なぜ為替でここまで動くのか。オルカンの基準価額が、為替の変動に大きく左右される仕組みになっているからです。

この記事では、そのオルカンを運用する三菱UFJアセットマネジメントの公式サイトの情報をもとに、オルカンの基準価額がどのような要因で動くのかを確認します。そのうえで、こういう局面でも資産運用は淡々と続けたほうがいい理由までお話しします。

円買いの協調介入で円高、オルカンの基準価額はどう動いたか【チャート】

まず、流れを整理します。

  1. 日米が円買い・ドル売りの介入を実施
  2. 為替が大きく円高に振れる
  3. オルカンが持つ外貨建て資産を円に換算すると目減りする
  4. 基準価額が下がる

オルカンの資産構成は、国内株式5.1%、先進国株式82.7%、新興国株式12.2%です。約95%が海外の株式で、ドルやユーロなど外貨で保有されています。米国だけで63.0%を占めます。

私たちが見ている基準価額は「円」で表示されているので、この外貨建て資産を毎日その日のレートで円に換算し直しています。株そのものの値段が変わっていなくても、円高が進めば円換算の値段は下がる。これが今回の下落の中心にある仕組みです。

介入そのものの中身については、こちらで詳しく解説しています。

オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の基準価額チャートと為替介入のタイミング
出典:一般社団法人投資信託協会「投信総合検索ライブラリー」(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)/ISIN:JP90C000H1T1)の基準価額データをもとに、スマートマネーライフ編集部作成

数字で見ると、下落の中身はこうなっています。

オルカンの基準価額の推移(2026年7月〜8月3日)

日付 基準価額 前営業日比
7月7日(期間中の最高値) 38,532円
7月30日(木) 37,626円 −465円(−1.22%)
7月31日(金) 37,521円 −105円(−0.28%)
8月3日(月) 36,824円 −697円(−1.86%)

7月7日の高値からは1,708円(−4.43%)、7月初めからは1,552円(−4.04%)下がりました。

ここで注目したいのは、協調介入が実施された7月31日当日の下げは0.28%と小さく、下げの本体は公表後の8月3日に来ているという点です。

理由は、基準価額の計算のしかたにあります。オルカンの基準価額は、前営業日の海外市場の終値とその日の為替レートを使って評価されます。つまり、米国時間の7月31日に起きた介入は、日本の8月3日の基準価額に反映されるわけです。

「ニュースが流れた日」と「自分の評価額が動く日」は1営業日ずれる。これを知っておくと、ニュースを見た直後にアプリを開いて「まだ下がっていない」と混乱することがなくなります。

オルカン下落の理由は「株安」ではない|公式月次レポートの基準価額の変動要因

三菱UFJアセットマネジメントは、毎月の月次レポートで、基準価額が動いた理由を要因ごとに金額で開示しています。「基準価額の変動要因(概算)」という表です。

内訳は、国内株式・先進国株式・新興国株式・為替要因・その他(信託報酬等)の5つ。直近7か月を並べると、こうなります。

基準価額の変動要因(概算)|直近7か月

25年12月 26年1月 26年2月 26年3月 26年4月 26年5月 26年6月
株式要因(3資産合計) +546円 +821円 +434円 −2,901円 +3,424円 +2,049円 −147円
為替要因 +114円 −453円 +377円 +536円 +299円 −207円 +429円
基準価額の変動額 +660円 +367円 +810円 −2,366円 +3,721円 +1,840円 +280円

出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(作成基準日 2026年6月30日)「基準価額の変動要因(概算)」をもとにスマートマネーライフ編集部作成。株式要因は3資産の合計値。数値は概算値です

注目してほしいのは2026年6月です。

株式3資産の合計はマイナス147円。世界の株式は基準価額を押し下げていました。それでも為替要因がプラス429円あり、基準価額はプラス280円で終わっています。

逆のパターンもあります。2026年1月は株式要因がプラス821円あったのに、為替要因のマイナス453円に削られてプラス367円まで縮みました。3月は株式要因マイナス2,901円という厳しい月でしたが、為替要因プラス536円が下落を和らげています。

為替は、月単位で見ればプラスとマイナスの符号そのものを入れ替えてしまいます。「指数は上がっているのにオルカンが下がる」は例外ではなく、この表が毎月示している通常の構造です。

この見方は、Xでも共有されていました。

@early8149183900

こういう日はオルカンやS&P500の評価額も為替で動きます。株価が下がったのか、円高なのか🤔理由を分けて見るだけで少し慌てにくくなりますね。

「株なのか、為替なのか」を分けて見る。これができるようになると、下落のニュースに対する受け止め方が変わります。そして、その答えが書いてあるのが、先ほどの月次レポートの表です。

オルカンの基準価額の変動を株式要因と為替要因に分解したグラフ
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(作成基準日 2026年6月30日)「基準価額の変動要因(概算)」をもとにスマートマネーライフ編集部作成

