NISAで退職金運用はおすすめできる│メリット・デメリットは?新NISAのポイント解説も
退職金を受け取って、投資を始めようとしている方の中には
「60歳を過ぎてNISAは遅い?」
「NISAに騙されるな」
という噂で、NISAを使うべきか悩んでいる方もいるでしょう。
本記事では「NISAを使った退職金運用はおすすめできる」という前提で、そのメリット・デメリット、および2024年に大幅改正した内容も徹底解説します。
退職金運用にNISAを活用すべきか迷っている方は参考にしてください。
目次
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NISAで退職金を運用する
退職金を使って投資を行うことに関心が集まる時代になりました。その中で「投資をする人には税金の優遇メリットを与えてくれる」NISAについては、今や日本の5人に1人が口座開設をしていると言われています。そもそも退職金の運用が必要な背景と、NISAの活用がおすすめな理由について解説します。
退職金運用をおすすめする理由
退職後にゆとりある生活を続けていくためには「資産寿命を延ばすことが必要」と言われています。 これは言い換えると、預貯金だけではなくお金に働いてもらう資産運用も必要になったからです。
退職後の人生は意外と長い
「人生100年時代」という世界的な著書「LIFE SHIFT」が提唱した言葉が一般的になりました。日本では世界一の高齢社会が進み、以下のようなデータも出ています。これは、退職後に少なくとも20〜25年生きる可能性が高いことを意味します。
65歳の平均余命:男性は19,44年、女性は24,30年
物価高
この数年でモノの値段が上がっているのは、誰もが実感していることでしょう。
食品の値上げ数は、2023年が3万品目以上、2024年が1万品目以上、2025年も1,000品目以上の値上げが決まっている
2025年度以降の消費者物価は年2%くらいずつ上がるペースになる見込み
低金利
一方で、銀行で1年間定期預金に預けても、その金利はメガバンクで0.125%、ネットバンクの優遇金利で0.4~0.6%程度しか付きません。
関連:差が出る!【2024年10月最新】定期預金はどこがいい?金利の高いおすすめ銀行ランキング
つまりこれは、資産の増えるスピード(銀行の金利)が、物価の上昇スピード(消費者物価)に追い付いていないということになります。
銀行の定期預金は、元本が保証される「安全性」はありますが、資産価値が目減りしているため、それだけでは「安心」とは言えないのです。
そのため、今の日本においては、預貯金以外の方法も加えて資産運用をして、お金に働いてもらう必要がある、と言われているのです。
NISAを活用するのがおすすめ
NISAは、投資信託や株式に投資をすると恩恵を受けることができる税金の優遇制度です。
- NISAとは?
- 愛称はニーサ、投資で得られた利益が非課税になる制度
- 非課税の対象は、株式投資信託や上場株式への投資で得られた利益
- 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」がある
- 「つみたて投資」はリスクをおさえた安定運用重視の資金が良い。年間120万円まで投資可能
- 「成長投資枠」はリスクを取れる収益性重視の資金が良い。年間240万円まで投資可能
- 2つの投資枠に投資できる合計限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
- 18歳以上の日本居住者は、1人1口座のみ開設できる。銀行や証券会社で可能
- 2014年に制度開始、2024年に大幅改定。従来制度の話が絡むときは「旧NISA」「新NISA」と使い分ける
投資は、早く始めれば始めるほど複利効果が高まり、NISAの税制優遇の恩恵を受けられる可能性も高くなるので、若年層の資産形成に適していると言われています。
複利効果とは
「投資で得た利益を再び投資に回すことで、利益が利益を生むしくみ」のこと。例えば、100万円を年5%の利回りで運用すると、1年後には5万円の利益が出ます。それを再投資すると、次の年は105万円を元にさらに利益が計算されます。時間が経つにつれて元本と利益がどんどん増え、さらに大きな利益が得られる可能性が高くなるのです。長期間投資をした方が、この複利の力が発揮されます。
しかしながら、NISAの活用は60歳以降の退職金運用にもおすすめです。若年層よりもまとまったお金を投資に回せる可能性が高いからです。若年層の少額投資とは違い、退職金のようにまとまったお金を最短期間で投資して元本を大きくして、10年ほど運用期間が確保できれば、NISAの非課税メリットを最大限活用できる可能性が高まります。
退職金の運用で利益が出たら課税される
投資をして利益が出た場合は、通常20.315%の税金が課税されます。儲け(=利益)には原則、税金がかかることを覚えておきましょう。
分配金・配当金 | 投資信託や株式を運用している間に得られる利益 |
---|---|
売却益 | 投資信託や株式を売却して得られる利益 |
関連:NISAとは?基本知識はこちら
NISAで退職金運用、メリットは?
