火災保険で台風被害はカバーできる!被害者25名のリアル体験も徹底紹介

更新日
火災保険で台風被害はカバーできる!被害者25名のリアル体験も徹底紹介

火災保険というと「火事」がイメージされますが、実際は(地震以外の)災害による「家の損害」全体を補償する保険商品です。※地震による損害は地震保険

ですから、台風による家の被害は火災保険の補償対象になります。さらに台風の被害者への調査結果。ほぼ「戸建て」で「屋根」の被害であることが明らかに。台風が通り過ぎたらまず屋根を確認しましょう。

契約条件や内容によってはカバーされないことも。台風被害と火災保険を詳しく解説します。

火災保険で台風は補償される?―各保険会社から要点をピックアップ

まずは台風による被害は火災保険ではどのような対応になるのでしょうか?損保ジャパン(大手代理店型保険会社)/ソニー損保(インターネット)/県民共済の3つのタイプの保険会社がホームページで説明している内容を抜粋し、台風と火災保険のポイントを抑えます。

ソニー損保―台風による損害は補償されますか?

その被害は大きく「水による被害」「風による被害」「雷による被害」の3つに分かれます。そのいずれかで、適用される補償が変わります。

水による被害は「水災」・風による被害は「風災」・雷による被害は「落雷」で補償

水・風・雷の損害の原因によって、適用される火災保険の補償が変わるが、火災保険で台風は補償される。

損保ジャパン―雨漏りは火災保険で補償されますか?

台風などにより屋根の一部が壊れ、そこから雨が吹き込み、保険の対象が損害を受けた場合は補償されます。 ただし、台風により屋根が飛んだり窓が割れたりした訳ではないが、老朽化やもともとあった隙間などから、自然と大雨がしみ込んできた場合などは補償されません。

雨漏りは明らかに台風によって起こった被害であればカバーできるが、老朽化など「経年劣化」が原因だと、保険金は支払われない。

ちなみに、台風などの風災による損害のみを補償する保険はありますか?

いいえ、風災による損害のみを補償できる商品はありません。 火災、落雷、破裂・爆発、風災、雹災(ひょうさい)、雪災を基本補償として、その他の補償範囲をお客さまのご希望に応じてお選びいただくことができます。

火災保険から、風災だけを選んで契約することはできない。

三井住友海上―開けていた窓から雨が吹き込んでしまった場合の損害は補償されますか?

いいえ補償されません。台風などの強風による飛来物によって、窓が割れ、雨や風が吹き込んだ場合は風災として補償されますが、吹き込みは補償されません。

暴風雨の際に窓を開けたままにしていて、「室内が浸水した。」「家具が破損した。」といった損害は火災保険ではカバーされません。

*暴風雨時に、窓が開いていることによる吹込みは、必然の事故(必ず起こりうる事故)のため保険では補償されません。保険は偶然の事故をカバーします。

火災保険の補償範囲と台風被害

一般的な火災保険契約は下記の通り、補償の範囲が決まっています。この中で台風で考えられる被害は「風災」「水災」「落雷」となります。

台風被害で対象となる補償範囲

補償範囲台風事例
火災、落雷、破裂・爆発台風による落雷でアンテナが壊れた
風災、雹(ひょう)災、雪災台風による強風で窓ガラスが割れた
強風で屋根瓦が飛ばされた
水災台風豪雨による土砂崩れで自宅が全壊した
豪雨により川が氾濫し、床上浸水した

建物だけ・家財も含まれる?補償の対象

火災保険は「建物」への補償のみ。もしくは「建物+家財」への補償を契約時に決めます。台風による被害を受けても、その対象が火災保険で補償される「建物」・「家財」に含まれていない場合は、補償されません。

建物:
窓、屋根、畳、塀、物置、車庫(カーポート)、エアコン室外機など

家財:
冷蔵庫、テレビ、掃除機、パソコン、ソファー、ダイニングテーブル、書籍、衣類、楽器、スポーツ用品など

台風で火災保険を利用した25名に聞いた―被害を受けた箇所と保険金の支払いについて

台風被害で火災保険を使用した25名を確認したところ、100%「戸建て」でした。戸建ての方は特に「台風」被害を受ける可能性を念頭に補償を選ぶ必要があるといえます。

台風の被害を受けやすい箇所ランキング

台風被害に遭われた25名に確認した、被害の部位は下記の通り。圧倒的に屋根・瓦に関する被害が多く見られました。雷による落電被害も考えられますが、調査では圧倒的に風災でした。

台風の被害:🥇屋根・瓦

台風で多くの方がダメージを受けていたのが屋根でした。

  • 台風で屋根瓦が飛んでしまった /KEI 60代 女性
  • 瓦がとぶ、ずれる+雨漏り/もこ 60代 女性
  • 台風(竜巻)で屋根が外れた/もも40代 女性
  • 台風でトタン屋根が崩壊ててしま/40代 女性

