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ガソリン価格値上がりの理由―暫定税率廃止後に起きた中東情勢ショック

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ガソリン価格値上がりの理由―暫定税率廃止後に起きた中東情勢ショック

2026年初頭、日本のエネルギー市場は変化の渦中にあります。

長年議論の的となっていた「ガソリン税の暫定税率(当分の間税率)」が2025年末に廃止され、家計の負担軽減が期待されたのも束の間、2月末に発生した中東情勢の急変により、ガソリン価格は再び緊迫した局面を迎えています

何となくは結びつく「原油の高騰」と「ガソリン代」。しかし、どれくらい、どんなタイミングで影響を受けているのか。ガソリン価格の最新のデータと、コスト構造から考察します。

2026年ガソリン価格の推移ー1月の安値から一転、加速する値上がり

2026年のガソリン価格は、暫定税率の廃止直後の1月には比較的安定していました。

1月19日時点の全国平均価格は154.7円と、統計期間中の最安値を記録しています 。しかし、 2月下旬から上昇に転じ、直近の3月9日調査では161.8円へと急騰しました

わずか1ヶ月半の間に7.1円もの値上がりを見せており、家計への影響が懸念される事態となっています。

資源エネルギー庁の石油製品小売市況調査および石油情報センターのデータに基づき、2ヶ月前からのレギュラーガソリン全国平均店頭現金価格の推移をまとめると、以下の通りです 。

調査基準日(2026年)レギュラーガソリン
全国平均価格(円/L)
前週比(円)変動の概況
1月5日155.7--年始価格
1月13日155.1-0.6下落傾向
1月19日154.7-0.4期間中最低価格
1月26日155.4+0.7反転開始
2月2日155.6+0.2横ばい圏
2月9日155.5-0.1安定推移
2月16日156.7+1.2上昇兆候
2月24日157.1+0.4続伸
3月2日158.5+1.4上昇幅拡大
3月9日161.8+3.3最新調査(3/11発表)

出典:経済産業省資源エネルギー庁│石油製品価格調査結果

最新のガソリン代内訳:税負担は28%へ

暫定税率の廃止により、ガソリン価格の構成は大きく変わりました。

かつては約4割を占めていた税金ですが、2026年3月12日時点の全国平均(161.8円)でシミュレーションすると、その比率は約28%まで低下しています 。

項目金額(円/L)構成比内訳の解説
ガソリン本体価格115.671.4%原油・精製・流通・利益の合計額
ガソリン税(本則のみ)28.717.7%揮発油税(24.3円)
+地方揮発油税(4.4円)
石油石炭税2.81.7%地球温暖化対策税を含む
消費税(10%)14.79.1%(本体115.6 + 諸税31.5) × 0.1
合計(税込小売価格)161.8100.0%2026年3月12日時点の推計値

関連コラム:ガソリン値下げ補助開始 ーガソリン代のしくみと家計への影響2025年5月23日

現在の内訳を推計すると、税率が下がった分、店頭価格は「原油コスト」や「為替」の変動をよりダイレクトに受ける構造へと変化しているのです

日本のガソリン価格を動かしているのは「ドバイ原油」

世界には「三大指標」と呼ばれる原油価格基準が存在します。米国市場の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)、欧州およびアフリカ市場の基準となる北海ブレント、そしてアジア市場、特に中東産原油の価格決定に用いられるドバイ・オマーン原油です。

日本のガソリン本体価格に大きな影響を与えるのは、 中東産原油の指標である「プラッツドバイ原油」です。

日本が輸入する原油の 約9割以上が中東諸国に依存しているため、国内の石油元売り各社は、ドバイ原油のスポット価格および為替を基準として、週次で卸売価格を算定しています。

日本のガソリン価格の指標となるプラッツドバイ原油は、2026年2月末に高騰しました。

日付(2026年)ドバイ原油価格(USD/バレル)終値市場動向の概況
2月26日68.34 
2月27日68.40約7ヶ月ぶりの高値を更新
2月28日--米・イスラエルによるイラン攻撃発生
3月2日76.53攻撃を受け、一気に11%以上の暴騰
3月3日80.3980ドル台を突破し、パニック買いが発生
3月11日113.55100ドル突破

出典:Dubai Crude Oil (Platts) Financial Futures 取引 - (DBLc1)

2月26日には68ドル台だった価格が、2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃を受けて暴騰し、3月3日には80.39ドル、3月11日の時点では113.55ドルまで跳ね上がっています 。

原油価格の変動が日本のスタンド価格に反映されるまでには通常1〜2週間のタイムラグがありますが、 まさにこの2月末のスパイクが、現在の3月上旬におけるガソリン価格上昇を引き起こしている主因といえます。

さらに円安がインパクトを与える

原油高に加えて無視できないのが、通貨の価値変動です。

ドバイ原油が80ドルを超え、同時に円安が進んでいる状況下では、円建ての輸入価格はさらに跳ね上がります。

円相場はイラン攻撃前の2月27日と比べ、3円ほど円安ドル高に振れました。2026年3月の状況は、「原油高」と「円安」が重なったタイミングとも言えます。

政府の緊急対応:「170円に抑える」と「備蓄放出」

高市早苗総理大臣は3月11日、異例のスピードで緊急対策を発表しました。

まず、 ガソリンの全国平均価格を「170円程度」に抑制することを目標とし、石油元売り会社への補助金支給を3月19日から開始することを決定しました。

さらに、ホルムズ海峡の事実上の閉鎖による輸入減少を見越し、3月16日から民間備蓄(15日分)と国家備蓄(30日分)の合計45日分を順次放出することも閣議決定されました。IEA(国際エネルギー機関)の足並みを待たず、日本が先行して動いたことは、エネルギー安全保障を最優先する現政権の強い姿勢を示しています。
出典:首相官邸│イラン情勢に関する政府の対応についての会見(2026年3月11日)

家計圧迫の懸念

過去の原油高の局面を振り返ると、影響は単なるガソリン価格の上昇にとどまりません

原油価格の高騰は、数か月の時間差を伴って電気代やガス代の上昇につながり、その後、物流費や生産コストの増加を通じて食料品をはじめとする幅広い商品の値上げへと波及する傾向があります

エネルギーの多くを海外に頼っている日本にとっては、中東への依存を減らすことや、エネルギーの転換を進めることが、これまで以上に大きな課題になっています。

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング│原油価格の上昇が国内の物価動向に与える影響