何が起きたか:日経平均が大幅に下落
7月17日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比2,694円(4%)安の64,141円で取引を終えました。「歴代5番目の下げ幅」と報じられています。取引時間中には一時4,000円を超える下落となる場面もありました。
半導体やAIに関連する会社の株が広く売られたことが、今回の下落の背景にあると報じられています。中でも、半導体をつくる大手企業「キオクシアホールディングス」の株価は、朝から大きく値下がりし、一時、その日に下げてよい範囲の限界(ストップ安)まで下落しました。6月につけた最高値と比べると、半分以下の水準まで落ち込んでいます。
スマホやパソコン、AIのデータ処理などに使われる、記憶装置(メモリー)をつくっている日本の会社です。世界的にAI関連の需要が高まったことを背景に、2024年に株式を上場してから株価が大きく上昇していました。
なぜここまで下がったのか
今回の下落の背景としては、大きく2つのことが報じられています。
1つ目は、世界的にAI関連の会社への期待が少し落ち着いてきたことです。前日のアメリカ市場で半導体関連の株が売られた流れを受けて、東京市場でもAI・半導体関連の株に広く売りが出ました。
2つ目は、キオクシアに関する個別の材料です。アメリカの会社との特許をめぐる裁判で、キオクシアに約370億円の賠償を払うよう命じる判断が出たと伝わり、株価の急落につながったと報じられています。
キオクシアは特許侵害370億円の賠償命令を受けストップ安に。ついに最高値から約半値💦 半導体関連は特にジェットコースター相場。
日経平均は、キオクシアのように影響力の大きい会社の株が下がると、指数全体も大きく引き下げられやすい仕組みになっています。一つの会社に関する材料が、指数全体の"歴代級の下落"につながった、というのが今回の背景です。
実は3割の銘柄は値上がりしていた
「日経平均が大幅下落」と聞くと、すべての銘柄が売られたかのような印象を受けますが、実態は少し違います。
大引け時点で、日経平均を構成する225銘柄のうち、値下がりは152銘柄でしたが、値上がりした銘柄も71銘柄ありました。「指数全体が大きく下がった」という見出しの裏側には、実は3割程度の銘柄は値上がりしていた、という実態があります。半導体・AI関連株に売りが集中する一方、内需系や一部の値上がり銘柄には資金が向かっていたことがわかります。
「日経平均下げ幅ランキング」歴代5位という言葉に振り回されないために
今回の下落は「歴代5位の下落幅」と報じられ、この言葉だけを見ると強い不安を感じるかもしれません。ですが、この"歴代5位"がどういう意味なのか、少し整理してみましょう。
左のグラフの通り、今回の下落幅(2,694円)は、確かに過去の記録の中で5番目の大きさです。ただ、これは「円」という金額で比べた順位である、という点に注意が必要です。
たとえば、月給10万円の人の1%アップと、月給100万円の人の1%アップでは、同じ1%でも増える金額はまったく違いますよね。日経平均も同じ考え方で、今は株価の水準そのものがこの半年で6万円台まで上がっているため、以前と同じ下落率(%)であっても、円で見た下落幅は以前より大きく見えやすくなっています。
「日経平均下落率ランキング」で見ると、印象が変わる
日本経済新聞社が公表しているデータによると、下落率(%)のランキングで見た場合、今回の-4.03%は歴代トップ20にも入りません。右のグラフの通り、1987年のブラックマンデー(-14.90%)や2024年8月の「令和のブラックマンデー」(-12.40%)と比べると、割合で見た下落の大きさには、はっきりとした差があります。
「歴代5位」という言葉自体は事実ですが、数字の切り取り方によって印象が大きく変わることがわかります。センセーショナルな見出しに振り回されず、複数の指標で状況を捉えることが大切です。
X上でも、同じ視点から冷静に指摘する声が見られました。
「歴代5位の下げ幅」と聞くとドキッとしますが…
率で見れば歴史的な暴落レベルではない、というのが実際のところ😰
数字は切り取り方で印象が変わるので、幅と率の両方で見るのが大事だなと改めて思いました📝
「日経平均株価、下げ幅歴代5位の終値64,141」派手な見出しが出てましたが、過去の平均株価と比べて現在の平均株価(分母)が大きいので、下落率(4%程度)で言えばそこまで大騒ぎする程でもないのかな🤔
2000年以降、日経平均はこうした急落を何度も乗り越えてきた
ここが今回、一番お伝えしたいことです。日経平均が大きく下落するのは、今回が初めてではありません。
2000年代のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2020年のコロナショック、2024年8月の「令和のブラックマンデー」と呼ばれた急落——日経平均は、これまでも幾度となく大きく値を下げてきました。しかし、俯瞰して見ると、その都度時間をかけて回復し、長期的には上昇を続けてきたことがグラフからわかります。
今、目の前で起きている下落だけを見ると大きな不安を感じるかもしれません。ですが、大きな時間軸で見れば、こうした急落は珍しいことではなく、むしろ繰り返されてきた"通過点"だったことが読み取れます。
新NISA世代が特に動揺しやすいタイミング
2024年に始まった新NISAをきっかけに投資を始めた方の中には、まとまった規模の下落を経験するのが今回初めて、という方も多いと思います。積み立てている資産の金額(評価額)が目に見えて減ると、「今すぐ売った方がいいのでは」という不安がよぎるのは自然な感情です。
X上でも、同じような不安を感じつつ、それでも積み立てを続けているという声が見られました。
日経平均-4.03%の暴落で6.4万円台に…今日は投資ママ泣きそうな1日だったね😭
新NISAの積立設定は触らずそのまま継続が正解だったよ♡ むしろ高配当株の買い場チャンス!
