引っ越したら火災保険はどうする?手続き・解約返戻金
引っ越しの際に忘れてはいけない火災保険の手続き。 意外と知られていないのが火災保険を解約したら未経過分の保険料が戻ってくること。 賃貸・持ち家の引っ越しタイプ別に火災保険の手続きについて解説し、解約返戻金についても詳しく説明していきます。
賃貸と持ち家の火災保険について
火災保険は「賃貸」と「持ち家」で、どこに保険をかけるかという大きな違いがあります。 手続きの解説に入る前に、まずは賃貸と持ち家の場合の火災保険について簡単に解説します。
火災保険の種類 | 賃貸 | 持ち家 |
---|---|---|
建物保険 ドア・壁・屋根など | ✖ | 〇 |
家財保険 家具・衣類など | 〇 | 〇 |
原状回復義務 借家人賠償保険 | 〇 | ✖ |
賃貸の火災保険ポイント
「建物」は部屋を借りている人の財物ではない。そのため建物への保険は不要。
家電・家具・衣服などの自分の「家財」にカバーが必要。
「借家人賠償責任」を負う可能性があるのため、賠償保険も必要。
持ち家の火災保険ポイント
「建物」は部屋を借りている人の財物ではない。そのため建物への保険は不要。
家電・家具・衣服などの自分の「家財」にカバーが必要。
「借家人賠償責任」を負う可能性があるのため、賠償保険も必要。
引っ越しタイプ別火災保険の手続き
引っ越し別の火災保険の手続きについてわかりやすく解説します。 賃貸住宅に引っ越すか、持ち家に引っ越すかなどのタイプによって対応が変わりますので、 是非当てはまるパターンを確認してみてください。
1.賃貸 賃貸 賃貸から賃貸へ引っ越す場合
2.持ち家 賃貸 持ち家から賃貸へ引っ越す場合
3.賃貸 持ち家 賃貸から持ち家へ引っ越す場合
4.持ち家 持ち家 持ち家から持ち家に引っ越す場合
1.賃貸 賃貸 賃貸から賃貸へ引っ越す場合
賃貸から賃貸の引っ越し手続きについては2通りの方法が想定されます。
引っ越し後も居住人数変わらず、保険金額に変更なし
住所変更手続きが必要
自身が契約しているプランにもよりますが、賃貸物件向けの火災保険(=家財保険)は、保険金額を変更しない限り、必要な手続きは住所変更のみの場合がほとんどです。また、オンラインでの手続きが可能なことが多く、自分のアカウント(マイページ)で住所を変更すれば、継続は完了です。
引っ越し後居住人数の増減がある
解約→賃貸向け保険(家財保険)新規申し込みが必要
一人暮らしに戻る。結婚して二人暮らしになる。というような場合は、家財に増減があるため、保険金額(保険会社が支払う保険金の限度額)を変更する必要性が出てくるかもしれませんね。
保険金額を変更する場合は、一度今の保険を解約する必要があります。引っ越し先で同じ保険会社の同じプランを申し込む場合でも、一度解約をし、保険金額を再設定し新規で申し込みをする必要があります。
賃貸住宅の火災保険(家財保険)は絶対加入しないといけないの? 法律では加入の義務はありません。しかしながら賃貸借契約の中では火災保険の加入が条件となっていることがあります。 また借主は借りた時の状態に部屋を戻す義務があります。仮にボヤなどで壁・床・天井の修復が発生する場合は 高額になる可能性がありますので、大きなリスクを抱えないためにも加入するべき保険といえます。
2.持ち家 賃貸 持ち家から賃貸へ引っ越す場合
持ち家から賃貸へ引っ越す場合も、持ち家のその後の状態によって次の2通りが考えられます。
持ち家を手放す場合
解約→賃貸向け保険(家財保険)新規申し込みが必要
持ち家でかけている保険を解約し、賃貸用の保険をかけます。賃貸住宅用の保険は専用のものが多く販売されており、また気軽にオンラインで申し込みが可能です
