ブラックでも借りられる?|カードローン審査と信用情報の関係

カードローンを考えるときや記事などで必ずといっていいほど出てくるのが「個人信用情報」というキーワードです。
そこで今回は個人信用情報がカードローン審査にどのような影響を与えるのか?
「ブラックリスト」という言葉の真実とは?「自分がブラックかも」を確認する方法は?
個人信用情報に不安がある場合にどうすれば良いのか?
などの素朴な疑問にについて、大手消費者金融の視点も踏まえながら詳しく解説していきます。
![]() | この記事の執筆者:加藤隆二 そのため審査のポイントからメリット・デメリットまで、カードローンには精通していると自負しています。多数メディアでも執筆(参考) 続きを見る |
そもそも個人信用情報とは?審査でどのように使われるのか?
カードローンの審査において、最も重要視される情報の一つが「個人信用情報」です。
「個人信用情報」とは、個人のクレジットカードやローンの申し込み・利用に関する履歴を記録したもので、カードローン審査ではこの情報を基に、申込者の返済能力や信用度を判断しています。
個人信用情報の基本事項
個人信用情報には、クレジットカードの利用履歴やローンの契約・返済状況、さらには携帯電話の分割払い状況など、さまざまな情報が記録されています。
これらは「信用情報機関」と呼ばれる専門の会社によって管理されています。
どんなところがある?信用情報機関と情報の種類
- CIC(株式会社シー・アイ・シー): クレジットカード系の情報
- JICC(株式会社日本信用情報機構): 消費者金融系の情報
- KSC(全国銀行個人信用情報センター): 銀行など金融機関系の情報
信用情報機関は、それぞれに加盟しているカード会社・消費者金融・金融機関などの情報をデータベース化して管理しています。
そしてカードローンの審査やクレジットカードの入会などで、申込者の個人信用情報をチェック(これを「個人信用情報を照会する」と表現します)するのです。
カードローン審査でチェックされる個人信用情報の主な項目
カードローン審査で個人信用機関に記録されている主な項目は、以下のようなものがあります。
ここでは信用情報期間のうちでもCICを例に解説していきます。【参考】
申込情報
クレジットカードやカードローンの申込みを受け付けた信販会社や消費者金融などが、審査のために個人信用情報を調査・チェック(照会)したという記録。
何を調査したのか?など以下の内容も記録される。
- 照会した日
- ローン商品名
- 契約予定額
- 支払予定回数
- 照会した会社名 など
クレジット情報
審査に通過して契約したカードローンやクレジットカードの契約内容や支払状況の記録。
審査に通過し契約したカードローンやクレジットカードの契約内容や支払状況の記録
支払状況に関する情報:延滞発生日、入金日(延滞解消日)、「異動※」の有無など。
※本記事内で"ブラック"に関係する「異動」について解説をしています。
利用記録
クレジットカードの更新やローンの利用途上で再調査した記録など
個人信用情報の中でも審査に重要なのは「クレジット情報」
上記で紹介したものの中でも、審査に重要になるのが 「クレジット情報」です。
過去から現在までクレジットやローンを申し込んだ記録と、支払状況などが事細かに記録されていますので 「支払いをしっかりとできる人か?」「借りたお金を返せる人なのか?」を判断する材料になるというわけです。
このように個人信用情報では、その人のクレジットや借金に関する内容まで掘り下げることになります。
そのため当然ながら本人の同意無しでは、個人信用情報を照会することはできません。なぜならこうした個人情報の取扱は、法律で規制されているからです。
カードローンやクレジットカードの申し込みで「個人情報の取扱に同意しますか?」と聞いてくるのはこのためです。
(クレジット情報という言葉はCICで使われる言葉です。JICCでは情報を「ファイル」などと表現しています。)
自分の個人信用情報を確認する方法とチェックすべきポイント
自分の個人信用情報は、各信用情報機関に請求(「開示請求」などと呼びます)すれば確認できます。
カードローンの申し込みを検討する前や、懸念がある場合、まず自分の個人信用情報を確認しておくのも有効な手段です。
大袈裟な手続きは不要で、本人であれば、簡単に開示してもらえます。
カードローン
「開示請求」〜自分で自分の個人信用情報を調べる方法
開示請求の方法は「アプリによる請求とデータの取得」「郵送による請求」などがあります。
個人信用情報を3つ紹介しましたが、まずは、 CICに開示請求するのがよいでしょう。
CICはクレカや携帯電話など普段の生活に密着した個人信用情報なのでCICをチェックするのがおすすめです。
開示された情報では「異動」に注目
自分の個人信用情報の記録を「開示報告書」などと呼びます。