長期で見ると、値上がりの約4分の1が為替だった

同じ表には、設定来の累計もあります。2018年10月の設定から2026年6月末までに、基準価額は10,000円から38,017円へ、28,017円ぶん増えました。

設定来の寄与度(2018年10月31日〜2026年6月30日)

要因 設定来の寄与度 構成比
先進国株式(除く日本) +16,938円 約60%
為替要因 +7,438円 約27%
新興国株式 +2,390円 約9%
国内株式 +1,358円 約5%

出典:同月次レポート「基準価額の変動要因(概算)」設定来計より、構成比はスマートマネーライフ編集部が算出

オルカンの基準価額が10,000円から38,017円になった内訳。株式要因20,686円、為替要因7,438円、信託報酬等−106円
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(作成基準日 2026年6月30日)「基準価額の変動要因(概算)」をもとにスマートマネーライフ編集部作成

長い目で見た主役は株式です。ただし、増えた28,017円のうち約7,400円、およそ4分の1は円安によるものでした。裏を返せば、円高では株式が順調でも増え方が鈍る、あるいは減ることがあるという意味です。

なお、オルカンは為替の影響を打ち消す仕組み(為替ヘッジ)を使わない設計です。円高では評価額が減りますが、円の価値が下がる局面ではその分をそのまま受け取れます。

オルカン暴落?それでもNISAをやめなくていい2つの理由

「暴落したのでは」「円高に弱いなら他のファンドのほうがいいのでは」と考えた方もいると思います。実際、Xにはこんな投稿もありました。

@Daytrao

2年間積みたてた資産がついに含み益ほぼゼロ。一時は70万近い含み益だったがゴールドの下落、オルカン円高で全て吹き飛びました。

積み立ててきた年数を思うと、こう感じるのは自然なことです。ただ、解約や乗り換えを決める前に、知っておきたいことが2つあります。

理由1:崩れたのは株式ではなく、為替だから

今回の下落は、暴落と呼ぶような株式市場の急落ではなく、円高による円換算額の目減りです。要因が違えば、その後の見方も変わります。

参考までに、2026年6月末時点の騰落率は1年でプラス38.2%、3年でプラス93.2%、設定来でプラス280.2%でした(過去の実績であり、将来を保証するものではありません)。為替が要因の下落は過去にも何度も起きていて、そのたびに為替が戻るか、株価の上昇が上回ることで水準を回復してきました。

なお、乗り換え先としてよく挙がるS&P500については、誤解されやすい点があります。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は投資先のほぼ全部が米国株、つまりほぼ100%がドル建てです。一方、オルカンの米国比率は63.0%。円高の影響を受ける度合いは、S&P500のほうが大きくなります。円高が理由で乗り換えても、円高からは逃げられません。むしろ通貨と地域の分散が薄くなります。

理由2:下がっている月は、同じ金額で多く買える月だから

積立は毎月決まった金額を投じる仕組みです。基準価額が下がれば、その月に買える口数は増えます。ここで積立を止めるのは、安く買える月を自分から手放すことになります。

為替は株価より予測が難しく、政府や中央銀行の判断で一日に数円動きます。「円高が止まったら買い直す」と決めても、その転換点は後から振り返って初めてわかります。

実際、同じ局面をこう見ている人もいます。

@KounoH

オルカンとかS&P500などの米国系の投資信託買ってる人は、怒ってる人もいそうですけどね。自分は円高のうちに買い増ししようかなぁって思ってますが。

同じ値動きでも、受け止め方は人によって変わります。違いを生んでいるのは相場観ではなく、そのお金をいつ使う予定なのかという前提です。

ただし前提が1つあります。これは1年以内に使う予定のないお金であることが条件です。教育費や住宅の頭金のように使う時期が決まっているお金は、預金など値動きの小さい置き場所に分けておきましょう。

関連記事 : 新NISAはどこがいい?

オルカンを運用しているのは、証券会社や銀行ではありません

Xで、こんな投稿を見つけました。

@techNO00601574

SBI証券で取引してるけど、オルカンって何時の結果が反映されてるの?当日の結果じゃないよね?もしかしてオルカンって証券会社ごとに中身が違うの?

とても素朴で、そしてとても多くの人が同じように思っている疑問だと思います。答えは「証券会社ごとに中身は変わりません」。ここを整理しておくと、値動きの調べ方まで一気にはっきりします。

オルカンには、3つの会社が関わっています。

投資信託に関わる3つの会社の役割

会社の役割 会社の例 やっていること
販売会社 楽天証券、SBI証券、銀行など 買付・解約の受付、口座の管理
運用会社(アセットマネジメント) 三菱UFJアセットマネジメント ファンドを作り、どこに投資するかを決める
信託銀行 三菱UFJ信託銀行 運用会社の指示で売買を実行し、資産を保管・管理

月次レポートにも、投資信託は販売会社が申込みの取扱いを行い、委託会社(運用会社)が運用を行うと明記されています。

つまり、楽天証券で買ったオルカンとSBI証券で買ったオルカンは同じ商品です。中身も基準価額も値動きも同じで、違うのはポイント還元やアプリの使いやすさといった「買う場所のサービス」だけです。

