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先進医療とは?気になる費用と注意点

先進医療とは?気になる費用と注意点
先進医療とは?気になる費用と注意点

先進医療だったらどんな病気でも治るの?費用は超高額で医療保険をかけておかないと払えない?先進医療の種類や費用についてなるべく簡単にわかりやすく解説します。

先進医療とは?

先進医療と聞くと、「なんだかすごい医療技術が使われていそう。」「医療費がすごく高そう。」「医療保険に特約でつけてみた」というイメージがあるかもしれません。

この記事ではそんな先進医療について、どんな治療が先進医療になっていて、どんな人が受けられるのか。また、その費用は本当に高いのか。といったことをなるべくわかりやすく簡単に解説していきます。

まず私たちが病院で受ける治療は、健康保険が 使えるか? 使えないか?という大きく2つにわけることができます。

健康保険が使えると病院のお会計は全費用の1割から3割の負担で済みます。健康保険が使える治療は厚生労働省が決定しています。

先進医療は健康保険が 使えない治療・薬です。
先進医療はまだ効果はわからないけどもしかしたら病気に効くかもしれない治療。たくさんデータを集めてみて治る確率が高ければ保険適用にしよう。という状態ですので、「保険適用の一歩前」ということになります。

🤔先進医療から保険がつかえるようになるまで?

  1. 病院が、この治療が効くと厚生労働省に申請する。
  2. 厚生労働省が先進医療にするかどうか決める。
  3. 先進医療に指定されら、病院は治療のデータを徹底的に集める。
  4. 集まったデータをもとに保険の適用するか否か厚生労働省が決定する。
  • 先進医療
  • 厚生労働省がどこの病院の、どのような治療で、どのような症状の人が治療を受けられるか。という条件を決定する
  • 病院は先進治療の実績と効果の情報をきちんと報告する

先進医療の種類:すごい手術しかないの?

先進医療とは一体何種類くらいあるのでしょうか。

先進医療の種類2023年2月1日現在で86種類 登録されています。
厚生労働省先進医療

たとえば不妊治療の場合

たとえば不妊治療の場合、まず先進医療Aに10種類 先進医療Bに1種類登録されています。

先進医療AとB?

先進医療A:受けやすい

先進医療技術とともに用いる薬や医療機器が、承認を得ているもので、人体へリスクが小さいものです。

先進医療技術は必ずしも入院を必要とせず、病院の外来やクリニック(診療所、医院)で受けられるものもあります。

たとえば、不妊治療の先進医療Aに「タイムラプス培養*」という技術があります。これは受精卵の発育過程を連続的に動画記録することで、妊娠の可能性のより高い良好胚を選択することが可能となる技術で、一般不妊治療の一部として取り組むことができます。

先進医療B:慎重に

先進医療技術とともに用いる薬や医療機器が承認が得られていない技術。もしくは承認を得ているものでも注意が必要とされるものです。

たとえば、不妊治療の場合は先進医療Bの「タクロリムス投与療法**」という技術は、原因不明の不妊症に対するアプローチとして、一般不妊治療を行っても妊娠できなかった人にのみ、治療することができる技術です。

この治療が承認されている医療機関は全国で3件のみです。

情報参照:
*医療法人ヒューマンりプロダクションつばきウィメンズクリニックタイムラプス培養
**三井住友海上あいおい生命タクロリムス投与療法

先進医療を受けている人は意外と少ない

先進医療を受けた人全患者数5843人 (2022年7月1日から2023年6月30日実績)です。
厚生労働省先進医療:令和3年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について

令和3年の先進医療実績報告によると1年間で先進医療を受けた患者数は「5843人」となっています。日本の人口1億2千万人、年間総数7百50万人の患者数に対して少ないですよね。

理由は2つ考えられます。

少ない理由1先進医療を受けられる医療機関が決まっている

「重粒子線治療」や「陽子線治療」をはじめ、特殊な設備や専門かつ高度な技術をもった医療従事者を必要とする先進医療技術では、実施医療機関が限られてしまい、全国に多くは存在しません。

また、特殊な設備は必要ないものの、特殊な医療機器や専門かつ高度な技術を必要とする先進医療技術の場合もあり、1技術に対して全国で1医療機関しか実施していない技術もあります。

少ない理由2患者の条件が決まっている

医療技術ごとに対象となる症状等があらかじめ決まっていますので、該当しなければ先進医療とは認められません。

先進医療の費用はどれくらい?

やはり気になるのは先進医療のお値段です。1000万円を超えるような超高額手術ばかりのイメージですが、実際どうなのでしょうか。厚生労働省では先進医療の費用について次のように表現しています。

  • 先進医療の費用は、受ける人が全額自己負担
  • 先進医療に係る費用は、医療の種類や病院によって異なる

まず、全額自己負担ということですが、先進医療は厚生労働省が認定しているだけあって2つのメリットがあります。

 先進医療は保険診療と組み合わせができる

組み合わせとは、ある病気を治すために、「保険がつかえる治療」と「保険がつかえない治療」を組み合わせた場合のことを言います。

「保険がつかえない治療」の中には先進 先進医療や自由 自由診療があります。

自由診療10万円 + 保険適用治療10万円

たとえば自由 自由診療10万円と保険が使える治療10万円を組み合わせると、全額20万円支払う必要があります。
自由診療だと、保険がつかえる治療も全て自己負担になるのです。

