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「つるとんたん」128億円で買収│家計が削っていたのは、外食より食材だった│家計調査で見る食費の中身

角田 有紀 角田 有紀 更新日:

2026年9月17日、サンマルクホールディングスが、うどん店「つるとんたん」の事業を128億円で取得すると発表しました。外食業界では、「資さんうどん」の240億円での買収や、「しんぱち食堂」の約110億円での買収など、大型買収が相次いでいます。

なぜ外食チェーンに大型買収の資金が集まるのか。その背景を総務省の家計調査から見ると、値上げが続くなかでも外食への支出が比較的維持されていることが分かります。食料への支出が実質で減少する一方、外食への支出は増えています。

この記事では、買収の中身を確認したうえで、家計データから食費でいま何が起きているのかを整理します。

本記事の情報は2026年9月17日時点のものです。

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サンマルクHDが「つるとんたん」を128億円で取得すると発表

発表された内容

サンマルクホールディングスは2026年9月17日、うどん店「つるとんたん」の事業を取得すると発表しました。取得額は128億円です。

譲り渡すのは、高級旅館「ふふ」などを運営するカトープレジャーグループのグループ会社、ケー・エキスプレスです。サンマルクHDが100%子会社を新しくつくり、そこへ事業を移す形をとります。承継会社の設立は9月30日、事業が移る日は12月1日の予定と報じられています。

【用語】吸収分割

会社の事業の一部を、そのまま別の会社へ引き継がせる手続きのことです。店舗や設備、契約、働いている人との雇用関係などをまとめて移せるため、事業だけを売り買いするときによく使われます。会社そのものを買う「株式の取得」とは違い、対象の事業だけを切り出せるのが特徴です。

買収対象は14店舗だけではない

買収対象は、国内の直営14店舗(「つるとんたん」13店舗と「羽田百膳」1店舗)、海外のフランチャイズ2店舗に加え、製麺事業とギフト商品の販売事業です。店舗だけでなく、麺をつくる機能と物販の販路がセットになっています。

この事業の売上高は、日本経済新聞によると2026年3月期で61億3500万円です。128億円という取得額は、年間売上高の約2倍に相当します。

「つるとんたん」は1989年に大阪・宗右衛門町で1号店が開かれたうどん店です。注文を受けてから麺をゆでる形式で、セルフサービス型のうどんチェーンとは価格帯が異なります。

出典
流通ニュース|サンマルクHD/うどん専門店「つるとんたん」を128億円で買収 2026年9月17日
日本経済新聞|サンマルクHD、うどん店「つるとんたん」を買収へ 128億円で 2026年9月17日

外食の大型買収は、この2年で続けて決まっている

公表されている主な案件

今回の買収は、単発の出来事ではありません。外食大手が既存のブランドを丸ごと買う動きが、この2年のあいだに続けて公表されています。

外食大手による主な買収(2024年以降に公表されたもの)

買った会社 対象ブランド 金額 公表時期
サンマルクHD つるとんたん 128億円 2026年9月
サンマルクHD 京都勝牛(ジーホールディングス) 112億円 2024年10月
サンマルクHD 牛かつもと村 105億円 2024年11月
すかいらーくHD 資さんうどん(資さん) 240億円 2024年9月
すかいらーくHD しんぱち食堂(しんぱち) 約110億円 2026年3月

サンマルクHDは2024年の2件だけで217億円を投じており、今回の128億円を加えると、この2年で345億円になります。

出典
日本経済新聞|サンマルク、牛カツ「京都勝牛」を子会社化 112億円で 2024年10月4日
日本経済新聞|サンマルク、牛カツ専門店「もと村」105億円で買収 2024年11月19日
日本経済新聞|すかいらーく、九州の「資さんうどん」買収 240億円で 2024年9月
流通ニュース|すかいらーくHD/干物定食「しんぱち食堂」買収 2026年3月24日

自前で出店するより、ブランドごと買収するほうが速い

大手が自分で新しい業態を立ち上げる場合、店を出す場所を探し、内装をつくり、メニューを開発し、客がつくまで待つことになります。土地や建築費、人を集めるための費用は上がっており、うまくいく保証もありません。

