楽天証券・楽天銀行・楽天カード・楽天生命・楽天損保は、決算上はいずれも「フィンテック」というひとつの区分にまとめられています。この区分の上期の利益は1,277億円で、前年同期から46.9%増えました。一方で、10月1日に資本関係が大きく変わります。利用者の手続きはどうなるのか。公表されている一次情報だけで、順番に整理します。
この記事のまとめ
- 決算|2026年4〜6月期は、親会社の所有者に帰属する利益が77億円の黒字。前年同期は510億円の損失でした
- 区分|楽天証券・楽天銀行・楽天カード・楽天生命・楽天損保はいずれも「フィンテック」というひとつの区分。この区分の上期の利益は1,277億円で、前年同期から46.9%増えました
- 再編|10月1日に楽天銀行が楽天カード・楽天証券ホールディングスを子会社化し、みずほ銀行が楽天銀行の主要株主になります
- 対象外|楽天生命・楽天損保は再編の対象外で、利用者向けの手続きの案内は公表されていません
楽天グループ決算の要点|4〜6月期は77億円の黒字
楽天グループは2026年8月10日、2026年12月期第2四半期(中間期)の決算を発表しました。
楽天グループ 2026年1〜6月(上期)の決算
| 項目 | 2026年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆3,090億円(+12.9%) | 1兆1,590億円 |
| 営業利益 | 504億円 | 66億円の損失 |
| 4〜6月期の利益(親会社の所有者に帰属する分) | 77億円 | 510億円の損失 |
決算短信では、税引前の利益と中間利益が2019年の中間期以来7年ぶりに黒字になったと説明されています。なお上期の通算では、親会社の所有者に帰属する損益は109億円の損失です(前年同期は1,244億円の損失)。
出典:楽天グループ「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年8月10日)
楽天銀行のように、楽天グループ以外の株主もいる子会社があります。子会社が稼いだ利益から、その他の株主の持ち分を除いた「楽天グループ本体の取り分」がこの数字です。4〜6月期の利益全体は272億円で、うち77億円が本体の取り分です。
楽天証券・楽天生命・楽天損保はどこに入っているのか
楽天グループの決算は「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の3つに分けて公表されています。決算短信では、フィンテックはクレジットカード関連・銀行・証券・生命保険・損害保険・ペイメントの各サービスなどで構成されると定義されています。
つまり楽天証券・楽天銀行・楽天カード・楽天生命・楽天損保は、5つとも同じフィンテックの中です。楽天モバイルは別の区分になります。
上期のフィンテックの売上収益は5,707億円(前年同期比25.1%増)、セグメント利益は1,277億円(同46.9%増)でした。モバイルは711億円の損失で、前年同期の885億円の損失から縮小しています。
会社を事業のかたまり(セグメント)に分けたときの、その区分ごとの利益です。会社全体の利益とは別に、どの事業が稼いでいるかを確認できます。
楽天証券・楽天銀行はどう伸びたのか
決算短信では、フィンテックの国内主要サービスは「全てにおいて増益となった」と説明されています。
証券サービスは、顧客基盤の継続的な拡大と活発な株式市況を受けて、大幅な増収増益になったとされています。
銀行サービスは、顧客基盤の拡大に伴う運用資産の増加に加えて、日銀の政策金利の引き上げに伴う運用利回りの向上により、資金運用収益が大幅に拡大したと説明されています。預金を集めて運用する銀行にとって、金利水準の上昇が収益に直結する構造です。
クレジットカード関連サービスは、楽天カードの顧客基盤が拡大しショッピング取扱高が伸びたことで、手数料収益が増加したとされています。
なお、サービス単位の売上や利益の金額は開示されていません。確認できるのはフィンテック全体の数字と、上記の説明までです。
決算に載っていた「不正アクセスの補償引当」はどうなったか
