生命保険で借り入れはできる?契約者貸付制度のメリット・デメリット

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生命保険で借り入れはできる?そのメリット・デメリット

「数ヵ月後にまとまったお金が入るけど手持ちのお金が底をついた」「消費者金融や銀行は信用情報を審査されるから心配」そんな人は生命保険の貸付を検討してみましょう。

生命保険の中でも、終身保険や養老保険などの積立型保険ならお金を借りることができます。

生命保険の貸付のメリット・デメリットをよく知ったうえで上手に活用しましょう。

  • この記事で分かること
  • 生命保険の契約者貸付制度について
  • 生命保険でお金を借りる5つのメリット
  • 生命保険でお金を借りる5つのデメリット
  • 銀行カードローンと消費者金融ローンとの違い

生命保険でお金を借りる「契約者貸付制度」とは

加入している生命保険からお金を借りる制度を「契約者貸付制度」といい、解約返戻金*を担保に借り入れることができます。

*かんたん解説:解約返戻金とは?

解約返戻金(かいやくへんれいきん)とは、貯蓄型生命保険を解約した際に戻ってくるお金のことです。

その金額は、保険の種類や契約期間の長さなどによって異なります。保険会社によっては、解約払戻金や解約返還金という場合もあります。

もちろん、解約返戻金がある保険商品でなければ、お金を借りることはできません。解約返戻金があるのは、終身保険や養老保険、個人年金保険といった貯蓄型の保険です。

契約者貸付制度を一言で表すと、生命保険にこれまで支払った積立金を前借りする制度です。これだけでも、銀行のカードローンや消費者金融とは根本的に異なることが分かりますね。

実際に生命保険の貸付制度には、銀行や消費者金融には無いメリットがいくつもあります。ここから具体的に解説していきます。

生命保険でお金を借りるメリット

生命保険の貸付でお金を借りるメリットは5つあります。

  1. 審査なしでお金を借りられる
  2. 最短即日借り入れ可能
  3. 年2~6%の低金利
  4. 返済日・返済額は自由
  5. 生命保険は継続される

メリット①審査なしでお金を借りられる

銀行や消費者金融でお金を借りたくても、審査に落ちてしまったら借り入れはできません。いっぽう、生命保険の貸付なら審査不要で必ず借りられます。

そもそも自分で積み立ててきたお金を前借りする制度なので、審査する必要がないわけです。

当たり前といえばそれまでですが、確実に借りられると事前に分かっているのはありがたいですよね。

銀行カードローンや消費者金融ローンに審査落ちした人、総量規制*に引っ掛かる人も、生命保険の貸付なら問題なくお金を借りられます。

*かんたん解説:総量規制とは?

貸金業者からの借入総額が年収の3分の1を超える場合に、新たな貸付を禁止する取り決めです。たとえば年収300万円なら、借入総額は100万円までということになります。

 

消費者金融で借りる場合は、この規制のために限られる上限が決まっています。一方、貸金業者に当たらない銀行や信用組合、労働金庫は対象外です。

 

生命保険会社も貸金業者ではないため、総量規制の対象になりません。

また、生命保険からお金を借りても、他のローンのように信用情報機関に記録されることはありません。お金の返済状況によって信用に傷がつく心配も要りません。

メリット②最短即日借り入れ可能

お金が今すぐ必要な場合、生命保険の貸付なら最短即日お金を借りられます。

特に銀行系ローンだと申込み当日の借入ができないことが多いので、急ぎの人ほど生命保険の貸付を検討するのが合理的です。

下記にて、主な生命保険会社の貸付振込時間を案内しています。

生命保険会社ごとの振込時間
生命保険会社 即日借入の可否 借入までの時間(Web手続き)
第一生命 月~金14:30までの手続きで当日着金
それ以外は翌営業日に着金
日本生命 平日14:30までの手続きで当日着金
それ以外は翌営業日に着金
※振込口座がゆうちょ銀行の場合は手続き時間に関係なく2営業日後
住友生命 平日・土曜は23:00まで、日曜は18:30までの手続きで当日着金
※送金先の金融機関によっては翌営業日に着金
明治安田生命 月~金14:30までの手続きで当日着金
それ以外は翌営業日に着金
かんぽ生命 平日13:59までの手続きで当日着金
それ以外は翌営業日の着金
アフラック生命 約2~4営業日
東京海上日動あんしん生命保険 平日20時までの手続きで翌営業日
大同生命 当日または翌営業日