すでに顧客を獲得しているブランドを買収すれば、こうした工程の一部を省けます。買う側は全国の物件を探す網や、食材をまとめて仕入れる仕組み、配送の仕組みをすでに持っているので、買ったブランドをその仕組みに乗せれば、店舗数を増やしやすくなります。

ただし、128億円を払った以上、その分を回収する必要が出てきます。ここが、家計の側から見たときに関係してくる部分です。

家計調査で見ると、支出が減っていたのは外食ではなく食材だった

食料への支出は実質で減っている

総務省の家計調査によると、2025年の二人以上の世帯の消費支出は、1世帯あたり1か月平均314,001円でした。名目では前年比4.6%の増加ですが、物価の上昇分(3.7%)を除いた実質では0.9%の増加にとどまります。

このうち食料は94,895円で、名目5.5%の増加。物価上昇分を除いた実質では、1.2%の減少です。支出額は増えている一方、物価変動の影響を除いた実質では減少していることになります。

【用語】名目と実質

「名目」は、実際に財布から出ていった金額のことです。「実質」は、そこから物価の上昇分を取り除いて、購入量がどう変わったかを見たものです。

食費が名目で5.5%増えていても、食料の値段がそれ以上に上がっていれば、実質はマイナスになります。支出額は増えていても、購入量としては前年を下回っている状態です。

支出が減った費目と、増えた費目

食料の中身を費目ごとに見ると、どこが減らされたのかがはっきり出ています。

食料の主な内訳(二人以上の世帯・2025年平均・1か月あたり)

費目 金額 名目 実質
外食 16,563円 +5.9% +1.8%
調理食品 13,580円 +4.5% −1.2%
野菜・海藻 9,715円 +4.0% −2.3%
菓子類 9,211円 +5.9% −2.8%
穀類 8,808円 +18.7% −2.6%
肉類 8,520円 +2.9% −2.0%
飲料 5,859円 +4.6% −3.1%

出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果の概要」の表Ⅰ−1−1より、金額の大きい費目を抜粋

食料の中で最も金額が大きい費目は、外食の16,563円です。そしてこの表に挙げた費目のうち、実質で増加しているのは外食だけです。

穀類の名目18.7%増は、米の価格が上がったためです。ただし実質は2.6%の減少でした。値段が上がったぶん、買う量を減らしていたことになります。菓子類、野菜・海藻、飲料も同じ形です。

つまり2025年の家計は、スーパーで買うものを減らしながら、外食は減らしていなかったということになります。

2026年に入っても、同じ形が続いている

この傾向は年単位の平均だけの話ではありません。総務省が2026年9月4日に公表した2026年7月分の家計調査では、消費支出は301,245円で実質3.6%の減少、8か月連続の実質減少でした。食料も実質1.3%の減少で、2か月連続の減少です。

それでも、消費支出の実質増減率を押し上げた項目として「外食」が挙げられています(寄与度+0.31)。押し下げた側には自動車購入や外壁工事費、電気代が並びました。

家計全体では8か月連続で実質減少となるなか、外食は支出を維持しています。1年の平均でも、直近の1か月でも、同じ形が出ています。

出典
総務省統計局|家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要 2026年2月6日公表
総務省統計局|家計調査報告(二人以上の世帯)2026年7月分 2026年9月4日公表

いちばん値上がりしているのは、外食ではない

物価指数で見ると、食料のほうが上がっている

「外食が高くなった」という話はよく聞きます。ただ、実際の統計では、異なる動きが見られます。

総務省が2026年8月21日に公表した2026年7月分の消費者物価指数では、総合が前年同月比1.9%の上昇。そのうち食料は3.5%の上昇で、外食は1.7%の上昇です。外食の上昇率は、総合とほぼ同じ水準で、食料全体の半分以下にとどまっています。

前年同月比の上昇率(2026年7月・消費者物価指数)

区分 前年同月比
食料 +3.5%
総合 +1.9%
生鮮食品を除く総合 +1.8%
外食 +1.7%

出典:総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年7月分」(2026年8月21日公表)