ただ、こうした場面でこそ大切なのが、つみたて投資の考え方です。
毎月など一定のタイミングで、一定額を買い続ける投資方法です。価格が高いときは少ない量を、価格が下がったときはより多くの量を自動的に買うことになるため、購入価格が平準化されるという特徴があります。
つみたてNISAや新NISAのつみたて投資枠は、この仕組みを活かした制度です。相場が下がった今も、いつもと同じ金額で買い続けていれば、結果的に「安いときに多く買えている」ことになります。
つまり、下落した今のタイミングで積み立てをやめてしまうことは、この仕組みのメリットを自ら手放してしまうことにもなります。短期的な評価額の増減に一喜一憂せず、決めた金額を淡々と積み立て続けることが、長期的な資産形成では基本になります。
株式のような値動きの大きさが気になる方には、個人向け国債のように値動きが少ない商品を組み合わせておくという選択肢もあります。
X上でも、同じ趣旨の声が見られました。
暴落が怖い=真面目な人ほど止まっちゃう…キオクシアみたいな急落を見ると「やっぱやめとこ」ってなるけど、その下落の時こそ、未来の自分が「ありがと」って言うタイミング…一緒に淡々と続けよ
キオクシアすごい値下がりかたやな。株はむずいな。積立が1番やな。
元銀行員として、これまで見てきた"暴落"の記憶
私自身、銀行で20年働く中で、2008年のリーマンショックから今回まで、大きな相場の急落をすべて経験してきました。金融機関で働く人間であっても、相場が急落する瞬間の動揺は、決して小さいものではありません。
2011年の東日本大震災で日経平均が急落したとき、ある先輩が、日経平均に連動する投資信託を普段より多めに買い増していたのを覚えています。周りは「こんな時に?」と驚いていましたが、今振り返ると、それは「安くなったときに買う」という、投資の基本に忠実な行動だったのだと思います。当時はその意味が今ひとつ分からず驚いていた私自身も、こうして何度も相場を経験してきた今では、その先輩の判断に納得しています。
暴落のたびに動揺するのは、プロも個人も変わりません。大切なのは、動揺した状態で慌てて売買を決めるのではなく、大きな時間軸で見たときに自分がどうしたいかを、落ち着いて考えることだと思います。
実際、2025年4月の「トランプ関税ショック」で市場が急落した際も、結局は時間の経過とともに市場は回復していきました。急落の渦中にいるときほど「今回は違うのではないか」と感じやすいものですが、振り返ってみると、多くの場合はこれまでと同じパターンをたどっています。
資産防衛の視点|大局を捉えて、淡々と資産運用を続ける
日経平均の急落、為替介入への警戒、GPIF発言、CPI発表と、この1カ月だけでも市場を動かすニュースが次々と出てきました。1つ1つのニュースに反応して売買を繰り返すよりも、大きなトレンドを捉えて、淡々と資産形成を続けていく姿勢が、結果的には資産を守ることにつながります。
資産の預け先・置き先を1つに集中させず、複数の選択肢に分けておくことも、こうした急落の場面で気持ちを落ち着けるための備えになります。株式や投資信託だけでなく、個人向け国債のような値動きの異なる商品を組み合わせておくことも、こうした場面で気持ちを落ち着けやすくする一つの方法です。銀行口座そのものを複数に分けて管理しておくことも、資産全体を把握しやすくする備えの一つです。
今回のようなマーケットの混乱を受けて、自分の資産配分やNISAの使い方に不安がある方も多いはず。SNSやメディアに情報があふれる中で「これだけは信じられる」という判断軸がない方もいらっしゃるでしょう。そんなときは、プロに相談して自分の判断の指標を増やしておくことも、資産運用では大切な備えになります。ファイナンシャルプランナー(FP)への相談も、その選択肢の一つです。マネーキャリアでは無料でFPに相談できるので、気になる方は検討してみてください。
日経平均の急落など、マーケットの変動に振り回されず、自分に合った資産形成の一歩を踏み出したい方は、マネーキャリアの無料相談を活用してみてはいかがでしょうか。