メリット③年2~6%の低金利

生命保険の貸付金利は、保険の種類や契約期間によっても異なりますが、一般的に年2%~6%に設定されています。

下記にて銀行系カードローンや消費者金融ローンの上限金利比べていますが、生命保険の貸付はかなりの低金利です。

銀行のカードローンも、消費者金融も、実際の金利は審査を受けてみないと分かりません。ただし、100万未満の借入の場合は、最高で下記の金利がかかります。

金利比較:生命保険の貸付とその他のローン
ローンの種類 金利(年率)
生命保険の契約者貸付 2%~6%
銀行系カードローン 上限金利ː12%~15%(100万円未満)
消費者金融ローン 上限金利ː17.5~18%(100万円未満)

通常、貸付金利を下げるためには審査がそれだけ厳しかったり、より高額なローンを組まないといけません。

それに対して生命保険の貸付は、審査不要かつ少額の利用でも低金利。積立型の生命保険をかけている人は、まず生命保険の貸付制度を検討するのが得策といえるでしょう。

主な生命保険会社の貸付金利は以下のとおりです。

生命保険会社の貸付金利
生命保険会社 貸付金利
第一生命 年3%~5.75%
日本生命 年2%~5.75%
住友生命 年1.55%~5.75%
明治安田生命 年2.15%~5.75%
かんぽ生命 年2.5%~6%
アフラック生命 年2.75%~4%
東京海上日動あんしん生命保険 年3%~3.125%
大同生命 年2.25%~5.5%

メリット④返済日・返済額は自由

キャッシングやカードローンで借金すると、毎月決まった日に一定額を返済しないといけません。返済日までにお金を揃えておくのがストレスになることもあるでしょう。

しかし、生命保険の借り入れには返済日や返済額が決まっておらず、自分の状況に合わせて自由に返済できます。余裕がある時にまとめて返すということが可能なわけです。

カードローンと生命保険の貸付の違いを、下記にてシミュレーションしました。

シミュレーション:50万円借り入れて6ヵ月で完済する場合の利息
  生命保険の貸付 銀行系カードローン
借入金利 年5.75% 年14.5%
毎月の返済額 6ヵ月後に50万円一括返済 86,892円
利息総額 14,375円 21,354円

50万円借りて半年で返そうと思ったら、カードローンだと毎月高額の支払いが発生してしまいます。しかし生命保険の貸付なら、半年後に一括返済するということが可能です。

数ヵ月後にボーナスが出る会社員や、売上の見込みがある自営業者の方などにとって、自由度が高く便利といえるでしょう。

メリット⑤生命保険は継続される

契約者貸付制度を利用してお金を借りても、生命保険そのものは継続されます。生命保険を解約する必要がないのは大きなメリットといえます。

もし生命保険の貸付制度がなかったとして、どうしてもお金が必要ということで解約返戻金を見込んで生命保険を解約したとしましょう。その場合、次のような問題が生じます。

生命保険を満期前に解約するデメリット

  • 満期前の解約は解約返戻金が少なくなる
  • 保障が受けられなくなる
  • 再加入時には保険料が以前より高額になる可能性がある
  • 健康状態によっては生命保険に加入できない可能性もある

解約返戻金は、生命保険が満期になると支払い総額に見合った額として戻ってきます。しかし満期前に解約すると、ほとんどの場合解約返戻金は払込保険料の合計額より少ない金額になります。