持ち家が空き家になる場合
解約→火災保険新規申し込みが必要
持ち家をそのまま所有し、空家にする場合は、別途新規に火災保険をかける必要があります。その家が人が住める状態になっているかなどで、火災保険の種類が変わります。空き家の火災保険はネットから自己判断で申し込むことはできませんので、必ず保険会社に確認をしましょう。
3.賃貸 持ち家 賃貸から持ち家へ引っ越す場合
解約→持ち家向け保険(火災保険)新規申し込みが必要
引越し先の”マイホーム”(持ち家)の火災保険は、 賃貸用よりも保険料を決定する項目が増える分少し複雑になります。 保険の見積もりには建物の構造級や耐火性等が確認されます。 保険の対象となるのは建物と家財の2種類。賃貸同様で水災を含めるか、地震はどうするかなど補償範囲を検討します。
4.持ち家 持ち家 持ち家から持ち家へ引っ越す場合
持ち家から賃貸へ引っ越す場合も、持ち家のその後の状態によって次の2通りが考えられます。
持ち家を手放す場合
解約→持ち家向け保険(火災保険)新規申し込みが必要
持ち家への火災保険は、保険金が、建物の構造(構造級)等によっても、異なります。同じもの保険会社を継続するつもりであっても契約をそのまま移行することはできません。入居先となる持ち家に対しては、新規に火災保険を申し込む必要があります。
持ち家が空き家になる場合
解約→火災保険新規申し込みが必要
持ち家をそのまま所有し、空家にする場合は、別途新規に火災保険をかける必要があります。その家が人が住める状態になっているかなどで、火災保険の種類が変わります。空き家の火災保険はネットから自己判断で申し込むことはできませんので、必ず保険会社に確認をしましょう。
引っ越し先の火災保険の契約をする
引っ越し先の火災保険を新しく契約する場合はどのように進めたらよいでしょうか?ステップごとに解説していきます。
1.見積もりをとって加入する火災保険を決める
2.火災保険申込に必要な書類を提出
3.保険料の支払い
4.申込完了・補償開始
1.どこから見積もりを取る?
近くの代理店・もしくは保険会社によってはオンラインから火災保険の見積もり申し込みをすることができます。
セレクトラ編集部では一人暮らし賃貸はオンライン、家族の賃貸や持ち家の場合は複数保険会社の取り扱いのある代理店窓口での申込をおすすめしています。
火災保険はインターネットのみで販売している保険会社に限りがあり、さらに代理店経由で見積の商品も多いため、商品の比較に時間がかかってしまいます。
商品の情報集めに時間を取られたくないが、きちんと検討したい。 コストはなるべく抑えたい。という場合は無料で商品比較や補償の相談ができる代理店に足を運ぶことも検討してみてください。相談する時間はかかりますが、結果として自分で見積を集めるより早く的確に商品を決定できるはずです。
火災保険の見積もりに必要な情報 ■建物の住所
■建物の構造(コンクリートなのかレンガなのか・耐火建築物かなど)
■建物・部屋・テラスなどの面積(延床面積)
2.火災保険の申し込みに必要な書類は?
加入する火災保険が決まったら、いよいよ申し込みです。火災保険の申し込みに必要な書類をまとめました。
賃貸 | 持ち家 | |
---|---|---|
戸建て | マンション | |
賃貸借契約書 | ■建物登記簿謄本 ■重要事項説明書 ■不動産取引書類(売買契約書・納税など) ■建築確認申請書 | ■建物登記簿謄本 ■重要事項説明書 ■不動産取引書類(売買契約書・納税など) →専有部分の確認ができる資料 ■建築確認申請書 |
<耐火性能の確認資料> |
3.保険料はどうやって支払う?
