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医療費控除でいくら戻る?対象になる費用と申告方法の解説

更新日
医療費控除でいくら戻る?対象になる費用と申告方法の解説
医療費控除でいくら戻る?対象になる費用と申告方法の解説

医療費控除は「やり方がわからない」「知らない」だけで申告しないと損する制度。5年前まで遡って申請することもできます。この記事では、医療費控除の申告で戻ってくるお金を年収別に明らかにし、申請のポイントをわかりやすく解説します。

医療費控除を知らないといくら損をする?

確定申告?医療費控除?やった方がいいとは思うけど申告方法がわからないし。年度末で忙しいのに申請する時間がなくてできない。それでもきちんと申告すると一体いくらのメリットがあるのか確認します。

医療費控除とは

「医療費控除でお金がもどってくる」というのは、医療費が返ってくるわけではありません。支払うべき所得税や住民税が減少するため、還付金を受けられるというメリットがあります。

🤔所得税や住民税の金額はどうやってきまる?

まず所得税や住民税は2022年1月1日から2022年12月31日までの総所得に税率をかけて決定します。
これらの税金を計算するためには、1年間の全ての所得をきっちり確定させる必要があります。 「年末調整」や「確定申告」はその作業のために毎年10月頃から翌年3月にかけて行われます。
「年末調整」や「確定申告」で算出された所得がきっちり確定した最終所得となり、課税の対象(課税所得)となります。

年末調整と確定申告の違い

🤔所得をきっちり確定させるとはどういうこと?

各自の税金を算出するために、全国民がなるべく公平になるように「条件調整」を行います。たとえば子どもを養っている家庭や、ひとり親家庭、保険料の負担などは税金の対象となる所得から決められた金額差し引くことができるのです。この条件調整の項目は「○○控除」と呼ばれます。控除の項目については細かくなるのでここでは説明しませんが、年末調整も確定申告も「条件調整」が目的です。

🤔条件調整は会社が全部やってくれている?

会社員の場合は、基本的な控除項目は「会社」が「年末調整」で計算してくれます。しかし「医療費控除」「寄付金控除」「雑損控除」などの特定の控除は、会社の「年末調整」では反映されません
そこで「年末調整」で反映されない特定の控除は、自分で「確定申告」します。その年にかかった医療費や、ふるさと納税で支払った費用は自分で申告する必要があるのです。

本来控除できる費用があれば、きちんと申告することで所得税や住民税の対象となる総所得額を低くできます。しかし会社に勤めていると必要な対応は基本的に会社がしてくれるので、この申告をしない人、知らない人が多く損している可能性があります。

医療費控除でいくら戻るの?年収別シュミレーション

申告のやり方は後ほど説明しますが、一番気になるのは果たして医療費控除で所得税・住民税をいくら減らすことができるかということですよね。

所得税ですから年収によって金額が変わります。控除も家族の状況によって変わりますが、年収別にシンプルなシュミレーションをしてみました。

【年収別試算】2022年中に30万円の医療費を支払った独身会社員の場合
項目年収500万円
申告しないと
4万円損
年収900万円
申告しないと
6万円損
医療費控除
の申告
しないするしないする
給与所得5,000,000円9,000,000円
*1給与所得控除1,440,000円2,000,000円
*2 様々な控除552,000円1,660,000円
医療費控除-200,000円-200,000円
課税所得3,008,000円2,808,000円5,340,000円5,140,000円
所得税の税率10%20%
住民税の税率10%10%
所得税と住民税
の合計金額
504,100円464,100円1,174,500円1,114,500円
差額40,000円60,000円

🤔30万円の医療費がなぜ20万になってるの?医療費控除の計算式はこちら

シュミレーションの前提条件 *1給与所得控除(参照:国税庁No.1410 給与所得控除
*2様々な控除
・基礎控除:年収500万円・年収900万円 48万円で計算(参照:
国税庁No.1199 基礎控除
・社会保険料控除:年収500万円の場合7万2千円、年収900万円の場合11万8千円で計算
*3所得税率(参照:
国税庁No.2260 所得税の税率

  • ここまでのまとめ
  • 会社員でも医療費控除は自分で確定申告が必要
  • 医療費控除をすれば年収500万円で約4万円、年収900万円で約6万円の税金がお得になる

医療費控除の対象となる費用と対象外の費用

シュミレーションでは医療費が30万円かかったと計算しましたが、医療費ってそんなにかかるのでしょうか。誰に対するどのような費用が医療費控除の対象となるか具体的に解説します。

誰の医療費が対象?

