メーカーの電気料金の試算にだまされるな!省エネ家電でも節電が必要な理由

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家電各種・正しい節電を解説

花粉シーズンも始まり、空気清浄機など、今まで使っていなかった家電を使い始める人も増えているはずです。

一方、「この家電は省エネタイプだから消費電力も少なかったはず……」と思っていると、電気代がかさんでびっくりすることになるかもしれません。

これから新しい家電の購入を考えている人の多くが参考にするのが、カタログに記載された「年間電気代」です。

家電メーカーのカタログに記載のある「電気料金:1時間〇円」を、そのまま鵜呑みにしてはいけません。

メーカーが嘘をついているわけではありませんが、カタログの数字はあくまで「特定の条件下での標準値」です。実態と差が出る4つの理由と、必要な対策をご紹介します。

家電メーカーの電気代試算と「実際の請求額」に差が出る理由

 目安単価「31円」と実際の単価の違い

現在、多くのメーカーが電気代の算出基準としているのは、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める「新電力料金目安単価 31円/kWh(税込)」です。

しかし、実際の電気代は「基本料金+電力量料金±燃料費調整額+再エネ賦課金」で構成されています。特に以下の要素により、実効単価は31円を上回る傾向にあります。

  • 再エネ賦課金の負担:2026年度の再エネ賦課金は4.18円/kWhに設定されており、これだけで単価の約13%以上を占めています。
  • 燃料費調整額:輸入燃料価格の変動により加算されるこの項目は、31円の目安単価には含まれていない変動要素です。
メーカーの電気代は31円/kWhで計算されている
電化製品の電気代は1kWhあたり31円で計算されています。(参照:ダイキン公式サイト

関連記事: 【2026年度最新】再エネ賦課金引き上げへ。世帯人数別の負担額は?いつから値上がり?徹底解説

関連記事: 電気料金の燃料費調整額とは?これまでの価格推移や計算方法について詳しく解説

 「三段階料金制度」による単価の上昇

日本の大手電力会社の多くは、電気を使えば使うほど1kWhあたりの単価が上がる「三段階料金制度」を採用しています。

メーカーの試算で使われる31円は、主に「第2段階(中程度の使用量)」付近を想定した数値です。しかし、エアコンや大型冷蔵庫を稼働させ、月間の使用量が300kWhを超える家庭では、最も割高な「第3段階」の単価が適用されます。この場合、1kWhあたり35円〜40円を超えることも珍しくありません。

特に、世帯人数が3~4人のファミリー世帯であれば、3段階目の料金に達する場合がほとんどでしょう。

電気料金の3段階制

ご覧の通り、電気の使用量(kWh)に合わせて3段階になっており、電気の使用量が多いほど1kWhあたりの電気料金も高くなっていることが分かります。

関西電力が15kWhからのスタートになっているのは、最低料金制を採用しており、基本料金に15kWhまでの使用料が含まれているためです。(東京電力EP等では、契約アンペア数により基本料金が決定されます。)

電気料金の3段階制を解説
2026年3月現在の電気料金

 地域による電力コストの格差

家電カタログは全国共通ですが、大手電力会社だけ見ても、電気料金は地域によって大きく異なります。電源構成(原子力、火力、再生可能エネルギーの比率)や送電コストの差により、東京や北海道、東北などのエリアでは、もともとの単価設定が目安の31円よりも高く設定されているケースが目立ちます。

「全国一律の基準」で算出された試算は、お住まいの地域によっては最初から数割の誤差を含んでいる可能性があるのです。

例えば、中部電力の電気料金は、関西電力や九州電力よりも高い設定です。

大手電力会社間で電気料金は異なる
電気料金は、大手電力会社間でも異なります。関西電力や九州電力は、原発が稼働していることもあり、比較的電気料金が低めです。

関連記事: 関西がうらやましい・・・中部電力の電気代は他県より年間1万円以上高い?原発が動けば本当に電気代は安くなる?