体感とずれるのは、品目の差が大きいから

では、なぜ外食が高くなったと感じるのか。同じ統計の内訳を見ると、答えが出ています。

外食の平均は1.7%ですが、ハンバーガー(外食)は13.2%の上昇でした。平均値には、大きく値上がりした品目と、価格の変動が小さい品目の動きがまとめて反映されます。よく行く店のメニューが大きく上がっていれば、統計上の平均が1.7%でも、体感としては「全体が上がった」になります。

統計の平均と、自分の財布で起きていることは別です。平均だけを見て自分の実感を否定する必要はありませんし、逆に実感だけで全体を語ることもできません。両方を並べて見ておくのが実際的です。

出典
総務省統計局|2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年7月分 2026年8月21日公表

エンゲル係数28.6%が意味していること

前年から0.3ポイント上がった

家計調査によると、2025年のエンゲル係数は28.6%で、前年から0.3ポイント上昇しました。報道では「1981年以来44年ぶりの高水準」と伝えられています。年度で区切った場合は2025年度が28.8%で、1980年度以来45年ぶりの高さだったと読売新聞が報じています。

【用語】エンゲル係数

消費支出のうち、食料費が占める割合のことです。所得が増えると、食費以外に使える余裕が生まれるため、この割合は下がる傾向があるとされています。逆に上がっているときは、食費以外に回せる部分が狭まっていることを示します。

家計調査では、他の世帯への贈答などを除いた食料費で計算しています。

「食費が増えた」ではなく「食費以外が狭まった」

エンゲル係数が上がったと聞くと、ぜいたくをした結果に見えるかもしれません。ここまで見てきたとおり、実際には食料の実質支出は1.2%減っています。買う量を減らしてなお、支出に占める割合が上がったということです。

ここから見えてくるのが、家計への影響です。食費の割合が上がった分だけ、住居費や保険料、教育費、そして貯蓄や投資に回せる部分が狭くなっています。

出典
総務省統計局|家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果の概要
日本経済新聞|2025年のエンゲル係数、44年ぶり高水準 2026年2月6日
読売新聞|25年度の消費支出、実質0.1%増…エンゲル係数は45年ぶりの高さに 2026年5月12日

食費を削る節約が、翌月に戻ってしまう理由

買う量を減らす節約には、続けられる限界がある

家計調査が示しているのは、多くの世帯がすでに食費を締めているという事実です。穀類も菓子類も飲料も、実質では減っています。

ただ、この種の節約は毎回判断が必要です。スーパーで手に取るかどうかを、そのつど決めることになります。判断を続けるのは負担が大きく、体調や忙しさで元に戻りやすいのが、食費のような変動費の性質です。

そして買う量には下限があります。減らし続けることはできません。

一度決めれば戻らない支出がある

一方で、通信料、保険料、電気やガスの契約、使っていないサブスクリプションのように、一度見直せば翌月から自動的に下がり、意思の力を必要としない支出があります。

金額の大きさよりも、見直しの効果が何か月続くかで考えると、優先順位がはっきりします。食費を1,000円削るのは毎月の努力が要りますが、固定費を1,000円下げれば、翌月以降は何もしなくても下がったままです。

資産防衛の視点|締めるところと、締めないところを分ける

外食を残すことを、節約の失敗と考える必要はない

ここまでのデータを見て、外食を減らすべきだという話にはなりません。家計調査が示しているのは、多くの世帯が食材を切り詰めながら外食は残しているという選択をしている、という事実だけです。外食大手による相次ぐ買収の背景には、こうした消費動向もあると考えられます。

大切なのは、自分の家計にとって何を優先するかを決めておくことです。何にお金を使うかを自分で決めていれば、それは節約の失敗ではありません。

食費の変動と、積立の継続は別の話

食費が上がった月に、積み立てている投資信託の金額を下げたくなることがあります。ただ、食費は月によって変動するため、そのたびに長期の積立額を変更すると、結果として相場が下落した局面で買い増す機会を逃す可能性があります。

