日本人90万人減、死亡者数は過去最多│多死社会にせまる大相続時代、相続トラブルはもう他人事じゃない

日本の人口減少が、かつてないスピードで進んでいます。総務省が8月6日に公表したデータでは、日本人は過去最大となる年間90万人超の減少。死亡者数は160万人近くまで達し、出生数の2倍以上となりました。
これは単なる統計の話だけではありません。労働力の不足、経済の縮小、移民政策、社会保障制度への影響に加えて、「多死社会」が引き金となる大相続時代がすでに始まっていることも意味します。
本記事では、人口減少の現状をわかりやすく解説すると共に、「大相続時代」において備えるべきことについてお伝えします。
- このニュース記事でわかること
- 日本人が急速に減り続けている一方で、外国人は増加している
- 日本人の死亡者数は過去最多、多死社会で大相続時代がやってくる
- 相続の増加に伴い相続トラブルも増加、トラブルの6割は一般家庭
- 相続トラブル経験者が「亡くなった人にやっておいてほしかったこと」は〇〇
日本人は急速に減り続けている
総務省が6日に発表した「人口動態調査」の詳細は以下の通りです。
日本の人口に関する調査
- 日本の総人口(日本人+外国人)は1億2,433万690人、前年比▲55万4,485人。
- うち日本人は1億2,065万3,227人、前年比▲90万8,574人。16年連続で減少、過去最大の減少幅。
- うち外国人は367万7,463人、前年比+35万4,089人。過去最多。
- 日本人の出生者数は過去最少で68万7,689人、死亡者数は過去最多で159万9,850人。
総務省│ 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント 資料1 (令和7年1月1日現在)
日本人の減少幅が、外国人の増加幅を上回る
外国人を含む総人口は1億2433万690人。日本人の減少幅が、外国人の増加幅を上回り、前年より55万4,485人減りました。この数字は、1年で鳥取県を超える規模の人口が減ったことに匹敵するレベルです。
都道府県別でみると、総人口が増えたのは東京、千葉の2都県のみで、日本人の人口が増えたのは、東京都のみでした。
日本人は16年連続で減少、過去最大の減少幅
日本人のみの人口は1億2,065万3,227人で、前年比で90万8,574人の減少でした。日本人の減少は16年連続で続いていましたが、今回の調査が過去最大の減少幅となりました。

外国人は過去最多
外国人のみの人口は367万7,463人で、前年比35万4,089人の増加でした。最も増えたのは東京都で、総人口に占める割合も5.15%と最大。増加数では大阪府の3万1549人、埼玉県の2万7422人が続きます。

働き手の中心は外国人
働き手となる15〜64歳の生産年齢人口は、総人口の59.8%で、前年とほぼ同じ水準でした。日本人は減少しましたが、留学生や技能実習生など若い世代の外国人が増えたことで割合を維持しています。
外国人全体に占める生産年齢人口の割合は85.8%と高く、一方で日本人全体に占める生産年齢人口の割合は約59%で、この水準は世界平均(約65%)を下回っています。
つまり、若い働き手は、日本人よりも外国人に頼る構造になりつつあり、それに伴う移民政策が議論の的にもなっています。
日本人の出生者数は過去最少、死亡者数は過去最多

※総務省│住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数 (令和7年1月1日現在)をスマートマネーライフ編集部が編集
2024年に生まれた日本人は68万7689人と過去最少。一方、死亡者数は159万9850人と過去最多で、出生数の2倍以上となりました。
「多死社会」がもたらすものは?
死亡者数が急増する社会状況を多死社会と言います。戦後の日本では医療や生活環境の向上によって寿命が延び、高齢者人口が増えました。その結果、高齢者が一斉に亡くなるタイミングが訪れています。
前述の通り、2024年の死亡者数は約160万人。これは東京都千代田区の人口の約25倍に相当します。しかも今後20年間、この傾向は続くと予測されています。
そして、死亡者が増えるということは、それだけ相続が発生する件数が増えるということでもあります。
大相続時代に潜むトラブル
2025年、団塊世代が75歳以上となり「2025年問題」の一因として「大相続時代」が注目されています。相続件数が増えれば、相続トラブルも増加します。
「ウチはもめるほど財産がないから関係ない」「兄弟が仲良いから大丈夫」と考える人もいますが、争族(相続トラブル)は決して富裕層だけの話ではありません。
スマートマネーライフ編集部が7月に実施した「相続トラブル経験者141名」を対象とした調査でも、91名(65%)が「相続財産総額3,000万円未満」と回答しました。つまり、相続税がかかる心配の少ない家庭でトラブルが多く起こっていることがわかります。

相続税には非課税枠がある
- 相続する人達の負担を減らして生活を守るための制度のひとつで「基礎控除」「非課税枠」などがある。
基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
生命保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数 - たとえば法定相続人が2人の場合、基礎控除は4,200万円。相続財産がこのラインを超えなければ相続税はかからない
相続トラブル経験者の2人に1人は、何も準備していなかった
相続トラブル経験者141名に対する調査では、亡くなった人が生前に相続対策を「何もしていなかった」と答えた人が48%(68名)に上りました。

生前の家族間のコミュニケーションが大切
また、相続トラブル経験者141名が「亡くなった人にやっておいてほしかったこと」として「遺言書」「家族間のコミュニケーション」を挙げる人が多くいました。
亡くなった人にやっておいてほしかったこと
順位 | やっておいてほしかったこと | 人数 |
---|---|---|
1位 | 遺言書の作成 | 57名 |
2位 | 話し合い・家族間コミュニケーション | 21名 |
3位 | 財産・資産の整理(明確化・見える化) | 13名 |
4位 | 土地・不動産の整理・処分 | 8名 |
5位 | 生前贈与・分割準備 | 3名 |
6位 | 専門家への依頼・信託などの制度利用 | 4名 |
7位 | 終活・エンディングノート | 4名 |
※無効回答(特になし、空欄)22名とその他8名を除く
被相続人が遺言など相続の準備をして「伝えたつもり」でも、相続人全員がその内容に納得していなかったり、認識にズレがあったり、不仲を解消できていないと、トラブルに発展する可能性が大いにあることがわかりました。
お盆休みは相続の話をする絶好のタイミング
お盆休みは、実家で1年ぶりに家族が集まる、という方もいるでしょう。実はこのタイミングは、家族全員で相続について話すことができる貴重な機会です。
いきなり「遺言書を書いておいて」と切り出すのは気が引けるかもしれませんが、まずは以下のような軽い話題から始めてみましょう。
- 実家や土地の名義はどうなっているか、そこに込められた想いは何か
- 相続税がかかる可能性はあるのか
- 親戚や家族との関係について
相続は準備が10割
スマートマネーライフ編集部は、相続対策・生前対策に役立つ記事を執筆しています。
家族で話すにも何から始めればよいかわからない、という方は、まずはマネーキャリアのようなプロに無料で相談をしてみましょう。家族に伝えるべきことについて、プロと一緒に整理してもらうだけでも、相続対策の大きな一歩につながります。