健康増進型保険が話題。現行の医療保険とどちらを選ぶべき?

健康増進型保険が話題。現行の医療保険とどちらを選ぶべき?
近年、保険業界に「予防」の観点が生まれました。住友生命保険相互会社(以下、住友生命)が販売しているVitality(健康増進型保険)の台頭により、万が一に備えるだけでなく、そもそも病気やケガをしないことに対する関心が高まっています。
この背景を受けて「健康増進型保険は必要なのだろうか」「通常の医療保険などと比較して、どちらを用意したらいいのだろう」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
健康増進型保険と現行の医療保険を比べる必要はありません。予防と保障では機能が異なるため、まったく別軸の商品だと捉えましょう。
では、健康増進型保険はこれからの生活に必要なのでしょうか。本記事では、健康増進型保険の概要や医療保険との違いを解説し、どのような方に必要なのか筆者の意見を踏まえて解説します。
ニュースの解説
2025年1月のプレスリリースで、住友生命が販売している健康増進型保険「Vitality」の累計販売本数が200万件を突破したことがわかりました。2018年7月から販売を開始し、約6年で達成しています。
Vitalityが堅調に利用者数を伸ばした要因には、単体でも加入できる体制を作った点が挙げられます。健康プログラムを単独で利用できる「Vitalityスマート」や、企業の福利厚生として導入できる「Vitality福利厚生」などを開発し、Vitality単体でも利用できる形を整えました
健康増進型保険とは?
健康増進型保険は、加入者の健康活動に応じて保険料の割引や特典が受けられる保険です。健康診断の受診や毎日の歩数などを条件にポイントが加算され、それに応じて保険料の減額や特典(リワード)が提供される仕組みになっています。
従来の医療保険は、病気やケガになったときに経済的な保障をすることが目的でした。しかし、健康増進型保険は「病気やケガをしない生活を心がける」ことを目的としています。医療保険などとは目的が異なるものだと理解しておきましょう。
健康増進型保険と現行の医療保険の違い
健康増進型保険と医療保険の違いをまとめました。
項目 | 健康増進型保険 | 従来の医療保険 |
---|---|---|
保険料 | 880円(税込)/月※1 保険に加入している場合は健康状態に応じて保険料を最大30%割引 | 加入時の年齢や健康状態で判定 |
目的 | ・病気の予防 ・保険料の割引 | 病気やケガへの保障 |
特典 | 健康診断や運動で割引・ポイント付与 | 基本的になし |
対象者 | ・健康維持に積極的な人 ・すでに加入している保険の保険料を割り引きたい人 | 病気やケガの保障をしたい人 |
※1 Vitality健康プログラム 標準プランの場合
健康増進型保険のメリット
- 加入した段階から保険料が割り引かれる
- 健康への意識が向上する
- 付帯サービスが充実している
加入した段階から保険料が割り引かれる
健康増進型保険のメリットは、健康維持を続けることですでに加入している保険料の割引が適用される点です。例えば住友生命の「Vitality」の場合、加入したときに同社で加入している保険の保険料の15%割引になります(その後は健康状態やプログラムの消化状況によって変動)。
例えば、月1万円の保険に加入していたと仮定しましょう。Vitalityを利用すると1,500円の割引が適用されて、8,500円+サービス利用料の880円で同じ保険を持てます。プログラムの消化状況によって最大30%まで保険料が割り引かれるので、大きなメリットとなるでしょう。
健康への意識が向上する
健康増進型保険に加入することで、健康への意識が向上します。保険料割引や特典獲得のために健康診断に行ったり歩数を稼いだりするため、元々健康への意識が低かった方にとってはメリットとなるでしょう。
実際に住友生命が行ったアンケートでは、Vitality加入者の94%が「加入前よりも健康を意識するようになった」と回答しています。日々生活している中で健康への意識ができていない方は、Vitalityを通じて意識改善に努めてみてはいかがでしょうか。