各機関が、この開示情報の見方※について解説をしているものの、専門用語も含まれるので、どこに注目すれば良いのか迷うかもしれません。
ここにネガティブな情報が記録されていると、カードローンで審査落ちしてしまう可能性が高くなります。
この個人信用情報のネガティブな記録を「異動」「異動(参考)情報」などと呼びます。下部にて「異動」について解説しています。
"ブラック"かどうか、「審査に通るかどうか」という観点でみる場合、 「異動」がないか中心にみるのが良いでしょう。
また、 「異動」については、「金融事故」と呼ばれることもあります。
※開示情報の見方
・CIC:CIC 信用情報開示報告書の見方
・JICC:詳細版>『信用情報記録開示書』項目説明書
・KSC:登 録 情 報 開 示 報 告 書
"ブラック"とは個人信用情報の「異動」のこと
個人信用情報に「異動」があることを俗に「ブラックリストに載る」、「ブラック」などと表現します。
異動があるとカードローンなどの融資をはじめ、クレジットカードなどの審査に落ちる確率が高いので、このように呼ばれています。
以下から、異動(=ブラック)の中身を詳しく見ていきましょう。
「異動」とは具体的にどんな情報?
「異動」と一言でいっても、その中でも種類があります。具体的には以下のようなものを指します。
延滞(長期延滞)
返済期日を過ぎてから、一般的に61日以上または3ヶ月以上の延滞が続いた場合。
法的整理
自己破産、個人再生といった法的な整理を行った場合。
代位弁済(「保証履行」とも)
借入者が返済不能になった際に、保証会社が借入者に代わって金融機関に返済を行った場合。
借金は保証会社に返済していくことになります。
これらの情報が個人信用情報機関に登録されているということは、 言い換えると「支払いや借金返済を約束通りにできない(約束を守らない)人」だと判断されてしまうので、審査落ちにつながるというわけです。
「異動」のうちでも、自己破産のような「法的整理」のレベルになるとお金を借りるのはかなり難しいと考えられます。
「ブラックリスト」というものは自体は存在しない
「ブラックリスト」という名称のリストが法的に存在するわけではありません。信用情報機関・CICのホームページでも以下のようにはっきりと記載があります。
Q.支払いが遅れると、ブラックリストとしてCICに登録されるのですか?
A.当社が保有する信用情報に、ブラックリストという名のリストはありません。
保有しているのは、客観的な取引事実を表す信用情報になります。信用情報には、お支払いが遅れた場合に、その内容が事実として反映されます。
異動が登録されている(=ブラックリストに載っている)期間は?
金融事故情報が信用情報機関に登録される期間は、事故の種類や信用情報機関によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
異動の内容 | CICの場合 | JICCの場合 | KSCの場合 |
---|---|---|---|
延滞 | 契約期間中および契約終了後5年以内 | 契約継続中及び契約終了後5年以内 | 契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間 |
代位弁済 | 契約期間中および契約終了後5年以内 | 契約継続中及び契約終了後5年以内 | 契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間 |
法的整理 | 平成21年より記録保有を中止 | 契約継続中及び契約終了後5年以内 | 当該決定日から7年を超えない期間 |
※上記はあくまで目安です。必ずしもこのように記録が保管・あるいは抹消されるとは限りません。
※登録機関に関して各機関の回答
・CIC:CIC:どれくらいの期間登録されているのですか?|信用情報について|よくあるご質問
・CIC:自己破産の登録は何年間ですか?|信用情報について|よくあるご質問詳細版>『信用情報記録開示書』項目説明書
・JICC:JICCに登録されている信用情報は、どのくらいの期間登録されるのですか? | 「開示結果の見方」のよくある質問
・JICC:信用情報の内容と登録期間 | 信用情報について | 企業情報 | 日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関
・KSC:https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/" target="_blank" rel="nofollow" >信用情報の内容と登録期間 | 信用情報について | 企業情報 | 日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関
登録期間が過ぎたら"ブラックだった人"はカードローンの審査に通る?