退職金の運用でNISA活用する場合のメリットを見ていきましょう。
- まとまった金額を投資できる
- リスクをおさえた安定的な運用ができる
- 分散投資ができる
まとまった金額を投資できる
NISAの最大の特長は、投資をして運用した結果利益が出た場合に非課税になる点です。NISAの恩恵を受けるためには利益を出してそれを大きくする必要があります。 その点、退職金はまとまった資金であるため運用元本が大きい分、得られる利益も大きくなる可能性があります。そうすれば、非課税の恩恵を受けられる金額も大きくなります。
若年層のような30年、40年の「長期間」で運用できない分、元本を比較的短期間で埋めてしまい、そのあと10年近い運用期間が確保できれば、高い節税効果を期待できます。
リスクをおさえた安定的な運用ができる
退職金の運用は、老後資金の一部として取り崩す可能性も勘案し、安全性を重視することが重要です。NISAのつみたて投資枠で選べる商品には、金融庁が選んだ「長期・分散・積立」を実現できる、安定運用を目指す商品が多く含まれています。手数料も抑えられた商品群で、まさに金融庁お墨付きの商品群がそろっています。
関連:つみたて投資枠と成長投資枠の併用
分散投資ができる
退職金の運用は、一括で特定の投資に集中させることはリスクが高いため、分散投資がおすすめです。NISAは、年間で投資できる金額をあえて限っているため、投資時期を分けたり、投資資産を分けてリスクを軽減させる効果が期待できます。
NISAで退職金運用、デメリットや注意するべきことは?
NISAを活用して退職金を運用する場合に、気を付けたいことについても解説します。そもそも、NISA口座で運用すれば必ず利益が出るというわけではありませんので注意が必要です。
- 運用期間が限られる
- 年間で投資できる金額に上限がある
- 利益と損失の損益通算ができない
非課税運用期間が限られる
運用期間が限られるため、恩恵を最大限享受しにくい可能性があります。退職金を運用する場合、10年以上の長期投資が難しい場合も出てくるでしょう。資金を早めに取り崩さなければならない健康リスクなども高まるからです。
運用期間中に予定よりも早く資金を取り崩す必要が出てきた場合に想定していたリターンが得られなかったり、元本割れしている可能性もあります。損失が出ている場合には、課税分がないということになりますので、NISAの非課税メリットを享受することができません。
そのためにも、運用する前にお金を色分けし、長期で放っておける資金を運用に回しましょう。関連:お金の色分け
年間で投資できる金額に上限がある
NISAには年間投資枠が360万円(つみたて投資枠は120万円、成長投資枠は240万円)と決まっています。まとまった金額、といっても、500万円~1,000万円を一括投資することはできません。
例えば、1年間で1000万円の退職金を投資信託で運用したい場合は、NISA口座(非課税口座)に360万円、特定口座(課税口座)640万円と分けて投資する必要があります。特定口座(課税口座)での投資で得られた利益には、通常通り20.315%の税金がかかります。
利益と損失の損益通算ができない
NISA口座(非課税口座)と特定口座(課税口座)の両方で投資信託や株式を保有し、売却して、一方に利益、一方に損失が出ている場合、利益と損失の損益通算ができません。NISA口座を使った投資は、利益が非課税になる代わりに、損失が出た場合も税務上は「なかったこと」とされます。つまり、NISA口座で損失が出ても、他の特定口座(課税口座)で得た利益と相殺することができないのです。
損益通算とは
商品Aに投資して利益が出て、商品Bに投資して損失が出た場合、この利益と損失を差し引いて(相殺して)、課税される利益を減らすこと
たとえば、NISA口座(非課税口座)で30万円の損失、特定口座(課税口座)で20万円の利益が出ているとします。この場合、NISA口座(非課税口座)の損失30万円と、特定口座(課税口座)20万円の利益は損益通算ができません。特定口座(課税口座)の20万円の利益に対しては、税金を払わなければなりません。
逆に、両方とも特定口座(課税口座)であった場合は、損益通算が可能です。たとえば、特定口座(課税口座)の商品Aの利益20万円と、特定口座(課税口座)の商品Bの損失20万円は損益通算ができます。「20万円-20万円=0」で、税金を払う必要はありません。
NISAの基本知識
NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)を退職金の運用に活用するにあたり、そもそものNISAの制度について確認しましょう。
NISAとは?
NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)は、投資で得られた利益に税金がかからない制度です。
NISAの目的は「貯蓄から投資へ」
NISAは、政府が国民に投資を促すために用意した税制優遇の制度です(英国のISAがモデルになっています)。
低金利、物価の上昇、少子高齢化で公的年金の構造(現役世代が働いて年金保険料を払って年金受給世代を支えるしくみ)が崩れ始めていることなどを背景に、政府は国民の自助努力を促しています。
ここでいう自助努力とは「ゆとりある老後生活を送るためには、公的年金だけでは不足する可能性が高いので、貯蓄だけではなく投資をしてお金を育ててくださいね」という意味です。
投資をして利益が出た分については税金の負担を減らして、国民の投資に対するハードルを下げてくれている、というわけです。
2024年に大幅リニューアル「新NISA」は退職金運用におすすめ
NISAの制度は2014年に始まりましたが、2024年に大幅にリニューアルされたため、従来のNISAと比較する際には「旧NISA」「新NISA」と分けて呼ばれることがあります。
- 旧NISAから新NISA、主な変更は?
- つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるようになった
- 年間で投資できる上限金額と生涯で投資できる上限金額が上がった
- 非課税保有期間が無期限になった
新NISAの概要
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
非課税の対象 | 株式投資信託や上場株式の利益 | |
対象商品※ | 長期の積立・分散投資に適した投資信託 (つみたてNISA適格商品) | 上場株式、株式投資信託など |
対象商品の数※ | 301本 | 2,000本以上 |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
生涯投資枠 | 総額1,800万円(うち成長投資枠1,200万円) | |
非課税期間 | 無制限 | |
対象年齢 | 18歳以上の日本居住者 | |
購入方法 | 積立 | 一括・分割・積立 |
※対象商品や数は、金融機関によって異なります
つみたて投資枠と成長投資枠の併用
新NISAには「つみたて投資枠」「成長投資枠」の2つの投資枠が設けられていて、これらを併用することができます。2つのコースを併用するメリットは、お金の目的や投資経験に合わせて分散投資ができることです。
つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け
つみたて投資枠 | 投資初心者向け、リスクを抑えて安定性を重視する資金 |
---|---|
成長投資枠 | 投資中級~上級者向け、リスクを取り収益性をねらう資金 |
「つみたて投資枠」の対象商品は約301本あります。
金融庁が「長期・積立・分散投資に適している」と判断した、安定的な運用に向いている一定の株式投資信託しか選べません。商品もインデックスファンドやバランス型ファンドが中心なので手数料が低い商品が中心です(経済指標に連動して動く商品。運用手法がシンプルなので運用コストがかからない)。金融庁のお墨付き商品が揃っていると言えるので安心です。
「成長投資枠」の対象商品は約2000本近くあります。
つみたて投資枠の対象商品よりもリスクが高く、その分リターンも高い商品が揃っています。株式投資信託や上場株式等といった収益性や成長性を狙える幅広いラインナップです。
注意
・つみたて投資枠と成長投資枠で購入できる商品は、金融機関によって異なります
・つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で利用することはできません
生涯の非課税投資枠が1,800万円に拡大
新NISAは、年間投資枠(年間で投資できる金額の上限)と、生涯投資枠(生涯で投資できる金額の上限)が拡大されました。年間投資枠が360万円(つみたて投資枠の年間120万円+成長投資枠の年間240万円)、生涯投資枠が1,800万円です。ある程度まとまった資金での投資が可能になったと言えます。
注意したいのは、生涯投資枠の1,800万円を満額を使い切りたい場合、成長投資枠には1,200万円の限度がある点です。
生涯投資枠の1,800万円を満額使い切る場合
- つみたて投資枠で1,800万円を使い切ることが可能
- つみたて投資枠で600万円、成長投資枠で1,200万円を使い切ることが可能
- つみたて投資枠と成長投資枠で、自分でバランスを取って分散投資も可能(成長投資枠の限度は1,200万円)
年間投資枠・生涯投資枠について、上限まで使い切る必要はありませんが、年内に使い切らなかった投資枠を翌年に繰り越すことはできません。金融資産・収入・家族構成や投資経験にあわせて、無理のない金額を投資しましょう。
NISAで退職金を運用する具体的な方法
実際にNISA口座を使って退職金運用をする際に、まずやるべきことを紹介します。
どこでできる?