先進医療10万円 + 保険適用治療10万円

一方、先進 先進医療10万円と保険が使える治療10万円を組み合わせた場合は、13万円の支払いですみます。
保険の使える治療が、3割負担の3万円になるのです。

治療の組み合わせと支払うお金
  保険つかえる治療+先進 先進医療 保険つかえる治療+自由 自由診療
保険がつかえる治療費 1-3割負担でOK
高額療養費制度もOK
全額自己負担
先進 先進医療費 全額自己負担
自由 自由診療費 全額自己負担

先進医療の支払手続きは? 先進医療を受ける場合でも、病院の手続きは一般の保険診療の場合と同じです。健康保険証を窓口に提出します。 先進医療の同意書に署名することになります。

 先進医療は医療費控除の対象になる

先進医療の全額負担は医療費控除の対象になります。つまり所得から先進医療で支払った費用を引くことができますので、所得税・住民税を減らすことができます。

医療費控除の手続きは? 確定申告で年に一回報告します。・領収書が必要になりますので捨てないようにしましょう。 確定申告の方法は「医療費控除でいくらもどる?」の記事でも詳しく解説しています。

 先進医療の費用と件数

高額なイメージのある先進医療はどのような治療でいくらかかるでしょうか?
医療保険の特約としてつけるべきかどうかの判断にもなるため実態を知りたいところです。

2022年7月1日~2021年6月30日の1年間の主な実施技術と技術料=先進医療の値段について、公的財団法人生命保険文化センターにてまとめていた表を紹介します。

先進医療技術 技術料(1件当たり平均額) 平均入院期間 年間実施件数
高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術 300,857円 10.2日 105件
陽子線治療 2,649,978円 15.7日 1,285件
重粒子線治療 3,186,609円 5.2日 683件
抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査 27,863円 47.3日 226件
ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法) 38,424円 4.0日 614件
多項目迅速ウイルスPCR法によるウイルス感染症の早期診断 47,378円 97.4日 52件
MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法 108,183円 2.6日 1,338件
細胞診検体を用いた遺伝子検査 75,610円 7.1日 459件

引用:生命保険文化センター先進医療とは?どれくらい費用がかかる?<中央社会保険医療協議会「令和3年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」/令和3年12月8日を元に技術料を算出>

 「30万円以下」か「約300万円」か

実施件数の多い先進医療の技術料だけを取り上げると、おおよそ「30万円以下」か「約300万円」かの技術料(治療代)に分けられます。

このことから、私たちがイメージするような1000万円単位の超高額な費用は一般的ではないということがわかります。

 「約300万円」の治療はすべて「がん」

300万円と高額な治療は主に「陽子線治療」と「重粒子線治療」です。

特に「がん」治療で高額な先進医療代が発生する可能性があると考えられます。

医療保険の先進医療特約について 医療保険に先進医療保険特約をつけるかどうかについては個人の判断ですが、 このデータは判断の参考になると思います。

先進医療の注意点

 先進の医療だから必ず治るということではない。

名前のイメージから治る可能性がとても高いのでは?と期待する可能性がありますが、 「先進」の医療技術が、その病気に「効果があるか。あるならどれくらいの確率か」を調べるのが先進医療です。

 先進医療から外されてしまう技術もある。

先進医療に選定されても、治療実績がゼロの技術。保険適用の必要がないとされた技術は先進医療から外れることがあります。

たとえば今まで、先進医療の中でも事例数がトップだった『多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術』は2020年3月に先進医療のから外れました。
先進医療から外れると、医療保険の先進医療特約も使えなくなるということになります。

先進医療の追加・削除があった場合の保険金支払可否
先進医療に追加された場合 追加日以降、先進医療費用保険金の支払対象
先進医療から削除された場合 削除日以降、先進医療費用保険金の支払対象外>

引用:三井住友海上白内障手術における「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」の先進医療からの削除について

 厚生労働省に届け出のない「病院」で受けたものは自由診療。

先進医療は厚生労働省のホームページに届け出が出ている病院が明記されています。同じ技術を使っていても、届け出のない病院で受けた治療は先進医療にはなりません。

 あらかじめ決められている「症状」がない人は自由診療。

先進医療は、治療データを集めるために患者の状態もあらかじめ決められています。治療を受ける病院に届け出があっても、治療を受ける人の症状が条件に当てはまらない場合は、先進医療と認められません。

先進医療のまとめ

ここまで先進医療について簡単にまとめてきましたが、これだけでも「先進医療」の持つイメージと差があったのではないでしょうか。先進医療だからといってかならずしも大がかりになることはありませんし、高額な費用以外にも10万円程度で治療ができる技術もあります。保険治療と組み合わせることもできますし、医療費控除の対象にもなるため、自由診療よりは費用にメリットがでる治療になります。

  • 先進医療の重要なポイント
  • 先進医療にも受けやすいもの(先進医療A)から、そうでないもの(先進医療B)まで幅がある。
  • クリニックでできる治療もある。
  • 先進医療を受ける人は年間5千人程度と少ない。
  • 手術件数の多い治療の価格は「30万以下」か「約300万円」が多い。
  • 約300万円の先進医療はがん治療。
  • 先進医療に該当しないと、制度メリット・民間保険の特約が使えない。
更新日