屋根は被害に遭いやすい上に、写真が撮りにくいという難点があります。

  • 写真撮影が面倒だった。屋根はかなり厳しかった。ドローンあったら便利だったと思う。/こづこづ 70代 女性

ハウスメーカーに確認してもらった。という声もありましたが被害に気付いたらまず保険会社に確認してみましょう。

🥈カーポート・車庫

屋根に続いて、カーポートが2番目に被害がありました。

  • ベランダの屋根とカーポートの屋根が壊れた、屋根が少し剥がれた /こづこづ 70代 女性
  • カーポートの屋根が吹き飛ばされました/まる 60代 女性
  • カーポートの天井部分が吹き飛んだ/ケロロ軍曹 60代 女性

🥉雨樋(あまどい)

  • 雨樋にひびが入った。/ご~すとらいた~50代 女性
  • 雨樋と瓦の破損/コージー 50代 男性

4位浸水・水濡れ

  • 大雨と風で水漏れが発生し、一部屋がダメになりました/睡蓮 70代 女性

他には雨による床上浸水・床下浸水という声もありました。台風による雨の被害は大きいことがわかります。

その他、物置・外壁・フェンス・庇(ひさし)

  • 暴風雨で庇の裏板が剥がれて飛ばされました/猫橋ゆう 60代 男性
  • 台風で飛ばされてきた飛来物で壁が破損/まる 60代 女性
  • 飛来物の衝突らしき外壁破損りょう 30代 女性
  • 物置きが倒れ壊れた/くらのにま 50代 男性
  • 敷地に隣接して植っていた樹木が強風で根元から折れ、フェンスを薙ぎ倒した/スプリー 50代 女性

他にも、庇が飛ぶ。台風によって飛ばされてきた木などで外壁の破損。樹木が倒れて柵が壊れるなど、 台風による被害は多岐にわたります。しかしおおよそ「風災」と「水災」でカバーできることがわかります

経験者に聞いた─保険金の支払いは「スムーズ」という傾向

25名中、24名は保険金がスムーズに支払われたと回答がありました。支払いはスムーズでも、不安に感じた部分について詳しくヒアリングしました。

保険金の申請に時間がかかった

台風被害は広範囲にわたって損害が出るため、問いあわせが集中が大きいため支払いまでに時間がかかった。という声が見られました。
被害によっては時間がかかることをある程度想定しておいた方がよいといえます。

  • 各地で被害が大きかったため申請受付にものすごく時間がかかり、受理されてからも写真送付や手続き書類を送付しても半年以上かかりました 被害が小さかったので後回しにされたのかも /まる60代 女性
  • 問い合わせが集中して電話がかかるまで他の用事が出来ずかなり時間がかかった。本当に保障してくれるのか不安/レモン 70代 女性

台風被害の発見が遅れた

保険金申請には被害状況の写真などを求められますが、時間が経ってから分かったという声もありました。

  • 後でわかったので工事中の写真になってしまった/ニャン 60代 男性

後日になっても申請すれば、台風の影響であれば周辺の被害状況などから考慮して対応される可能性が高いので、あきらめずに保険会社に連絡してみましょう。

また戸建てにお住いの方は、大きな台風が来た場合は、被害を受けやすい「屋根」「カーポート」「外壁」「フェンス」「雨樋・庇」などを一度チェックしてみることをお勧めします

保険法により、被害発生から保険会社に申告せず3年以上経過した場合は、補償の対象外と定められています。時間が経ってからわかった被害は早めに申請しましょう。

保険会社の対応に違いがあった

また、保険金の支払いがスムーズではなかったという回答については、保険会社の態度に一貫性がなく、自分で確認を続けたという例です。

  • ハウスメーカーさんがサポートして下さいましたが、保険会社の対応や判定が担当者によって違いがあり、腹立たしく感じました。その後、自分で調べて問い合わせを重ね、ようやく支払われることになりました。担当者ガチャが酷いです。/モンブラン 50代 女性

納得いかない場合は、粘り強く保険会社とやり取りすることで解決する場合もあることがわかる例といえます。

火災保険の台風被害で保険金はいくらもらえる?

火災保険は、建物や家財を「再調達価額(再築や再購入に必要な金額)」で契約するのが一般的です。
そのため、実際に発生した損害額に応じて保険金が支払われます。

支払額の計算方法は損害の状態によって異なり、主に 全損の場合修理で対応できる場合 に分けられます。

全損となった場合

  • 損害額:建て直しや買い直しに必要な金額(再調達価額)
  • 受取保険金:損害額がそのまま支払われる」

修理可能な場合

  • 損害額:修理費用 −(残存物の価値がある場合はその分を控除)
  • 受取保険金:損害額 − 免責金額(自己負担分)

全損と修理可能の比較表

台風被害における火災保険の支払額の違い
ケース損害額の算出方法受取保険金
全損の場合再調達価額(建て直し・買い直しに必要な金額)損害額=保険金
※免責金額を差し引く商品もあり(例:ソニー損保)
修理可能な場合修理費用 − 残存物の価額(ある場合)損害額 − 免責金額(自己負担分)

免責金額とは?

