長期金利が一時2.825%に急上昇、約30年ぶりの高水準

6日の国内債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時2.825%まで上昇しました。1996年10月以来、約30年ぶりの水準です。高市早苗政権の積極財政による財政悪化リスクを意識した債券売りが優勢になっています。

そもそも「長期金利」とは?

長期金利とは、満期までの期間が長い(一般的に10年)国債の利回りのことで、10年物国債の利回りが代表的な指標として使われています。

長期金利は、住宅ローンの固定金利や、企業がお金を借りるときの金利、保険会社の運用利回りなど、社会のさまざまな金利の「基準」になっています。日銀が直接コントロールする政策金利(短期金利)とは別物で、長期金利は市場での国債の売買によって日々動きます。景気や物価、財政状況など、先々の見通しを反映しやすい金利ともいえます。

実はこの金利上昇は今回が初めてではありません。7月3日にも一時2.81%まで上昇しており、今週に入ってから立て続けに「約30年ぶり」の水準が更新されている状況です。じわじわと金利が上がり続けているというのが、今の実態に近いです。

長期金利は上昇が続く(10年債・30年債の利回り推移イメージ)
出典:日本経済新聞「長期金利2.825%に上昇、一時30年ぶり高さ 財政リスク意識」(2026年7月6日)の内容をもとにスマートマネーライフ編集部が作成した推移イメージです。正確な日次データは元記事をご覧ください:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0337F0T00C26A7000000/

なぜ「財政への懸念」が「国債売り」につながるのか

政府が積極的にお金を使う政策を進めると、その分、国債(国の借金)の発行が増えやすくなります。国の借金が膨らみ続けると、「将来、きちんと返済できるのか」という不安が投資家の間で広がります。国債を持ち続けるリスクが意識されるようになると、投資家は国債を手放そうとする動きが強まります。これが「国債売り」です。

なぜ「国債売り」が「金利上昇」につながるのか

国債は、株式と同じように市場で売買されていて、需要と供給で価格が変わります。売る人が増えると、国債の価格は下がります。そして、国債の価格と金利(利回り)は、シーソーのような逆の関係にあります。価格が下がると、相対的に利回りは上がる仕組みです。今回の金利上昇も、この価格と利回りの関係から起きています。

Xでも話題に|懸念の声と、チャンスと見る声の両方

このニュースを受けて、X(旧Twitter)でもさまざまな声が上がっています。いくつか見てみましょう。

@KMichiyori

勘弁してくれ
【速報】上昇続く長期金利 一時2.83%に 約30年ぶりの高水準...

@ryokazufumi

個人向け国債の利回りが上昇中
変動10年が年1.80%
しかもキャンペーン活用で利回りがさらに上乗せ
銀行の定期預金を超える安全資産を探している人必見

@kokusai_sensei

7月募集の #個人向け国債 の発行条件が発表されました。
🌊7月の金利🌊
・変動10年 1.80%
・固定5年 1.95%
・固定3年 1.56%

不安の声もあれば、「金利が上がった今こそチャンス」と前向きに捉える声もあります。まずは事実を整理していきましょう。

今日は個人向け国債7月募集分の金利発表日

実はこの長期金利のニュースと同じ7月6日、財務省から個人向け国債7月募集分の金利も発表されました。変動10年が年1.80%、固定5年が年1.95%、固定3年が年1.56%です。前月からいずれも上昇しており、長期金利の上昇がそのまま反映された形になっています。

個人向け国債の金利推移(2026年1月〜7月募集分)
出典:財務省「個人向け国債」発行条件データ(変動10年・固定5年・固定3年)をもとにスマートマネーライフ編集部作成。詳細は財務省公式サイトをご覧ください:変動10年 https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/main/issue/hendou10//固定5年 https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/main/issue/kotei5//固定3年 https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/main/issue/kotei3/

今年に入ってからの7ヶ月だけを見ても、3タイプすべてが右肩上がりで推移してきたことがわかります。多少の月ごとの上下はあるものの、全体としては金利が戻ってきている局面と言えそうです。

定期預金・個人向け国債、今後の金利見通しは?