先ほどの投稿にあった「何時の結果が反映されているのか」という疑問についても、答えは販売会社ではなく運用会社側にあります。基準価額は、その日の海外市場の終値とその日の為替レートを使って計算されるため、通常は営業日の22時頃に更新されます。昼間にアプリで見ている数字は、前営業日の値です。

基準価額の変動要因は、運用会社の情報で確認できる

相場が大きく動くとき、とくに下落の局面では、オルカンを購入した銀行や証券会社の担当者に連絡する人が多いと思います。それ自体は間違っていません。積立額の変更、NISA枠の確認、解約後の入金時期といった手続きは、販売会社にしか答えられません。

ただ、投資信託を運用しているのは運用会社です。運用会社が発信している情報を自分で確認して、基準価額がなぜ動いているのかを知ることも、リテラシーを高める方法のひとつです。

銀行で投資信託の販売に携わった経験からいうと、窓口の担当者が説明している運用の内容は、その多くが運用会社の資料や研修をもとにしています。運用しているのは運用会社であり、情報の発生源も運用会社です。

確認先は、大きく3つです。

1. ファンドページの基準価額チャート

公式サイトで「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のページを開き、「基準価額および純資産総額の推移」で期間を選びます。日付を直接指定すれば、為替介入前後だけを切り出したチャートも作れます。

2. 月次レポートの「基準価額の変動要因」

この記事で使った表です。株と為替のどちらが要因だったかが、円単位でわかります。ただし月末基準のデータは翌月の営業日5日目ごろの更新なので、7月分の要因分解を確認できるのは8月上旬以降になります。

3. マーケットレポートと公式SNS

同社はX・YouTube・LINE・Instagramでも発信しています。Xでは、日銀の金融政策決定会合を受けた特別レポートのように、内容によっては要点が箇条書きで告知されます。ただし毎回ではないので、気になる時期はサイトのマーケット情報のページを見るのが確実です。

なお同社の公式Xによると、2026年6月末時点のオルカン保有者数は約686万人。新NISA開始直前の2.7倍です。不安になっているのは自分だけではありません。だからこそ、SNSで流れてくる誰かの感想より、運用会社そのものが出す数字を確認するほうが確かです。公式を名乗る偽アカウントについても注意喚起があるので、フォローは公式サイトのリンクからたどってください。

基準価額はメールでも受け取れる

地味ですが役に立つのが公式サイトの「基準価額配信メール」です。ファンドを指定して登録すると、更新されるたびに無料でメールが届きます(登録ページ)。

自分でアプリを開かなくても、数字だけが向こうから届くのがこのサービスの良さです。相場が荒れているときに何度もアプリを開いてしまう人は、こちらに切り替えたほうが落ち着いて付き合えるかもしれません。

出典:三菱UFJアセットマネジメント公式X(@am_mufg_jp)、同社公式サイト

まとめ|それでもNISAをやめなくていい理由

  • 今回の下落は、円買いの協調介入で為替が大きく円高に振れたことが主な要因です
  • 基準価額が動く要因は、運用会社の月次レポートに金額で開示されています。為替要因は、月単位で符号を入れ替えるほどの力があります
  • 設定来の値上がり28,017円のうち約4分の1が為替要因。円安が味方だった分、円高では逆に働きます
  • 円高が理由でS&P500に乗り換えても、ドル建て比率はむしろ上がります。円高からは逃げられません
  • 運用しているのは三菱UFJアセットマネジメントです。手続きは販売会社、運用の中身は運用会社と使い分けるのがおすすめです
  • 1年以内に使う予定のお金は、値動きのある商品に置かない。ここが決まっていれば、円高のニュースで慌てる必要はなくなります

自分の家計にとって、オルカンをいくらまで持っていいのか。生活防衛資金はどのくらい必要なのか。判断に迷う方は、マネーキャリアの無料FP相談を活用してみてはいかがでしょうか。

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出典

  1. 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」ファンド情報/月次レポート(作成基準日 2026年6月30日)ファンド情報
  2. 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」ファンド情報(投資先の通貨構成の確認用)
  3. 三菱UFJアセットマネジメント「マーケット情報」ページ
  4. 三菱UFJアセットマネジメント「基準価額配信メールサービス」ページ
  5. 三菱UFJアセットマネジメント「月次レポート(月報)の見方」ページ
  6. 三菱UFJアセットマネジメント 公式SNS一覧/公式X(@am_mufg_jp)ページ
  7. 三菱UFJ銀行 投資信託ページ(基準価額の更新時刻の注記)ページ
  8. 一般社団法人投資信託協会「投信総合検索ライブラリー」(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)/ISIN:JP90C000H1T1)基準価額データ
  9. 日本経済新聞「危機モードの円安阻止、日米が協調介入発表」(2026年8月3日)

本記事の情報は2026年8月4日時点のものです。状況は変化する可能性があるため、最新情報は各報道機関・運用会社の公式サイトでご確認ください。