 住宅環境と気象条件などの利用条件

メーカーの省エネ試験は、JIS規格に基づいた「一定の断熱性能を持つ部屋」と「標準的な外気温」を前提に行われます。しかし、現実は異なります。

  • 断熱性能の影響:窓が大きい部屋や築年数の経過した住宅では、冷暖房効率が著しく低下し、カタログ値以上の電力を消費します。
  • 近年の猛暑・厳冬:試験環境での想定を超える記録的な暑さや寒さが続くと、機器は設定温度を維持するために常にフルパワーで運転することになり、効率(APF/COP)が悪化します。

メーカーの試算は、車の「燃費」と同じだと思うのが現実的です。「信号のない平坦な道をプロが運転したらこれくらい」という数値に対し、私たちの日常は、いわば渋滞(断熱不足)や急加速(設定温度の変更)の連続なのです。

カタログ値は「比較のための指標」

カタログに記載された電気代は、あくまで「同じ条件で機種同士を比較するため」のスコアとして捉えるのが賢明です。実際の維持費を把握するには、ご自身の地域の単価や使用環境に合わせて、「1.2倍〜1.3倍」程度のバッファを見ておくのが、現実的な予算立てのコツと言えるでしょう。

夏以降の電気代の高騰も懸念されています。この点も踏まえて、 実際にはもう少し電気料金がかかるという心構えが必要です。

正しい節電方法 | こまめなスイッチのON・OFFは効果が薄い?

メーカーの表示以上に、実際の電気代は意外とかかるものです。だからといって、やみくもに節電をすることも推奨しません。

意味のある節電を心がけて、無駄に神経をすり減らさないようにすることも大事です。

あまり意味がない節電テクニック

以下のような節電テクニックは、もちろん行うに越したことはありませんが、期待できる効果が薄いため、あまり神経質になる必要はありません。

  • スマホ充電器を毎回抜く:節電できる額はごくわずかです。
  • LED照明を10分以内の外出で消す:LEDはすでにかなりの省エネ。頻繁なオンオフのメリットは限定的です。
  • エアコンの「弱風」設定:設定温度になるまで時間がかかり、逆に電力を消費することも。自動運転がおすすめです。
  • テレビの画面を暗くする:最近の液晶テレビは省エネ化が進んでおり、大きな節約にはなりにくいです。

心がけたい節電テクニック

家電の中でも、特に電力を消費するのがエアコンと冷蔵庫です。この2つに対して、しっかりとした対策を行うことが大切です。

また、古い家電でガタが来ているものがあるならば、早めに新しい省エネ型の電化製品に買い替えるのが得策です。

エアコン

以下の対策をまだしていない場合は、ぜひ実行に移してみてください。

  • サーキュレーターを併用して空気を循環させる
  • 「窓から入る熱」に注意。すだれなどを利用して直射日光を防ぐ
  • エアコンのフィルターを掃除する。埃で目詰まりしていると余計な電気を使います。

冷蔵庫

冷蔵庫の節電には以下が効果的です。意外とできていない項目がないか、チェックしてみましょう。

  • 壁から5〜10cm以上離す(放熱スペースの確保)
  • 上に電子レンジなど熱を出すものを直接置かない
  • 庫内は詰めすぎない(冷気の循環が悪くなるのを防ぐ)
  • ドアの開閉回数・時間を減らす
  • 季節に合わせて設定温度を変える

電気料金プランの切り替えも検討したい

消費電力量を削るのには限界があります。「十分節電はしている」という方は、次のステップとして電力会社の切り替えを検討してみることをおすすめします。

セレクトラでは、燃料費調整額も含めた合計額で毎月各社の電気料金を比較しています。「今、本当に安い電力会社はどこなのか?」を確認したい方は、ぜひこちらの「地域・世帯人数別:電気代が安い新電力ランキング」をチェックしてみてください。毎月情報を更新しています。