また、生命保険を解約すると保障が受けられなくなるうえ、後に再度加入しようと思ったら保険料がもっと高額になったり、場合によっては加入できない可能性もあります。

契約者貸付制度を利用して、生命保険を解約することなくお金を借りられるのは本当に助かりますね。

生命保険でお金を借りるデメリット・注意点

デメリットというほどではありませんが、生命保険でお金を借りる際の注意点について見ていきましょう。

  1. 契約して日が浅いと借りられる額も少ない
  2. 返済が長引くと利息が増えていく(複利のため)
  3. 借入総額が解約返戻金を超えると保険失効する
  4. 保険金や給付金を返済に充てられる場合がある
  5. 利率は保険加入時期によって異なる

デメリット①契約して日が浅いと借りられる額も少ない

生命保険の貸付制度は、あくまで解約返戻金の範囲内でのみ借り入れ可能です。そのため、生命保険を契約して間もないと借りられる額も少なくなります。

なお、契約者貸付の限度額は解約返戻金の6~8割程度です。解約返戻金が30万円だとしたら、借りられる額は18万~24万円ということになります。

解約返戻金や貸付の限度額は、保険商品や契約期間、年齢などによっても異なるので、契約している保険会社に問い合わせましょう。

「生命保険は契約してまだ短い、でもまとまった額のお金を借りたい」という人は、銀行系カードローンや消費者金融を検討することをおすすめします。

デメリット②返済が長引くと利息が増えていく(複利のため)

ほとんどの生命保険は貸付利息が複利で計算されるため、返済が長引くと利息が雪だるま式に増えてしまう可能性があります。

たとえば、年利6%で100万円借りて1年間いっさい返済しなければ、年間利息は6万円になります。そして2年目には、元金に利息を合わせた106万円に対して年利6%がかかるため、年間利息は63,600円に増えます。

かんたん解説:単利と複利の違い

利息の種類を大きく分けると、単利と複利の2種類あります。単利は、借入期間にかかわらず元金に対して一定の利率が適用されます。それに対して複利は、借入期間が延びると利息が元金に追加され、その合計額に対して利息がかかります。

返済が長引くと利息が増えるだけでなく、生命保険そのものが失効してしまうリスクもあります。それが次のデメリットです。

デメリット③借入総額が解約返戻金を超えると保険失効する

生命保険からの借入総額が解約返戻金を超えてしまうと、保険そのものが失効・解除される可能性があります。

上記①にて、生命保険での貸付限度額は解約返戻金の6~8割と説明しましたが、その理由は借入総額が解約返戻金を超えないためです。

借入総額が解約返戻金を超える可能性があるのは、上記②のように利息が膨れ上がってしまうパターンです。

そのため生命保険でお金を借りる場合には、返済日や返済額は自由とはいえ、返済を無駄に長引かせず計画的な返済を心がけましょう。

デメリット④保険金や給付金を返済に充てられる場合がある

生命保険から借入している時に保険金や給付金が支払われることになったら、そのお金が返済に充てられる場合があります。

貯蓄型保険が満期を迎えた時、生存給付金が支給された時など、借入金が相殺されて満額もらえない事態は避けたいものですよね。

やはり生命保険の貸付を利用する際には、返済計画を立てるのが大事といえるでしょう。

デメリット⑤利率は保険加入時期によって異なる

生命保険の貸付はカードローンなどに比べて金利が低いとはいえ、その利率は保険加入時期によって異なります。

契約者貸付制度の利率は保険の契約日によって決まるので、保険を契約したのが昔であればあるほど利率は高くなります。

逆に、最近契約した生命保険なら利率は低いため借り入れやすくなります。

一例として、日本生命の貸付利率を見てみましょう。平成初期の契約だと6%近くの高利率ですが、令和になるとかなりの低利率です。

【日本生命】契約者貸付金の利率
契約時期 利率
1994年4月1日以前 年5.75%
1994年4月2日~1996年4月1日 年4.75%
1996年4月2日~2001年4月1日 年3.75%
2001年4月2日~2014年4月1日 年3.05%
2014年4月2日~2017年4月1日 年2.55%
2017年4月2日~2022年4月1日 年2.25%
2022年4月2日以降 年2.00%

※上記は2022年10月1日時点

お宝保険で貸付を利用する際は注意が必要

景気が良かったバブル期は生命保険も高金利で契約者へのリターンも大きいため、その頃に契約した保険はお宝保険ともいわれます。

 

