2026年7月1日、国税庁が「令和8年分の路線価」を発表しました。東京都内は前年比+9.4%と大きく上昇し、話題になっています。

路線価が上がることで、これまで相続税がかからなかった家庭にも、税金がかかるようになる可能性があります。相続税は富裕層が払うもの、うちには関係ないと考える人も多いでしょう。

しかし、弊社が相続トラブルを経験した141名に行った独自調査では、実際にもめたご家庭の65%が「相続財産総額3,000万円未満」、つまり相続税がかからないくらいの規模だったという結果が出ています。この記事では、路線価の上昇が私たちの暮らしにどう関わるのか、そして本当に必要な相続対策について、わかりやすく解説します。詳しい調査結果は、相続トラブルの実態調査|もめたご家庭の65%は相続財産3,000万円未満だったで紹介しています。

路線価とは

道路に面した土地1㎡あたりの価格の目安です。相続税・贈与税を計算するとき、この路線価に土地の面積をかけて評価額を求めます(例:路線価30万円/㎡×100㎡=評価額3,000万円)。評価額が「基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)」を超えると、相続税がかかる可能性があります。路線価が上がるほど、この基礎控除を超えやすくなるということです。

令和8年分路線価が発表|東京9.4%上昇、5年連続プラス

国税庁が発表した令和8年分の路線価は、全国約31万地点の標準宅地の平均で前年比+2.9%となりました。現在の算出方法になった2010年以降で最大の上昇率です。上昇は5年連続。都道府県別では東京都が前年比+9.4%で最大となりました。都道府県庁所在都市の最高路線価は全47地点が上昇または横ばいとなり、下落がゼロになったのは、バブル期だった1991年の公表分以来、35年ぶりです。

日本経済新聞|路線価5年連続上昇、伸び2.9%で過去最大(2026年7月1日)

過去5年間の東京都内路線価(標準宅地)の推移は、以下の通り年々上昇のペースが加速しています。

年度 前年比変化率
令和4年(2022年) +1.1%
令和5年(2023年) +3.2%
令和6年(2024年) +5.3%
令和7年(2025年) +8.1%
令和8年(2026年) +9.4%
東京都内路線価(標準宅地)5年間の推移

国税庁|路線価図・評価倍率表日本経済新聞|路線価5年連続上昇、伸び2.9%で過去最大(2026年7月1日)

全国で最も高い路線価は、今年も東京都中央区銀座5丁目「鳩居堂前」でした。1㎡あたり5,336万円(前年比+11.0%)となり、41年連続で全国トップを維持しています。上昇の背景には、インバウンド需要の高まりや都心マンション価格の高騰、再開発の進展などが挙げられます。

日本経済新聞|路線価5年連続上昇、伸び2.9%で過去最大(2026年7月1日)

相続税の課税対象者はすでに増えている

路線価の上昇は、実際に相続税の課税対象者数の増加としても表れています。相続税の課税割合(亡くなった人のうち相続税がかかった人の割合)は、この数年で明確に上昇を続けています。

年分 課税割合
平成29年(2017年) 8.3%
令和3年(2021年) 9%台に上昇
令和5年(2023年) 9.9%
2024年(令和6年) 10.4%(初めて1割超え)

国税庁|相続税・贈与税に係る基本的計数に関する資料

2024年(令和6年)分では、相続税の課税対象になった被相続人の割合が死亡者全体の10.4%(16万6730人)となり、課税割合が1割を超えたのは今回が初めてです。

日本経済新聞|相続税の課税対象が初の1割超、申告税額は3兆2446億円 国税庁(2025年12月16日)

さらに令和5年分を都道府県別に見ると、課税割合が最も高かったのは東京都の18.9%(前年比+0.2ポイント)でした。全国平均の約2倍にあたり、地価の高さが課税割合に直接反映されていることがわかります。

日税ジャーナルオンライン|令和5年分相続税申告 各都道府県の申告状況をチェック!