各信用機関の登録機関を過ぎ、かつきちんとした実績を積んでいた人は、カードローン の審査に通る可能性は高まります。
ただし銀行や消費者金融は自社の延滞記録や金融自己は得半永久的に記録しています。また、金融HDや業務提携あるいはカードローンの保証などで情報を共有している可能性もあるので絶対に審査に通るとは言い切れません。
もちろん、審査を受けてみる価値は十分あります。
異動があると審査落ち以外にも「困ったこと」が起きる可能性がある
異動の情報が個人信用情報に登録されている期間は、ローンやクレジット審査に通らないだけでなく、他にも以下のような影響が考えられます。
携帯電話の分割払いができない場合がある
携帯電話の機種代金分割払いは「割賦販売」「信用購入斡旋契約」などと呼び、ローンやクレジットと同様の後払いとして契約前に個人信用情報を照会します。
そのため異動があると審査に通らず購入もできない場合があります。
ドコモのような携帯キャリアのHPにもそれに該当する記述があります。
当社は、個別信用購入あっせん契約締結前および締結後に、当社が加盟する個人信用情報機関(以下「加盟信用情報機関」)へ、お客さまの個人信用情報を照会・登録します。
賃貸契約の審査に影響する可能性
アパートなどの賃貸契約でも家賃保証会社が必要な場合には信用情報を参照します。
そのため異動があると、賃貸契約にも影響が出る可能性があります。
「ブラックでもOK」とうたう貸金業者には注意
「ブラックでも借りられる」「審査なしで即日融資」とうたっている貸金業者があったとしても、利用は避けるべきです。
大きなリスクと危険が潜んでいるので気をつけなくてはいけません。
銀行や消費者金融など正規の事業者は、それぞれの根拠法(貸金業法など)を遵守して営業しており、顧客の返済能力を審査したうえで融資をしています。
個人信用情報はその審査における重要な判断材料の一つなのです。
したがって個人信用情報に異動・金融事故情報がある、「ブラックリスト」に載っている状態の申込者に対し融資をすることは考えにくいのです。
ですから、 正規の事業者が「ブラックでも借入れOKです!」と謳うことはあり得ません。
「ブラックでもOK」なのは闇金などの違法業者や、個人間融資掲示板などで暗躍する違法なものだと考えるべきです。
ブラックでも借りれるカードローンはあるのか? 〜大手消費者金融の審査スタンスから対策を考えてみる
過去に異動の経験があって個人信用情報に不安がある場合でも、 カードローンの利用が全く不可能というわけではありません。
ハードルはかなり高いのですが、現在の状況やどの事業者を選ぶかによって可能性は残されています。
審査が柔軟?〜大手消費者金融の審査スタンス
一般に銀行系のカードローンは審査が厳しく、個人信用情報に傷があると通過は難しい傾向にあります。
この点は大手消費者金融も基本的には同じなのですが、それでも 大手消費者金融は銀行とは異なる「柔軟な審査基準」を持っていると言われています。
異動が残っている状態でもその原因(延滞なのか?自己破産なのか?)や金融事故としての深刻さなどを考慮して、大手消費者金融なら審査に通る可能性は残っていると思われます。
実際に銀行カードローンで審査落ちになっても、消費者金融大手では審査に通過したケースもあります。
これは必ずしも
- 銀行は冷たくて消費者金融が優しい
- 銀行はしっかり審査をするが消費者金融大手の審査は緩い
といったことではありません。
消費者金融大手もしっかりとした融資審査を実施しますが、その審査基準が銀行系よりも柔軟なので、審査通過の可能性が高いのです。
いっぽう融資をする側から考えると、たとえば異動がある人はそうでない人よりも返済できるかというリスクは高まりますが、その対価としてリスクを見越した金利を設定しているのです。
銀行系カードローンより消費者金融系カードローンのほうが、金利が高めなのはこのためです。