前年同期(2025年1〜6月)の決算では、一過性の費用として「証券事業における不正アクセスに伴う顧客取引の補償に係る損失引当額」10億58百万円が計上されていました。2025年に相次いだ証券口座の乗っ取り被害への対応です。今回の決算では、この項目は計上されていません。
外部のデータも同じ方向を示しています。金融庁が2026年8月10日に公表した集計では、2026年7月の証券口座の不正売買額は約0.02億円(約200万円)でした。不正取引は1件、不正アクセスは14件で、どちらも2025年1月以降でもっとも少ない水準です。累計(2025年1月以降)では不正アクセス1万9,142件、不正売買額8,200億円に上っています。
対策が進んだことが要因として挙げられています。日本証券業協会は、偽サイトに誘導して情報を盗むフィッシングに強い多要素認証を、ログイン時などに必須としました。証券各社も、端末の中に暗号鍵をつくる「パスキー」を使った認証を必須にしています。
出典:日本経済新聞「証券口座乗っ取り、7月は「1件」 不正対策が奏功」(2026年8月10日)/金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください」/日本証券業協会「不正アクセス等にご注意ください!」
楽天生命・楽天損保はどうだったのか
保険サービスについて、決算短信は「商品ポートフォリオの選択と集中を進めたことで、収益性が改善しました」と説明しています。通期の方針としては、生命保険サービスでの対面チャネルの強化と、損害保険サービスでの商品ポートフォリオの強化が挙げられています。証券と同様、サービス単位の金額は開示されていません。
10月1日のフィンテック事業再編とは|楽天銀行が親会社になる
今回の決算とあわせて確認しておきたいのが、2026年10月1日を効力発生日として予定されているフィンテック事業の再編です。
決算短信では、銀行サービスを行う楽天銀行を株式交付親会社、クレジットカード関連サービスを行う楽天カードと証券サービスを行う楽天証券ホールディングスを株式交付子会社として、楽天銀行が株式交付を行う予定と説明されています。資本関係を図にすると、次のようになります。
10月1日以降の資本関係(予定)
| サービス | 10月1日以降(予定) |
|---|---|
| 楽天銀行 | 親会社になる |
| 楽天カード | 楽天銀行の子会社になる |
| 楽天証券(楽天証券ホールディングス) | 楽天銀行の子会社になる |
| 楽天生命・楽天損保 | 再編の対象外 |
| 楽天ウォレット | 再編の対象外 |
楽天生命・楽天損保を傘下に持つ楽天インシュアランスホールディングスと楽天ウォレットは、再編後も楽天グループが株式の100%を保有する予定です。同じ楽天の金融サービスでも、証券は銀行の下に入り、保険は入らないという整理です。
再編の狙いとしては、各サービスの資金調達の柔軟化と調達コストの最適化、サービス間のマーケティング連携の強化などが挙げられています。
自社の株式を対価として渡すことで、他の会社を子会社にする手続きです。現金を用意する必要がないため、大規模な組織再編で使われます。
みずほ銀行が楽天銀行の主要株主になる|何が変わるのか
この再編にあわせて、みずほ銀行と楽天銀行は戦略的な資本業務提携を結んでいます。提携の開始も2026年10月1日の予定です。
株主になる仕組み
みずほ銀行はこれまで楽天カードの株式14.99%を保有していました。再編で楽天カードが楽天銀行の子会社になるため、この楽天カード株を楽天銀行株に交換する形になります。結果として、楽天銀行に対する議決権比率は10.52%、出資比率は5.81%になる見込みです。両社は2023年11月のみずほ証券と楽天証券ホールディングスの資本業務提携、2024年11月の「みずほ楽天カード」発行と、段階的に連携を進めてきました。
提携で行うこと
発表資料では、みずほ銀行が対応する法人顧客などの資金調達ニーズと、楽天銀行の個人預金を結びつける施策を行うとされています。目的として挙げられているのは、みずほ銀行側は貸出案件をつくる力(オリジネーション力)の強化、楽天銀行側は運用資産の多様化です。個人から集めた預金の貸し先が広がる、という整理になります。なお、みずほ証券による楽天証券への出資49%は維持されます。