つまり「路線価が上がる→評価額が上がる→課税対象になる家庭が増える」という流れは、すでに実際の統計として現れている変化だということです。

路線価上昇の余波|高級住宅地は相続負担で売却、若者は下町へ

路線価の上昇は、すでに私たちの暮らしの風景を変え始めています。東京・世田谷の成城エリアのような高級住宅街では、地価の上昇にともなう相続税負担の重さから土地を売却する動きが出ています。一方で、価格が比較的手ごろな下町エリアには若者やファミリー層が移り住む動きも見られます。

「地価が上がる=資産が増えて喜ばしい」という話だけでは済まず、相続税の負担が家族の住まい方そのものを変えてしまうケースが、すでに現実に起きているということです。

日本経済新聞|路線価上昇で変わる風景 高級住宅地は相続負担で売却、若者は下町へ(2026年7月1日)

なお、路線価が上がっても税額を抑えられる制度もあります。故人が住んでいた自宅の土地などは、一定の条件を満たせば評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」が使えるケースがあります。路線価の上昇に慌てる前に、こうした特例が使えるかどうかも合わせて確認しておくと安心です。

日本経済新聞|路線価上昇で相続税増加も「小規模宅地」は特例で減額(2025年7月8日)

富裕層はすでに増加している

純金融資産1億円以上を持つ「富裕層・超富裕層」は合計165.3万世帯(2023年時点)で、2021年比11.3%増加しました。純金融資産の総額も約469兆円に達し、増加の一因として、相続による資産移転が挙げられています。

野村総合研究所|日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計

これは、株価上昇や資産運用の広がりに加えて、団塊世代から次の世代への資産の受け継ぎが本格化していることを示すデータです。土地の評価額が上がり、資産を受け継ぐ世帯も増えている。まさに「大相続時代」が進行中と言えるでしょう。

相続でもめるのは「税金がかからない家庭」が大半【独自調査】

ここまで「路線価が上がると税金が心配」というお話をしてきましたが、実際に相続でもめるご家庭を見てみると、少し違う実態が見えてきます。

弊社が相続トラブルを経験した141名を対象に行った独自調査では、65%(91名)が「相続財産総額3,000万円未満」と回答しました。

6割以上が相続財産総額3,000万円未満

これは多くのケースで相続税がかからない規模です。相続トラブルは「お金持ちの家庭だけの話」ではなく、どのご家庭にも起こりうる問題だということです。詳しい調査結果は、相続トラブルの実態調査|もめたご家庭の65%は相続財産3,000万円未満だったで紹介しています。

結論:大相続時代、今こそ家族での話し合いを

路線価の上昇は、基礎控除を超えて相続税がかかる家庭を増やす可能性があります。ただ、それ以上に大切なのは、税金の有無にかかわらず「家族でどう分けるか」を早めに話し合っておくことです。

独自調査が示すように、相続トラブルの多くは税金の心配とは関係なく起きています。実家の土地、預貯金、思い出のある品など、金額の大きさに関わらず「誰が何を受け継ぐか」を家族で話し合っておくだけで、トラブルの多くは防げます。路線価の発表は、そうした話し合いを始めるきっかけとして、ちょうどいいタイミングかもしれません。税金対策とトラブル防止、両方の準備を今から進めていきましょう。

生命保険を使った相続対策という選択肢

相続税対策として生命保険が使えるのは、主に4つの理由からです。①相続発生後すぐに現金で受け取れるため納税資金になる、②「500万円×法定相続人数」の非課税枠が基礎控除とは別に使える、③受取人を指定できるため遺産分割トラブルを防ぎやすい、④配偶者の税額軽減が使えなくなる2次相続の備えにもなる、という点です。

相続税の非課税枠

ただし、契約者・被保険者・受取人の組み合わせを間違えると、相続税ではなく贈与税や所得税がかかり、対策の効果が薄れてしまいます。それぞれの仕組みをもう少し詳しく知りたい方は、相続税対策に強い生命保険ランキング|税制メリットを徹底比較を参考にするか、プロに相談してみてください。

「そもそも生命保険がどうして相続対策になるの?」という方は、生命保険で相続対策ができる理由とは?仕組みと注意点を解説でわかりやすく解説しています。

まずは無料相談で今の状況を整理する

路線価が上がった今、実家の評価額や将来の相続税について、専門家に無料で相談できます。まずは今の状況を整理するところから始めてみましょう。

FP(ファイナンシャルプランナー)への無料相談
  • 担当FPの口コミ・プロフィール・実績を事前に確認してから予約できる;
  • 完全オンラインで外出不要、全国どこからでも相談可能;
  • 相談満足度98.6%・相談申込10万件以上の実績。

▶ 【PR】マネーキャリアで無料FP相談を予約する