生命保険の解約返戻金はいくら?計算方法・損益分岐点・税金をわかりやすく解説
生命保険を解約すると「解約返戻金(かいやくへんれいきん)」が戻ってくる場合があります。しかしいくら戻ってくるかは、保険の種類・契約年数・払込期間によって大きく異なります。このページでは解約返戻金の計算方法・具体的なシミュレーション・税金の扱いまで、損をしないための情報を一通り解説します。
解約返戻金とは?基本をおさらい
解約返戻金とは、貯蓄型の生命保険を解約した際に払い戻されるお金のことです。掛け捨て型の保険には解約返戻金はありませんが、終身保険・養老保険・学資保険・個人年金保険などは、解約すると一定額が戻ってきます。
解約返戻金の3つのポイント
✅ 解約した時に払い戻されるお金
✅ 金額は契約時の計算式に基づいて決まる
✅ 解約すると保障はなくなる(要注意)
解約返戻金はいくら戻ってくる?計算方法
解約返戻金の金額を理解するうえで重要なのが「返戻率(へんれいりつ)」です。返戻率とは「払った保険料に対して、いくら戻ってくるか」を示す割合です。
返戻率とは
返戻率の計算式
返戻率(%)= 解約返戻金 ÷ 払込保険料累計 × 100
例:払込保険料の累計が100万円で、解約返戻金が70万円なら返戻率は70%
一般的に早期解約ほど返戻率は低く、払込期間を過ぎると返戻率が100%を超えてくる商品が多いです。つまり「いつ解約するか」が、受け取れる金額を大きく左右します。
具体的なシミュレーション(終身保険の例)
三井住友海上あいおい生命の終身保険(低解約返戻金型)LIFEを例に、解約するタイミング別の返戻金を確認してみましょう。
契約条件:終身保険LIFE(参考例) ・契約年齢・性別:30歳・男性
・保険金額:1,000万円
・保険期間:終身
・保険料払込期間:60歳満了
・月払保険料:25,630円
・低解約返戻金割合:70%(払込期間中)
| 解約タイミング | 経過年数 | 払込保険料累計 | 解約返戻金 | 返戻率 | 損or得 |
|---|---|---|---|---|---|
| 加入5年後 | 5年 | 1,537,800円 | 970,000円 | 63.0% | ❌ 損(約56万円の損失) |
| 加入10年後 | 10年 | 3,075,600円 | 約2,100,000円 | 約68% | ❌ 損 |
| 加入20年後 | 20年 | 6,151,200円 | 4,225,000円 | 68.6% | ❌ 損 |
| 払込終了直後(61歳) | 31年 | 9,226,800円 | 9,307,000円 | 100.8% | ✅ 得(元本超え) |
| 65歳時点 | 35年 | 9,226,800円 | 9,404,000円 | 101.9% | ✅ 得 |
⚠️ 払込期間中の解約は大きな損失になる
この例では、払込期間中(60歳まで)に解約すると返戻率は最大でも70%程度。払込期間が終わって初めて元本を超えるケースが多いです。解約を検討する際は必ず返戻率を確認しましょう。
損益分岐点:何年で元が取れる?
解約返戻金が払込保険料累計を上回るタイミングを「損益分岐点」と呼びます。上記の例では払込完了後の31年目(61歳)が損益分岐点です。
損益分岐点は保険商品・契約条件によって異なります。加入前に「何年後に損益分岐点を迎えるか」を必ず確認することが重要です。保険会社のコールセンターや設計書でも確認できます。
お金が戻ってくる保険の種類
すべての生命保険に解約返戻金があるわけではありません。解約返戻金が発生するのは「貯蓄型保険」と呼ばれるタイプです。
| 保険の種類 | 解約返戻金 | 満期保険金 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 終身保険(死亡保障) | ✅ あり | ❌ なし(満期なし) | 一生涯保障。払込完了後は解約返戻金が増加する傾向 |
| 養老保険 | ✅ あり | ✅ あり | 満期時に死亡保険金と同額の満期保険金を受け取れる |
| 学資保険 | ✅ あり | ✅ あり | 子どもの進学時期に合わせて満期保険金を受け取れる |
| 個人年金保険 | ✅ あり | ✅ あり | 老後の年金として定期的に受け取る設計 |
| 定期保険(掛け捨て) | ❌ なし | ❌ なし | 保険料は低い。解約しても戻ってこない |
| 医療保険・がん保険 | ❌ なし(原則) | ❌ なし | 掛け捨てタイプが主流 |
また、解約返戻金には以下の3タイプがあります。
解約返戻金の3つのタイプ
✅ 従来型:標準的な解約返戻金。払込期間中も比較的高め
✅ 低解約返戻金型:払込期間中は返戻金を低く抑える代わりに保険料が安い。払込完了後は従来型より高くなることが多い
✅ 無解約返戻金型:解約返戻金をなくした分、保険料がさらに安い。掛け捨てに近い設計
確定申告・税金はかかる?