積立をやめる判断が必要なのは、家計が継続的に赤字になっているときです。1か月の食費が増えたことは、その材料になりません。物価の話と資産形成の話は、いったん分けて考えるほうが整理しやすくなります。

判断に迷ったら、第三者に相談する

物価に関する情報は、統計の数字と、SNSや報道の見出しと、自分の実感で食い違うことがあります。この記事で見たとおり、「外食が高い」という印象と統計上の上昇率はそろっていませんでした。

どの情報を基準に判断すればよいか迷ったときは、専門家など第三者に相談し、自分の家計に合った判断材料を整理する方法もあります。家計のどこを締めて、どこを締めないかは、収入も家族構成も違えば答えが変わります。

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よくある質問

128億円です。2026年9月17日に発表されました。カトープレジャーグループのグループ会社であるケー・エキスプレスから、吸収分割という方法で事業を引き継ぎます。事業が移る日は12月1日の予定です。対象は国内直営14店舗、海外フランチャイズ2店舗、製麺事業、ギフト商品の販売事業で、この事業の売上高は2026年3月期で61億3500万円と報じられています。

2026年7月の消費者物価指数では、外食は前年同月比1.7%の上昇で、食料全体の3.5%より小さい上昇率でした。総合の1.9%も下回っています。ただし品目差は大きく、ハンバーガー(外食)は13.2%の上昇です。よく利用する店の値上げ幅が大きければ、平均値と体感がずれることになります。

いいえ。2025年の家計調査では、食料への支出は名目で5.5%増えた一方、物価上昇分を除いた実質では1.2%減っています。買う量はむしろ減らしているのに、支出全体に占める割合が28.6%まで上がった、というのが実際の中身です。食費以外に回せる部分が狭まっていることを示しています。

食費が増えた月があるというだけでは、止める理由になりません。積立の見直しを考えるのは、家計が継続的に赤字になっているときです。毎月同じ金額で買い続けている場合、価格が下がった月には同じ金額でより多く買えるため、短期の変動に合わせて金額を動かすと、その効果を手放すことになります。まず見直す対象は、通信料や保険料のような固定費です。

出典

  1. サンマルクHD/うどん専門店「つるとんたん」を128億円で買収 流通ニュース 2026年9月17日
  2. サンマルクHD、うどん店「つるとんたん」を買収へ 128億円で 日本経済新聞 2026年9月17日
  3. サンマルク、牛カツ「京都勝牛」を子会社化 112億円で 日本経済新聞 2024年10月4日
  4. サンマルク、牛カツ専門店「もと村」105億円で買収 日本経済新聞 2024年11月19日
  5. すかいらーく、九州の「資さんうどん」買収 240億円で 日本経済新聞 2024年9月
  6. すかいらーくHD/干物定食「しんぱち食堂」買収、資さんうどんに続き低価格帯を強化 流通ニュース 2026年3月24日
  7. 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要 総務省統計局 2026年2月6日公表
  8. 家計調査報告(二人以上の世帯)2026年(令和8年)7月分 総務省統計局 2026年9月4日公表
  9. 2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)7月分 総務省統計局 2026年8月21日公表
  10. 2025年のエンゲル係数、44年ぶり高水準 12月実質消費支出は2.6%減少 日本経済新聞 2026年2月6日
  11. 25年度の消費支出、実質0.1%増…エンゲル係数は45年ぶりの高さに 読売新聞 2026年5月12日

※本記事の情報は2026年9月17日時点のものです。状況は変化する可能性があるため、最新情報は各報道機関の公式サイトでご確認ください。

角田 有紀

角田 有紀 金融・保険ライター

大学卒業後20年間、東京の銀行に勤務。10年にわたり本部で、保険や投資信託の営業推進体制を整備。「商品を“売る”のではなく、資産運用の必要性を自ら実感してお客さまに“提案”できる人材を育成すること」をモットーに、社員のコンサルティング研修や、金融リテラシー向上を目的としたお客さま向けセミナーの、企画・運営に携わった。記事づくりで意識しているのは「自分の家族にも同じ提案ができるか」。自分ゴトとして伝えるコンテンツ作りを目指します。

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