定期預金の金利は、日銀の政策金利や長期金利の動きを見ながら、各銀行が個別に判断して決めています。長期金利がこれだけ上がっている状況が続けば、定期預金の金利にも上乗せの動きが出やすいと考えられます。実際、この1年で多くの銀行が定期預金キャンペーンの金利を段階的に引き上げてきました。

個人向け国債のうち、半年ごとに金利が見直される「変動10年」は、今回のような金利上昇局面ではとくに恩恵を受けやすいタイプです。逆に「固定5年」「固定3年」は、購入した時点の金利がそのまま満期まで固定されるので、今後さらに金利が上がると考えるなら、購入タイミングそのものが重要になってきます。反対に、金利がここでピークを迎えると考えるなら、今のうちに固定型で利率を確保しておくという考え方もできます。

シミュレーション|定期預金 vs 個人向け国債5年、利息はどれくらい違う?

2026年7月6日現在の実際の金利で、100万円を5年間預ける場合を比較してみましょう。

  • メガバンクの定期預金(1年もの・年0.40%):同じ金利で5年間預け続けたと仮定すると、5年間の利息は税引後で15,940円
    利息計算の計算根拠はこちら

    元本1,000,000円 × 年0.40% = 年間利息4,000円(税引前)

    源泉徴収税額(20.315%、1円未満切り捨て):4,000円 × 20.315% = 812.6円 → 812円

    1年あたりの税引後利息:4,000円 − 812円 = 3,188円

    同じ金利で5年間受け取ると仮定:3,188円 × 5年 = 15,940円

  • ネット銀行の定期預金(例:あおぞら銀行BANK「BANK The 定期」1年もの・年1.20%):同じ金利で5年間預け続けたと仮定すると、5年間の利息は税引後で47,815円
    利息計算の計算根拠はこちら

    元本1,000,000円 × 年1.20% = 年間利息12,000円(税引前)

    源泉徴収税額(20.315%、1円未満切り捨て):12,000円 × 20.315% = 2,437.8円 → 2,437円

    1年あたりの税引後利息:12,000円 − 2,437円 = 9,563円

    同じ金利で5年間受け取ると仮定:9,563円 × 5年 = 47,815円

  • 個人向け国債・固定5年(年1.95%):5年間の利息は税引後で77,700円
    利息計算の計算根拠はこちら

    1回あたりの利子(税引前):1,000,000円 × (1.95% ÷ 2) = 9,750円

    1回あたりの税額(源泉徴収20.315%、1円未満切り捨て):9,750円 × 20.315% = 1,980.7125円 → 1,980円

    1回あたりの税引後利子:9,750円 − 1,980円 = 7,770円

    5年間(半年ごと10回分)の合計:7,770円 × 10回 = 77,700円

※源泉徴収税(20.315%)は、いずれも1回ごとの利払いの時点で個別に計算し、1円未満を切り捨てたうえで合算しています。メガバンク・ネット銀行は1年ごとの利払い(5回)、個人向け国債は半年ごとの利払い(10回)と頻度は異なりますが、税額の計算方法は共通です。

同じ100万円でも、預け先によって受け取れる利息にこれだけの差が出ることがわかります。メガバンクとネット銀行だけでも3倍近い差があり、個人向け国債まで含めるとさらに開きが大きくなります。

5年ものを1本作るか、1年ものを5回更新し続けるか
定期預金には「5年もの」を最初から選ぶ方法のほかに、「1年もの」を毎年更新し続けて実質5年間預けるという方法もあります。1年ごとに、その時点で一番金利の良い銀行に預け替えることができるので、今回のように金利が上昇し続けている局面では有利に働きやすい方法です。

ただし、更新を忘れてしまうリスクや、1年ごとに手続きの手間がかかること、そして「その時使う予定がなかったはずのお金」を更新のたびに引き出せる状態にしてしまうことで、うっかり他の用途に使ってしまうリスクもあります。個人向け国債の固定5年は、いったん決めたらそうした手間や誘惑がない代わりに、5年間の金利があらかじめ固定される、という違いがあります。

個人向け国債と定期預金、そもそも何が違う?