付帯サービスが充実している
付帯サービスの充実度も大きなメリットです。飲食店やコンビニ、ジムなどと提携し、割引やドリンクチケットなどの特典を配布しています。
自分の意思で健康診断を受けたり運動をしたりしても、プレゼントがもらえることはありません。しかしVitalityを通じて指定の目標を達成すると、普段利用しているような飲食店やジムなどで使える特典がもらえます。
健康増進型保険のデメリット
- 「予防」と「保険」が混同する
- プログラム管理の手間がかかる
「予防」と「保険」が混同する
健康増進型保険のデメリットは、予防と保険が混同する点です。保険は本来、万が一のリスクに備えるためのものです。健康増進型保険は健康を維持するためのものなので、これまでお金をかけていなかった予防にも費用がかかってしまいます。
病気やケガを予防するのは素晴らしい考え方です。しかし、保険会社の商品で予防をする必要があるのかは考慮する必要があるでしょう。
プログラム管理の手間がかかる
健康増進型保険に加入するデメリットは、ほかの保険商品を提案される可能性があることです。
また、プログラムの管理に手間がかかる点もデメリットです。貯まったポイントの交換や各種条件の確認などを行う必要があり、日々忙しいビジネスパーソンには負担を覚えるかもしれません。
Vitalityのステータスを上げるためには、歩数が重要な評価軸となります。検診結果が良くても毎日の歩数が8,000歩未満だと、ステータスはなかなか上がりません。
ステータスを上げるには、1日8,000歩以上(1時間20分程度)の歩行が求められます。そのため、仕事が忙しい方は時間を割けずにステータスを上げられないことも考えられるでしょう。
どちらの保険を選ぶべきか?
健康増進型保険と現行の医療保険、どちらが適しているかは個々のライフスタイルや健康状態によります。
項目 | 健康増進型保険 | 現行の医療保険 |
---|---|---|
すでに健康維持に気を遣っている人 | △ | ◯ |
保険を通じて健康に気を遣いたい人 | ◯ | △ |
すでに健康状態に不安がある人 | ◯ | ◯ |
貯蓄を重視している人 | △ | △ |
健康増進型保険は「保険を通じて健康に気を遣いたい」「ご褒美がある環境で健康維持に努めたい」と考えている方におすすめです。特典(リワード)を受け取りながら健康に気を遣えるため、自分の意思で行うよりも楽しく健康維持に努められます。
加入を考えている方は、公式サイトにあるシミュレーション機能を活用し、生活習慣を改善したらどの程度メリットがあるか確認してみましょう。十分なメリットを享受するためには、歩数や運動が重要になるため、一定の時間を健康管理に使う必要があります。
もちろん、健康増進型保険と現行の医療保険の併用も可能です。サービスに魅力を感じている方は、健康増進型保険とそのほかの保険を併用してみてください。
まとめ
今回の記事では、Vitalityをはじめとする健康増進型保険の市場動向や主な機能について解説をしました。Vitalityは2025年1月時点で200万件まで利用者を伸ばしている、住友生命のサービスです。
Vitalityはプログラムの消化状況によって特典がもらえるため、スタンプラリーのように健康維持に努められます。また、サービスに登録した段階で保険料が15%割り引かれるのも大きなメリットです。
「保険を通じて健康に気を遣いたい」「ご褒美がある環境で健康維持に努めたい」などと考えている方は、健康増進型保険を通じて健康維持に努めてみてください。
参考ニュース
- 住友生命保険相互会社│健康増進型保険“住友生命「Vitality」”累計 200 万件突破!(2025年1月21日)
- 住友生命保険相互会社│「Vitality」
- 日本経済新聞│住友生命の健康増進型保険、関西で累計販売30万件突破(2025年2月14日)
- 日本ビジネス│住友生命「健康増進型保険」に本腰 データ活用で市場先細りに活路(2024年6月27日)