市ガス代は3.2%それぞれ下落しました。
出典
- 2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)7月分 総務省統計局 2026年8月21日公表
- 毎月勤労統計調査 2026(令和8)年7月分結果速報 厚生労働省 2026年9月8日公表
- 「生活意識に関するアンケート調査」(第106回)の結果 日本銀行 2026年5月7日〜6月9日調査
- 2024(令和6)年度「生命保険に関する全国実態調査」 生命保険文化センター 2025年1月発行
- この1年以内に生命保険を解約した方に実施したアンケート スマートマネーライフ編集部 2026年9月・ミルトーク 有効回答34件のうち30件を分類
※本記事の情報は2026年9月15日時点のものです。状況は変化する可能性があるため、最新情報は各報道機関・各府省庁の公式サイトでご確認ください。