医療費控除の対象になる費用は「生計を共にしている家族メンバー全員にかかった医療費」です。
国税庁の医療費控除の説明では、下記のような説明があります。

その年の1月1日から12月31日までの間に自(1)納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。

生計を一(いつ)にするとは、日常生活に必要な食料や日用品などの家計が同じか。ということになります。ですから配偶者や子ども、親以外でも同じ家計で生活している親族は生活を一にするといえます。一人暮らしの学生で仕送りをしている家族。単身赴任の父親なども含まれます。
つまり家族のメンバーのために1月1日から12月31日までにした医療出費をすべて合算することが可能です。

対象になるのはどんな費用?

医療費ということは病院の治療費しか対象にならないのでしょうか。そうだとすると医療保険の自己負担分で30万に達することは、なかなかないかもしれません。
医療費控除の対象は病院の医療費以外に治療目的の歯科矯正・医療品・眼鏡コンタクト・マッサージ・通院交通費なども対象となります。国税庁の医療費控除の説明では、下記のような説明があります。

医療費控除の対象となる医療費は次のとおりであり、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。

医療控除の対象費用例【治療】

対象費用
  • 医師・歯科医師による治療治療目的の歯科矯正
  • 風邪を引いた場合の風邪薬など治療目的で買った医薬品
  • 腱鞘炎治療のためのマッサージ
  • 通院時の電車・バス交通費
  • 治療目的の補聴器や眼鏡コンタクト
  • 電車・バスのない場合のタクシー代
  • 入院中の食事代

対象外費用

  • 美容目的の施術・歯列矯正
  • スタミナ剤など健康増進目的の医薬品
  • 癒しを求めるマッサージ
  • 一般的な近視や遠視の矯正様のメガネコンタクト
  • 交通公共機関のあるエリアでのタクシー代
  • 入院の個室代・外食代など

医療控除の対象費用例【療養・介護】

対象費用
  • 保健師、看護師、准看護師またはサービス人材などへの療養上の世話への対価
  • 介護保険等制度で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額

対象外費用

  • 心づけやお礼の代金親族が世話をした場合への対価
  • 生活援助のための訪問介護など(詳細は参照URL

出産の場合を例にとると、定期健診や検査費用、出産までに何回も通院しますのでその際の交通費。入院中の食事代などが医療費控除の対象です。

現実的に交通費の領収書を毎回手に入れるのは難しいと思いますが、家計簿や診察券など記録から説明できれば受け付けてもらえます。

受け取った補助金や保険金は医療費のカウントから差し引く もし帝王切開などの手術で出産になった場合。民間の保険から手術費として一時金が支払われる場合があります。その際は受け取った保険金を医療費から差し引かなければいけません
さらに地方自治体などから「出産育児一時金」などが支給されます。こういった補助の金額も医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引く必要があります。

参照情報(国税庁公式サイト)
No.1122 医療費控除の対象となる医療費
No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例 
No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例 
No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価

  • ここまでのまとめ
  • 申請は家族を合算してOK。生計が同じ家族メンバー全員の1年間の費用が対象
  • 医療費控除の対象は 「治療・療養」に関係する費用
  • 通院交通費など細かい費用で領収書がない場合は、説明できる資料で申告可能
  • 受け取った保険金や補助金は医療費合計から差し引かれる。

医療費控除の申請方法

ここまで医療費控除の内容を確認しましたが、つぎにいつまでに、誰が、どうやって申請するの?という具体的な方法について解説します。

いつまでに申告する必要がある?