しかし同時に貸付金利も高くなるので、借入総額が解約返戻金を超えることがないよう注意しないといけません。

【比較】生命保険の貸付 vs 銀行カードローン・消費者金融ローン

急ぎでお金が必要という人のために、生命保険の貸付と銀行系カードローンおよび消費者金融ローンの特徴を比較してみました。

比較:借り入れサービスの特徴
  生命保険の貸付 銀行カードローン 消費者金融ローン
商品 日本生命 三井住友銀行カードローン レイク
即日融資 〇14:30までなら当日着金 〇申込状況によっては可 ◎最短25分
利用限度額 解約返戻金の6~8割 10万~800万円 1万~500万円
借入利率 年2%~6% 年1.5%~14.5% 年4.5%~18.0%
初回無利息サービス なし なし 借入額全額60日間利息0円または借入額のうち5万円まで180日間利息0円
利用できる対象者 保険の契約者 満20歳以上69歳以下で安定した収入がある人 満20歳以上70歳以下で安定した収入がある人
担保・保証人 不要 不要 不要
自宅や勤務先への連絡 なし あり 原則なし

低金利で借りるなら銀行カードローン

銀行のカードローンは、契約限度額の範囲内なら必要な金額を何度でも借り入れ・返済できる個人向け融資サービスです。

金利は生命保険の貸付と比べると高いですが、クレジットカードのキャッシングや消費者金融に比べて低金利となっています。

利用限度額は10万~800万と幅広く、高額借り入れほど適用利率も下がります。

銀行のカードローンの場合は、職場に在籍確認の電話があることがほとんどです。銀行名で電話があるので、お金を借りようとしているということが周囲に明らかになることはありません。ただ、職場環境や立場によっては避けたい方もいるかもしれません。

銀行カードローンがおすすめの人・おすすめじゃない人
こんな人におすすめ こんな人にはおすすめじゃない
  • 貯蓄型保険の契約はない
  • なるべく低金利のローンを探している
  • コンビニで気軽に借入・返済したい
  • すでに多額の借金がある
  • 審査が甘めのローンを探している
  • 安定した収入がない

今すぐ借りたいなら消費者金融ローン

消費者金融なら、即日どころか申し込みから数分程度で融資されます。今すぐお金が必要という人にとって心強いサービスといえるでしょう。

また、銀行系カードローンと異なり消費者金融では、自宅や勤務先への確認連絡(在籍確認)は原則行われません。誰にもバレずに借り入れることができます。

審査がやさしい、柔軟、というメリットもあります。ただし、銀行のカードローンに比べて金利が高めです。

消費者金融ローンがおすすめの人・おすすめじゃない人
こんな人におすすめ こんな人にはおすすめじゃない
  • 急ぎでお金が要る
  • 借金を誰にも知られたくない
  • 審査で落とされないか心配
  • 低金利のローンを探している
  • 安定した収入がない
  • 総量規制以上にお金を借りる必要がある

【まとめ】生命保険でお金を借りるのはこんな人におすすめ

当記事では、生命保険の貸付についてメリット・デメリットを考えました。

解約返戻金の制度がある保険商品を契約している人は、契約者貸付を検討してみましょう。

契約者貸付制度を利用する際には審査がないため、すでに借金がある人でも問題なく借りられます。

また、生命保険の貸付には返済日や返済額の決まりがないので、自分の都合に合わせて返済することができます。

生命保険の貸付がおすすめの人・おすすめじゃない人
こんな人におすすめ こんな人にはおすすめじゃない
  • 気軽にお金を借りたい
  • なるべく低金利でお金を借りたい
  • 返済に追われたくない
  • 年収の3分の1以上の借入がある
  • ローン審査に落ちた
  • 貯蓄型保険に加入して間もない
  • 貯蓄型保険の満期が近づいている
  • そもそも掛け捨て保険にしか加入していない

生命保険の貸付では希望する額を借りられない、または満期が近づいているという人は、銀行系カードローンを検討することをおすすめします。