解約返戻金・満期保険金を受け取った場合、金額によっては確定申告が必要です。税金の種類は「誰が払って誰が受け取るか」によって変わります。
| 保険料支払者(契約者) | 受取人 | 税金の種類 |
|---|---|---|
| 夫 | 夫(本人) | 所得税・住民税(一時所得) |
| 夫 | 妻(別人) | 贈与税 |
所得税・住民税の計算(一時受取の場合)
一時所得の計算式
一時所得 =(解約返戻金 − 払込保険料総額 − 50万円)× 1/2
給与所得者の場合、この金額が20万円以下なら確定申告不要です。
具体例:解約返戻金400万円、払込保険料累計300万円の場合
一時所得 =(400万円 − 300万円 − 50万円)× 1/2 = 25万円
→ 給与所得者は確定申告が必要(20万円超のため)
贈与税の計算
贈与税の計算式
課税対象額 = 解約返戻金 − 110万円(基礎控除)
例:解約返戻金400万円 − 110万円 = 290万円 → 290万円に贈与税率を掛けた金額を納税
⚠️ 無申告は税務署にバレます
保険会社は一定額以上の保険金支払いを税務署に報告する義務があります。申告漏れは加算税・延滞税のリスクがあるため、必ず正しく申告してください。
解約する前に確認すべき注意点
✅ チェックリスト:解約前に確認すること
① 正確な解約返戻金額を確認する
保険会社のコールセンターや契約照会ページで、現時点の正確な解約返戻金額・入金スケジュールを確認しましょう。
② 解約後の保障の空白をなくす
解約すると即日保障がなくなります。次の保険への乗り換えを検討している場合は新しい契約が開始してから解約するのが鉄則です。
③ 損益分岐点を確認してから判断する
払込期間中の解約は大幅な損失になるケースが多いです。あと何年で損益分岐点を迎えるか確認し、解約のタイミングを慎重に検討しましょう。
④ 解約以外の選択肢も検討する
「契約者貸付制度」を使えば解約せずに解約返戻金の一定割合を借り入れできる場合があります。急ぎの資金需要の場合は保険会社に相談してみてください。
よくある質問
| Q1:解約返戻金はいくらになるか自分で計算できますか? |
| A1:概算は計算できます。 契約時に交付される「解約返戻金推移表」を確認するか、保険会社のサイト・コールセンターで現時点の金額を照会できます。計算式は「返戻率 × 払込保険料累計」で概算できますが、正確な金額は保険会社への確認が必須です。 |
| Q2:生命保険の解約返戻金は損ですか? |
A2:解約タイミングによります。 払込期間中の早期解約は払った保険料より少ない金額しか戻らず「損」です。一方、払込完了後は返戻率が100%を超える商品が多く「得」になります。損益分岐点を把握したうえで判断することが重要です。 |
| Q3:終身保険の解約返戻金400万円を受け取った場合、確定申告は必要ですか? |
A3:確定申告が必要な場合があります。 契約者=受取人(本人)の場合は一時所得として計算します。(400万円 − 払込保険料累計 − 50万円)× 1/2 が20万円を超える場合、給与所得者でも確定申告が必要です。払込保険料累計が330万円未満であれば申告が必要です。 |
| Q4:解約返戻金はいつ振り込まれますか? |
| A4:一般的に解約手続き完了後、5〜10営業日程度が目安です。 保険会社や手続き方法によって異なります。正確な入金スケジュールは解約手続き時に保険会社へ確認してください。 |