医療費控除は「確定申告」ですが、厳密には「還付申告」という種類の申請になります。「確定申告」と「還付申告」は申請の期間が違いますので混合しないよう注意が必要です。

2022年(令和4年)1月1日から12月31日の申告期間

  • 確定申告
    2022年(令和4年)分

    2023年(令和5)年2月16日(木)から2023年3月15日(水)まで

  • 還付申告(医療費控除など)
    2022年(令和4年)分

    2023年(令和5年)1月1日(日)から2027年(令和9年)年12月31日まで

還付申告は、申告をする年分の翌年1月1日から5年間行うことができます。確定申告の時期がすぎたからといって諦める必要はありません。

過去にさかのぼって申告することも可能です。例えば出産した年は忙しすぎて申告できなかったなど、これまでに申告をしていなかった場合、2018年(平成30年分)については、2023年(令和5年)12月31日まで申告書を提出することができます。

参照情報(国税庁公式サイト)
国税庁No.2035 還付申告ができる期間と提出先

申告する医療費控除額の計算方法4ステップ

  • 1.医療費を合計する

    2022年1月1日から12月31日までに家族メンバーが支払った医療費を合計します。

  • 2.受け取った保険金や助成金を差し引く

    2022年1月1日から12月31日に受け取った医療保険の保険金や、助成金を1.医療費合計から差し引きます。

  • 3.さらに10万円を差し引く

    所得合計額が200万円の場合は10万円ではなく所得の合計の5パーセントを差し引きます。

  • 4.医療費控除額が算出

    算出された医療費医療費控除額を申告します。最高200万円まで控除可能です。計算式の合計が250万円になった場合は、200万円が医療費控除額です。

誰が申請する?

医療費の対象は生活を共にしている家族メンバーですが、例えば共働きの場合どちらが申請する方が良いのでしょうか?

医療費控除によるメリットの趣味レーションで見たように、同じ金額の医療費でも年収の高い方が申告するとそれだけ、課税対象となる所得額が大きいため還付される金額が大きくなります。共働きなどで双方に収入がある場合は年収の高い方が申告をした方がお得になります。

医療費控除申請の流れ

医療費控除はネットだと画面に沿って入力するだけなので簡単。
スマホ対応した確定申告作成システムもありますので、「マイナンバーカード」と健康保険から届く「医療費のお知らせ」情報があれば すぐに申請可能です。健康保険以外の医療費を申請する場合はその記録や領収書の金額が必要になるので申請前に情報を集めておいてください。

ネット経由では見慣れない用語がややこしいので簡単に説明します

e-tax(イータックス) 国税電子申告・納税システム。個人のアカウントで確定申告だけではなく、税金に関するあらゆる申請が可能
初めて利用する方は初期設定必要

マイナポータル 介護・年金・児童など行政と関連民間サービスが連携する政府のオンラインサービス
医療費控除では保険会社や健康保険組合がマイナポータルと連携していれば、自分履歴を自動連携できるので明細作成がより楽に

0.申請方法を決める
1.申請に必要な情報の準備
2.申告書入力・記入
3.申告書の提出
4.領収書などを保管する
5.還付金の確認
インターネット(スマホ・パソコン)
確定申告書作成しe-taxへ送信連動まで対応可能。
 マイナポータルでさらに楽に申請できる。

 原本提出
マイナンバーカード
利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁)

 e-tax納税用確認番号(半角数字数字6けた)
初めて使用する場合はe-tax初期設定画面で番号登録

 医療費のお知らせ(医療費通知)・そのほか領収書や記録資料
確定申告書
 医療費控除明細書の作成
国税庁確定申告書サイト

 ネットは確定申告書の作成途中保存できる
 
e-taxでネットから提出
 税務署で提出
提出時の時点で住民票がある住所の管轄税務署調べる

 郵送
信書として郵送(レターパック、定形郵便、定形外郵便)消印が提出日
明細に入力した医療費の領収書は5年間保管
 医療費控除申請は領収書原本を添付せずに、医療費控除明細だけを送付
 