株主にとって
発表直後の楽天銀行の株価は、普通株式が増えることによる希薄化を懸念した売りが優勢になりました。楽天グループは、新たに発行する議決権のないA種種類株式について、経済的権利は普通株式と同等であり、その発行により一般株主の権利が損なわれることはないものと判断していると説明しています。なお、この株価下落は再編の発表直後のもので、今回の決算に伴うものではありません。
出典:楽天グループ「フィンテック事業再編に関する最終合意について」(2026年5月20日)/Impress Watch「みずほ銀行と楽天銀行が戦略的提携 ネット銀行にメガバンクの法人基盤」(2026年5月21日)
利用者の手続きは必要なのか
再編とみずほ銀行の出資のいずれについても、現時点で口座やサービスの利用者に手続きを求める案内は公表されていません。決算短信で説明されているのは、第3四半期に再編関連費用の計上を見込んでいること、当期の連結業績への具体的な影響額は未定であることまでです。
資本関係が変わることと、利用者の手続きが必要になることは別の話です。株主構成が変わっても、銀行預金が預金保険制度の対象であることや、証券会社の分別管理といった制度上の仕組みそのものは変わりません。実際に手続きが生じるかどうかは、各社からの案内を待つことになります。
証券会社が自社の資産と顧客の資産を分けて管理する、制度上の義務です。証券会社が破綻した場合でも顧客の資産は返還される仕組みになっています。
とはいえ、同じ楽天の中で証券・銀行・カード・保険をどこまでまとめてよいのか、預金と運用をどう分けるべきか。ここは家族構成や収入の安定度によって変わるところです。判断に迷う方は、マネーキャリアの無料FP相談を活用してみてはいかがでしょうか。
金融グループの再編ニュースに振り回されず、自分に合った預金と運用の分け方を決めたい方は、マネーキャリアの無料相談を活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
- 2026年4〜6月期は、親会社の所有者に帰属する利益が77億円の黒字(前年同期は510億円の損失)
- 楽天証券・楽天銀行・楽天カード・楽天生命・楽天損保は同じ「フィンテック」の区分。上期のセグメント利益は1,277億円で前年同期比46.9%増
- 増益の理由として、証券は顧客基盤の拡大と株式市況、銀行は政策金利の引き上げが挙げられている
- 前年同期にあった不正アクセスの補償引当は今期は計上なし。金融庁が公表した2026年7月の不正売買額は約0.02億円で、2025年1月以降で最低
- 10月1日に楽天銀行が楽天カード・楽天証券ホールディングスを子会社化。楽天生命・楽天損保は対象外
- 同日、みずほ銀行が保有する楽天カード株を交換する形で楽天銀行の主要株主に(議決権10.52%)。法人向けの資金調達ニーズと個人預金を結びつける提携を行うとされる
- 利用者向けの手続きの案内は、現時点では公表されていない
出典
- 楽天グループ「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年8月10日)
- 楽天グループ「楽天銀行株式会社の株式交付による楽天カード株式会社、楽天証券ホールディングス株式会社の子会社化等による楽天銀行を含む楽天グループのフィンテック事業再編に関する最終合意について」(2026年5月20日)
- 金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください」
- 日本経済新聞「証券口座乗っ取り、7月は「1件」 不正対策が奏功」(2026年8月10日)
- 日本証券業協会「不正アクセス等にご注意ください!」
- Impress Watch「みずほ銀行と楽天銀行が戦略的提携 ネット銀行にメガバンクの法人基盤」(2026年5月21日)
本記事の内容は、いずれも2026年8月10日時点の公表情報に基づきます。フィンテック事業再編およびみずほ銀行との資本業務提携は2026年10月1日を効力発生日として予定されているもので、内容が変更される場合があります。最新の情報は楽天グループおよび各社の公式サイトでご確認ください。