定期預金は、お金を「銀行」に預ける仕組みです。一方、個人向け国債は、お金を「国」に貸す仕組みです。どちらも元本割れしにくい安全性の高い商品として知られていますが、預け先が違います。定期預金は預金保険制度により1金融機関につき元本1000万円とその利息まで保護される一方、個人向け国債は預金保険の対象外です。その代わり、発行体が日本国そのものであるため、信用力の面では高い安全性を持つとされています。

個人向け国債を途中で解約したらどうなるか
個人向け国債は、発行から1年間は原則として中途換金ができません。1年を過ぎれば中途換金は可能ですが、直近1〜2回分の利子相当額が差し引かれる「中途換金調整額」というペナルティがあります。それでも元本を割り込むことはない、というのが個人向け国債の安心できるポイントです。定期預金も中途解約はできますが、その場合は当初の約束より低い「中途解約利率」が適用されるのが一般的です。

今日買うべきか?資産防衛の視点

長期金利の急上昇は、見方によっては不安なニュースに映るかもしれません。ただ、金利が上がっている今の局面は、定期預金や個人向け国債といった「守りの資産」にとっては、むしろ利息を受け取りやすいタイミングとも言えます。

とはいえ、定期預金と個人向け国債、どちらが良い・悪いという話ではありません。どちらも安全性の高い商品であり、使う目的や時期に応じて選べばよいものです。

一方で、昨今の物価上昇率を踏まえると、資産のすべてを定期預金だけにしておくのはリスクがあります。金利が上がってきたとはいえ、物価上昇のペースには届いていないため、現金・預金だけに偏らせていると、お金の実質的な価値がじわじわと目減りしてしまうからです。個人向け国債に加えて、新NISAを使った投資信託や株式投資も、選択肢としては取り入れたほうがよいでしょう。

ただ、それよりも先にやるべきことがあります。それは、自分の資産を目的別に「色分け」することです。

生活防衛資金(すぐに使える現金・預金)が十分にないまま新NISAで投資信託を買いすぎてしまい、日々の生活が苦しくなる「新NISA貧乏」になってしまうケースもあれば、逆に本来は投資に回してよいはずのお金まで現金・預金のまま置いておき、気づけばお金の価値が目減りしていた、というケースもあります。どちらも、資産を色分けせずに金融商品を選んでしまったことが原因です。

お金の色分け(短期資金・中期資金・長期資金の分け方)

まずは自分の資産を「短期(日常で使うお金)」「中期(2〜5年以内に使うお金)」「長期(5〜10年以上使う予定のないお金)」に色分けし、それぞれに合った金融商品を選ぶことが、金利がどちらに動いても振り回されないための一番の土台になります。

どう色分けすればよいか、今の自分の資産配分が適切か迷う方は、一人で抱え込まず、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのも一つの方法です。マネーキャリアでは無料でFPに相談できるので、気になる方は検討してみてください。

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出典

  1. 日本経済新聞「長期金利2.825%に上昇、一時30年ぶり高さ 財政リスク意識」(2026年7月6日)記事
  2. NHKニュース「長期金利 約29年ぶり一時2.81%に上昇」(2026年7月3日)記事
  3. 財務省「個人向け国債」発行条件・発行スケジュール
  4. 財務省「個人向け国債」令和8年7月募集分 発行条件(変動10年固定5年固定3年

本記事の金利情報は2026年7月6日時点のものです。相場は変動するため、最新情報は各報道機関・財務省の公式サイトでご確認ください。