NISA口座は、銀行や証券会社などの金融機関で開設することができます。口座はどの金融機関で開設するか、自分で選ぶことができます。ただし、1人1口座です。
金融機関は口座開設の申込を受けたら、他金融機関で重複して口座が開設されていないことを、所轄税務署に確認する必要があります。一部の金融機関では、オンラインで開設の手続きも可能です。
お金の色分け
NISAを活用した退職金運用を検討する前に、何よりも大事なことは、退職金だけに目を向けずに、今までの貯蓄や他の金融商品とも併せて自分の金融資産を把握して、それらを短期・中期・長期資金に色分けすることです。
引用元:知るぽると 金融広報中央委員会(日本銀行情報サービス局内)
目的ごとに短期・中期・長期の3つに色分けします。
目的 | 期間 | 使途 | 重視すること | 運用方法 |
---|---|---|---|---|
つかう | 短期資金 | 日常の生活費・急な出費 | 流動性 | 普通預金 |
まもる | 中期資金 | 2~3年以内に使うと決まっているお金 | 安全性 | 退職金専用定期預金・個人向け国債 |
ふやす | 長期資金 | 当面使う予定のないお金・老後資金 | 収益性 | 投資信託・個別株式など |
長期資金に色分けした部分が、投資に回せる資金となります。その中でも、目的に合わせて商品や投資金額の配分を決めます。
NISAで退職金運用、プロにも相談するのもおすすめ
そもそも退職金運用には、金融知識や情報知識、リサーチ力、そのために費やす時間も必要です。ましてや、NISAを活用しながら運用となると、商品が限定されているとは言えそれらをひとりでこなすのは簡単ではありません。NISAは非課税メリットを享受することが目的ですから、そもそも利益を出さなければ意味がありません。そのためには、過去のデータに基づいてアドバイスができるプロに無料相談することも、NISAを活用した退職金運用をうまく進めるためのコツです。
退職金の運用相談ができる先は以下の通り複数あります。それぞれのメリット・デメリットや、担当者が変わる頻度、個別対応レベルなどの観点から比較しました。
銀行・郵便局 | 信託銀行 | 証券会社 | プライベートバンク | 独立系FP | IFA | |
---|---|---|---|---|---|---|
相談料 | 無料 | 無料※ | 無料 | 無料※ | 有料 | 無料 |
担当者変更の頻度 | 中~高 | 低~中 | 中~高 | 低 | 低 | 低 |
担当者の専門度 | 中 | 高 | 高 | 高 | 中~高 | 高 |
主な提案内容 | 定期預金 金融商品全般 ローン | 資産保全承継 不動産管理 信託商品 相続関連 金融商品全般 | 投資信託 株式 | オーダーメイド型運用プラン 複数分野で国際投資 ライフスタイル支援 | 保険や運用を含めた家計の相談(商品の提案は不可) | 投資信託 株式 |
個別対応度 | 低~中 | 中~高 | 中~高 | 高 | 高 | 高 |
メリット | 安心感 拠点が多い | 富裕層向け、資産運用、信託や相続に強い | 投資信託や株式に強い - 取引の利便性 | 超富裕層向けの完全なカスタマイズ対応 | 中立的アドバイス、保険や運用を含めた家計全体の相談が可能 | 中立的アドバイス、金融商品を幅広く提案 |
デメリット | 資産運用の提案が限定的 自社の取扱い商品を提案 | 最低預入額が高い 提案が資産規模に依存 | 営業色が強い 自社の取扱い商品を提案 | 最低預入額が非常に高い 提案が資産規模に依存 | 相談で費用が発生する | 担当者の専門性が属人的 売買開始後の手数料が割高 |
※以下の比較表は、一般的な傾向をまとめたものです。すべてが以下の通りに該当するわけではありません
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