火災保険には「免責金額(自己負担額)」が設定されていることがあります。これは 保険金の支払いから差し引かれる金額 のことで、少額の損害では保険を使わずに対応できるようにする仕組みです。

 

例:

  • 免責金額:5万円
  • 修理費用:30万円
    👉 実際の受取額は 25万円(30万円−5万円) となります。

💡 免責金額を設定すると、保険料を安くできるメリットがありますが、被害額が免責金額に満たない場合は保険金が支払われない点に注意が必要です。

保険金が下りない?台風被害で保険金がもらえない場合5選

ここまで、保険金の支払いについて解説してきましたが、火災保険の契約内容・台風被害の内容によっては、保険金がもらえない場合があります。

1.火災保険の補償対象外になっている場合

台風の被害によって、使用される補償は下記の3つ考えられます。

 風災補償
 水災補償
 落雷補償

このうち、例えば「水災補償」を外していた。といった場合は台風の暴風による浸水被害をカバーすることはできません。

また、火災保険は「建物」+「家財」もしくは「建物」のみといったように、補償対象について明確にします。

台風による落雷で電気が逆流して電化製品が故障してしまった。といった場合、「家財」が補償対象になっていれば落電補償で対象になりますが、「建物」のみが対象の場合はカバーされません。

2.被害に基準がある場合

保険会社や共済によって異なりますが、それぞれの火災保険では、損害に認定基準があります

風災の保険金支払い

風災は20万円以上の損害が発生した場合に、保険金が支払われるという契約になっている場合があります。ダメージが20万円未満の場合は保険金支払いの対象外になります。

水災の保険金支払い

たとえば、水災については、損害が次のいずれかの認定基準を満たす場合に保険金が支払われます。

  • 床上浸水が生じた場合
  • 地盤面より45㎝を超える浸水により損害が生じた場合
  • 建物や家財に再調達価額の30%以上の損害が生じた場合*

*再調達価額の30%とは、たとえば1000万円の住宅に対し、300万円以上のダメージがあった場合は支払われますが、300万円未満の損害では保険金が支払われません。

3.損害額が免責金額の範囲内の場合

火災保険の免責金額には0円、1万円、3万円、5万円、10万円、20万円などいくつかの段階があり、契約時に保険料との兼ね合いを見て、免責金額を決めて設定します。(免責金額高い方が保険料は安くなる。)

損害の範囲がこの免責金額の範囲内の場合は、保険金は支払われません。

4.そもそも火災保険の対象外の場合

火災保険の対象にならない被害というものがあります。台風の被害で覚えておきたいのは次の2つです。

経年劣化による被害

老朽化が原因で起こった損害は火災保険では補償されません。

たとえば台風で雨漏りをしたという被害について、風によって屋根に損害が起こって雨漏りしたわけではなく、もともと屋根が老朽化していた場合。は「老朽化」が原因となりますので、火災保険の対象になりません。

起こるべくして起こった被害

「暴風雨の際に、窓を開けっぱなしにしたことによる吹込みにより壁紙がはがれた。」といったような損害は対象になりません。

暴風雨の際に窓を開ければ被害が起こるからです。保険の対象となる事故は「偶然」ということがポイントになります。

5.保険金請求の期間が過ぎている場合

火災保険は事故が発生してから3年以内の時効が定められています。つまり台風が来てから3年以内になります。逆に言えば期間内であれば申請可能ですので後から見つかった被害があれば速やかに申請しましょう。

台風被害の火災保険申請方法・流れ―風被害と水被害でちょっと違う

最後に台風被害に遭った場合の火災保険の申請方法についてまとめます。現場の写真を撮ったうえで、契約している保険会社もしくは代理店に連絡して指示をもらいましょう。

火災保険の請求フロー比較表

風災 と 水災の請求手順の違い
手続きの流れ風災・ひょう災・雪災水災(洪水・土砂災害など)
① 事故連絡保険会社または代理店に連絡保険会社または代理店に連絡
② 被害記録修理業者の見積もりを取得し、被害写真を残す片付け前に浸水・損壊の状況を撮影(メジャーで水位が分かる写真が有効)
③ 書類の受領保険会社から請求書類を受け取る保険会社から請求書類を受け取る
④ 追加対応必要資料を整えて提出現地調査の日程を調整
⑤ 損害確認提出書類・写真を基に保険会社が算定調査員の訪問で被害状況を確認
⑥ 提出必要書類を提出必要書類を提出
⑦ 金額確認保険会社が支払額を算出し契約者に提示保険会社が支払額を算出し契約者に提示
⑧ 保険金受領支払確定後に受け取り支払確定後に受け取り

💡 ポイント: 風災系は「見積もり+写真」で進むことが多く、水災は「訪問調査」が入るため 片付け前の記録保存 が特に重要です。申請から支払いまで約1か月かかる場合もあるため、手続きは早めに。

様々な角度、距離から複数枚撮影することで、より分かりやすく記録しておくことをおすすめします。