指定振り込み金融口座を確認
 ネット申請は3週間程度・書類申請は1か月半程度で振り込まれる
 

動画で確認すれば申請途中のサポートに役立ちます。
国税庁の医療費控除申請に役立ちそうな動画をまとめておきます。

確定申告の流れ
スマホで確定申告
パソコンで確定申告

医療費明細の作り方
スマホで医療費控除入力
パソコンで医療費控除入力

ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用した人は注意 確定申告を行うと、対象期間に行ったワンストップ特例制度への申請がすべて無効になります
ワンストップ特例制度の申請を行った寄付分も、医療費控除申請と同時に行ってください

  • ここまでのまとめ
  • 還付申告は過去5年の申請が可能。
  • 申請は所得の高い人が家族の分をまとめて行うとお得
  • ネットでの申告が毎年便利になっている
  • ふるさと納税のワンストップ特例制度は確定申告すると無効になるので注意

医療費控除のややこしい用語を比較

いかがでしたでしょうか。医療費控除の申告について明確になったのではないでしょうか。最後に重要だけど混合しがちな知識の整理をしておきます。

年末調整 vs 確定申告

10月から12月にかけて人事総務からやってくる年末調整の依頼。加えて医療費控除は確定申告が必要というのはどういうことなのか。ややこしい年末調整と確定申告の性質を比較します

【会社員】配偶者・子供あり:控除できる項目とその手続き
比較項目年末調整確定申告
手続きする人会社(勤務先)自分
対象控除基礎控除
 配偶者控除
 扶養控除
 社会保険料控除
 生命保険料控除
 地震保険料控除

など
年末調整の修正
 医療費控除
 寄附金控除
 雑損控除

など

医療費控除 vs セルフメディケーション税制

医療費控除申請する際に「セルフメディケーション税制」との選択が求められます。 「セルフメディケーション税制」と「医療費控除」は併用することはできません

そのためどちらかを選ぶ必要があるのですが、 申告作成中に迷わないようにセルフメディケーション税制が医療費控除申請について簡単にチェックします。

比較項目医療費控除セルフメディケーション税制
対象費用治療・療養にかかる費用自身で購入したOTC医薬品
(ドラックストアで買える特定一般用医薬品)
さらに定期健康診断や、予防接種など病気予防に取り組んでいる人が対象
制度を利用できる
1年間の費用合計金額
10万円~1万2千円~
控除額の計算式医療費合計(保険金などの補てんは除く)から10万円を引いた金額特定一般用医薬品等購入費合計(保険金などの補てんは除く)から1万2千円を引いた金額
控除額の限度200万円まで8万円まで

セルフメディケーション税制はこんな時に使える

2022年が家族全員比較的健康で、定期検診も行なっている場合。 医療機関での治療費や風邪を治すための薬の購入などを合算しても、医療費が10万円ギリギリになることもあるのではないでしょうか

2このような場合は、セルフメディケーション税制での申告を考えてみてください。目薬や胃腸薬などのOTC医薬品の購入合計額の方が10万円以内で済んだ場合は、そもそも医療費控除は使えません。また10万を超えていても、その医療費合計額の内、医薬品の購入合計額の割合が大きければセルフメディケーション税制を申告した方が、控除できる額が高くなってお得という計算になります。

  • ここまでのまとめ
  • 年末調整は会社が手続き。確定申告は自分で手続き
  • 医療費控除」は年末調整で反映されないので、自分で確定申告
  • ネットでの申告が毎年便利になっている
  • 医療費控除とセルフメディケーション税制の選択はその年の状況次第。計算して控除額の大きい方を選択。

医療費控除のよくある質問

医療費控除のよくある質問についてまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

よくある質問一覧
質問1:医療費控除ってそもそも何ですか?
質問2:医療費控除にはどれくらいの金額メリットがあるの?
回答1

「医療費」は人間が健康な生活を送るために必要な費用です。その費用を課税の対象からはずして(控除して)、支払うべき所得税や住民税負担を減らす制度です。


詳しくは▷「医療費控除とは」こちら

回答2

還付金額はその年にかかった医療費と年収によって変化します。


詳しくは▷医療費控除のシュミレーションを確認