火災保険の保険料をどのように支払うか決めましょう。分割の口座引き落としやクレジットカード一括払いなど、希望の支払い方法がある場合は保険会社や保険代理店に確認してください。
4.補償の開始
申込書が受理されて、保険料を支払ったら終了です。契約開始の日が来たらその日から火災保険契約が有効になります。
火災保険の契約内容を変更する
火災保険の住所変更は代理店で行う場合とオンラインで変更できる場合があります。引っ越し当日からきちんと補償されるように、手続きは事前に余裕をもって対応しましょう。
代理店での手続き
現在の火災保険の代理店へ変更の依頼をします。 代理店の連絡先は以下の書類から確認することができます。
保険証券(または保険契約継続証)
満期のご案内
ご契約内容確認のお願い
オンラインでの手続き
保険会社のマイページなどがある方はオンライン上で住所変更の手続きを行うことができます。ログインID・パスワードを使用して、各社の案内手順に沿って手続きを進めます。
火災保険の解約手続きと返ってくる保険料(解約返戻金)
新規に火災保険の申し込みをする場合、現在の火災保険は必ず解約手続きをしましょう。すでに支払った保険料のうち、まだ経過していない期間に該当する保険料(解約返戻金)が戻ってきます。
解約返戻金の計算は保険会社や代理店によって異なります。この記事では一般的な流れと返戻金の考え方を解説しますが、自分の契約については代理店や保険会社に確認をしてください。
解約のタイミングに要注意
引っ越す前なのに今の保険契約を解約してしまった。家を売却したが、引き渡し前に保険を解約してしまった。 というようなことはいずれも保険の空白期間を作ることになります。解約後の事故による建物や家財の損害は火災保険でカバーすることはできませんので、空白期間を作らないように解約日は慎重に判断しましょう。
解約手続きの流れは?
次の4ステップで解約手続きが完了します。契約者が自分から解約の意思を保険会社に伝えないと、 引っ越ししただけでは解約されません。解約のタイミングが来たら手続きを忘れないようにしましょう。
1.契約している保険会社に解約を伝える
2.保険会社から解約請求書類が届く
3.解約請求書類に必要事項を記入し、必要書類を添付し保険会社に返送する
4.保険会社にて解約手続き完了
5.解約返戻金がある場合は、解約返戻金が指定口座に振り込まれる
解約手続きを忘れていた!
手続きを忘れていてもまだ保険期間がまだ残っているのであれば、支払った保険料が戻ってくる可能性があります。 すでに経過してしまった期間の保険料は戻りませんが、気づいた時点で保険会社に連絡をしましょう。
支払った火災保険料は戻ってくる?
すでに支払った保険料のうち、まだ経過していない期間の保険料が返金されますが、もどってくる保険料(解約返戻金)はどのように計算されるのでしょうか。
解約返戻金は「保険期間」と「保険に入ってから過ぎた期間」によって保険会社毎に係数が定められています。この係数を支払った保険料にかけて、戻ってくる保険料が算出されます。
この係数を確認するためには「未経過料率」という表を使用します。実際に保険会社の「未経過料率表」を使って計算をしてみましょう。
2年の保険契約:解約返戻金計算例
・解約日が保険始期から9か月4日経過
・支払った保険料は30,000円
支払い保険料×未経過料率で15,600円(30,000円×52%)が解約返戻金となります。
保険期間
未経過料率表で何年の保険契約の列を見るか確認します。 例の場合は2年契約ですので、保険契約2年の部分を確認します。
経過年数
保険に入ってから何年経っているか確認します。 例では10ヵ月で、1年たっていないので、経過年数0年の列を確認します。
経過月数
次に経過月数と交わる列を確認します。例では10ヵ月ですので、係数52%となります。
保険期間 | 2年契約 | 3年契約… | |
---|---|---|---|
経過年月 | 0年 | 1年 | … |
1ヵ月まで | 87% | … | … |
2ヵ月まで | 81% | … | |
3ヵ月まで | 76% | … | … |
4ヵ月まで | 71% | … | … |
5ヵ月まで | 65% | … | … |
6ヵ月まで | 63% | … | … |
7ヵ月まで | 60% | … | … |
8ヵ月まで | 57% | … | … |
9ヵ月まで | 55% | … | … |
10ヵ月まで | 52% | … | … |
11ヵ月まで | 49% | … | … |
12ヵ月まで | 47% | … | … |
まとめ:引っ越しと火災保険
いかがだったでしょうか。引っ越しにともなう手続きはたくさんあるため、火災保険の手続きは埋もれてしまいがちですが、特に複雑なことはありません。下記のポイントに注意してスムーズに火災保険も引っ越しをしましょう。
賃貸に引っ越すか、持ち家に引っ越すかで必要な保険の契約内容が変わります。
火災保険を途中で解約すれば保険会社の規定に沿って保険料が戻ってきます。ただし焦って解約すると保険の空白期間ができてしまいます。火災保険の解約タイミングは慎重に決めましょう。
火災保険の申し込みは代理店やネットから可能です。
持ち家で火災保険を申込む場合は申込時の確認書類が多いので、事前にそろえておきましょう。