ブラックかも?信用情報に不安がある人がカードローンの申し込みでできる対策
自分がブラックかもしれない、過去に「異動」がある、信用情報に懸念がある、という人ができる対策を紹介します
対策1.正直な申し込みが基本
カードローンを申し込む際には、過去の金融事故について隠したり、虚偽の申告をしたりすることは絶対に避けるべきです。
審査では必ず信用情報機関に照会をするため、虚偽の申告はすぐに発覚してしまいます。
こうなると嘘をついたと心象はかなり悪くなり、審査に通る可能性はぼぼゼロと考えるべきでしょう。
申込フォームで「あなたは異動の経験がありますか?」などとズバリ聞いてくることはありませんが、過去の借入れ経験などの項目などを含め、事実をありのまま「正直な申し込み」をすることが重要です。
対策2.中小消費者金融も視野に入れてみる
大手消費者金融の審査に通らなかったなら、中小規模の消費者金融も選択肢として視野に入れてみるのも対策の一つです。
中小消費者金融は、 大手とは異なる独自の審査基準を持っている場合があります。
また銀行や消費者金融でも大手は機械化AI化が進み、自動審査が中心なのに対し、中小では担当者が個々の申込者の状況をより詳細にヒアリングし、 柔軟な判断をしているところもあります。
ただし中小消費者金融になると、闇金業者か否か見分けにくい場合があります。
中小消費者金融でも、正規の貸金業者として金融庁に登録されている業者を必ず選ぶように注意しましょう。 そのため必ず金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」や貸金業協会などの情報を利用し、正規の業者であることを確認してください。
闇金じゃない?正規業者かどうかを見極めるポイント
- 登録番号の確認: 金融庁長官または都道府県知事の登録番号が明記されているかを確認しましょう。
- 法定金利の順守: 利息制限法で定められた上限金利(年15~20%)を超過する金利を提示する業者は、闇金業者です。
参考サイト
・登録貸金業者情報検索サービス : 金融庁
・協会員検索
九州財務局HPが提供している悪質な業者を集めたデータベースも便利です。
中小消費者金融は、大手と比較して金利が高めに設定されている場合もありますが、正規の業者であれば、法外な金利や悪質な取り立てはありません。信用情報に不安がある場合の最後の砦として、真剣に検討する価値はあります。
まとめ:まずは自分の信用情報を把握!その上で最適なカードローンを選ぼう
カードローンの審査は、 信用情報が非常に大きなウェイトを占めます。
「ブラックでも借りられる」といった甘い誘いには、決して乗らないでください。違法な闇金業者である可能性が極めて高く、安易に手を出せば、人生を大きく狂わせる危険性があります。
まずは、ご自身の信用情報を正確に把握することから始めましょう。CIC、JICC、KSCの各信用情報機関に情報開示請求を行い、現在の信用情報がどのような状態にあるのかを確認してください。(まずはCICで情報開示をするのがおすすめです。)
そこで、自分の過去の延滞や金融事故の有無、借入残高、申し込み履歴などをしっかりとチェックすることが重要です。
もし信用情報に不安がある場合でも、諦める必要はありません。 金融事故から一定期間が経過し、現在の収入が安定していれば、大手消費者金融の審査に通る可能性はゼロではありません。正直に現在の状況を伝え、返済能力があることを示しましょう。
また、大手で審査が通らない場合は、中小の正規消費者金融も選択肢の一つとして検討する価値があります。
そして何よりも、日頃から計画的な返済を心がけ、信用情報を健全に保つことが、将来の金融取引をスムーズにするための最善策です。自身の信用情報を適切に管理し、賢くカードローンを選び、健全なマネーライフを送っていきましょう。